内容としてはSNS版とほとんど変わりません。
ひとまず、目的を果たしたロビン達は交流クエストに取り掛かることとした。
しかし、ボスが強くなかなか倒すことができない。
6人は仕方なく、再会と離別の道でレベル上げをすることとなったのだが……
ロビン「ねえ、ナーシャ?」
ナーシャ「何よ?」
ロビン「何で俺、盗賊に転科させられてるの?」
ナーシャ「だってあのシキガミ、やたら強いでしょ? 装備整えるために宝箱を開けれる人間が必要になったの。」
ロビン「何で俺!?」
ナーシャ「盗賊も狩人も同じようなもんでしょ?」
ロビン「違うよ!!」
あっちゃん「あいかわらずやかましい2人だわね~ 見ていて面白いからいいけど~」
ダイ「ナーシャさんも最初の頃に比べるとロビンときちんと受け答えしてるし……いいことだよね。そういえば、大丈夫ですか? 怪我はしてませんか? あっちゃんさん、リューさん、ヒルターさん。」
リュー「ああ、ダイも『ここなら回復役はワタシ一人で十分』とかいって予報士に転科させられてたんだっけ……大丈夫よ、治療が必要な怪我はしてないから。」
ヒルター「彼女のやり方は強引ではあるが判断は間違えていないな。ここなら、回復は本当に彼女一人でこなせる。それほど敵も強くもないからな。」
ナーシャ「やあああ!」
ロビン「は、迫力あるな……虎殺し×2の遠距離攻撃……」
リュー「何でアタシより攻撃力高いのよ……! しかも早いし!」
あっちゃん「……リューが遅いのはデフォでしょ~?」
リュー「それは放っておいて!」
ヒルター「……すまない、オレも負けている……しかも確実に当てているぞ……」
ダイ「えっと。回復役どころか……殲滅役になっていませんか、ナーシャさん……」
ロビン「まあそれは俺もなんだけどな。この新しいムチ、盗賊に合わせて作ってみたけど威力が結構あっていい感じだぜ?」
リュー「そうなのよね、後衛の方が火力あるのよね……あれ、アタシ達の存在理由って何?」
あっちゃん「しょげないしょげない~ ほら、粉砕であの馬鹿火力を更に引き上げてあげましょう~?」
ヒルター(あっちゃん……それだと本格的にオレの意味はなんだという話になってしまうんだが……庇うか? 庇うしかないのか……いや、あっちゃんのHPはオレの倍だぞ? 庇った所でどうなる……くっ、こんなところで力不足に悩むことになるとは。)
あっちゃん「しかしここに着てからなんだかナーシャちゃんが張りきりまくりね~ 最近は元気ないな~って思ってたんだけど勘違いだったのかしら~?」
ダイ「……いえ、確かに。確かに元気なかったです。シキガミに負けるまでは。」
リュー「要するに……負けたのが気に入らないと?」
ダイ「……多分。」
あっちゃん「負けず嫌いもここまで来ると病気よね~ さくやといい勝負だわ~」
リュー「お願いナーシャ……! さくやの後を追うのだけはやめてっ……」
ロビン「な!? 敵……後ろからだと!?」
ダイ「5×3のバックアタックだって!?」
ナーシャ「……」
あっちゃん「ヒルター様! 前に出ます! リューもさっさとするの!」
リュー「いわれなくてもわかってるわ!」
ヒルター「ロビン、ナーシャ、ダイ! 後ろに下がれ!」
ロビン「言われなくても下がるさ。」
ダイ「ぼ、ボクの体力で不意打ちをしのげたのが奇跡です……」
ロビン「? どうしたんだよ、ナーシャ。ほら、ナーシャも後ろに下がって」
ナーシャ「なんで、下がらなくちゃいけないの?」
ナーシャ以外全員「は?」
ナーシャ「ワタシ、このまま前で戦うわよ?」
ロビン「ナーシャ? あのね、いくら装備が一番いいとは言ってもやっぱり君はエルフでHPはそれほど……」
ナーシャ「装備がいいならHPが低くてもある程度は耐えれるわ。」
ダイ「その、回復役……なんですよね?」
ナーシャ「ダイ、代わりにやって。雨乞い覚えたでしょ?」
あっちゃん「……た、確かに覚えてたわねぇ……」
ナーシャ「下がるだけ時間の無駄。このまま殲滅するわ。」
ヒルター「い、いや、その……」
ナーシャ「前で戦いたいの。」
ナーシャ以外全員「……」
ナーシャ(……ドラッケンでは下手すればワタシ一人で戦うことになるかも……そうなってもいいように今から、鍛えなくちゃ! あんなものに負けているようじゃ、あいつになんか、到底、勝てない……!)
ロビン「え……?」
ダイ「う、嘘でしょ!?」
あっちゃん「な、なんで全部攻撃回避してるのあの子は!」
ヒルター「しかも、片っ端から一撃で殲滅……?」
リュー「ちょ、ちょっと! ナーシャの育ち具合が半端じゃないんだけど!?」
ロビン「も、元々一番弱かったはずなんだけど……ルナヒール覚えた辺りから怪しいなとは思ってたけど。ツンデレ学科って本当に……カリキュラム超優秀?」
ダイ「そうだね、もうこれ、そうとしか思えないよ……だっておかしいよ!」
ヒルター「それだけじゃない。」
リュー「ヒルター様?」
ヒルター「オレは一応、鬼神斬りが使える。それは知っているな?」
あっちゃん「武器のせいで使えないだけですよね~?」
ヒルター「……ナーシャも、使える。オレと同じように、武器の絡みで使えないだけだ。」
ナーシャ以外全員「……」
急ぎ足のナーシャ。先ほどの戦闘の件もあり他のメンバーは少しはなれたところを歩いていた。ロビン以外は。
ロビン「なあ、ナーシャ?」
ナーシャ「何よ?」
ロビン「本当に、負けたのが悔しくて、だけか? 張り切ってるの。」
ナーシャ「シキガミに負けたこと? そりゃ、悔しいわよ。」
ロビン「俺の質問に思い出したように返答か。主な原因はそっちじゃないな?」
ナーシャ「……そうよ? 悪い?」
ロビン「話せない理由?」
ナーシャ「話しても信じてもらえるかわからないような理由。」
ロビン「ナーシャの言うことなら、俺は信じる。」
ナーシャ「どうせ口だけでしょ?」
ロビン「じゃあ俺を信じれるようになったら話してよ?」
ナーシャ「……ごめん、さっきの取り消す。確かにあんたは口が達者だけど口だけってわけでもなかったわね。」
ロビン「そうだよ。酷いなぁ。どれだけ一緒にいると思ってるんだよ。」
ナーシャ「それほど長くもないと思うけど? ……まあいいわ。」
ナーシャが足を止める。あわせてロビンの足もとまる。
そしてその後ろを歩いたメンバーの足も。
ナーシャ「……ねえ、みんな。ワタシがゆづき先輩と同じ境遇っていったら、驚く? ああ、記憶喪失の件は抜きね?」
あっちゃん「ゆづきがいい所のお嬢様~ って話よりは真実味あるわ~」
リュー「あ、あっちゃん……!? いやお嬢様クラスがそうボンボン入学するような学校でもないでしょ、プリシアナ学院って! 冗談よね?」
ダイ「……うーん……ナーシャさんなら、まあ、わからないでもないかな……?」
ロビン「ナーシャがお嬢様か! ぴったりじゃないか!」
ヒルター「お嬢様? そうだったのか?」
ナーシャ「意外と驚かないのね……」
ロビン「そもそも、俺たちに誘われるまで12回生で1人でやってた、というのがおかしな話だったろ? 1人でやっていくしかない事情が『身元バレが怖かった』なら納得だろ?」
ナーシャ「まあね。声をかけてくるのは軽い奴ばかり……帰ろうかなって、思ってた。ドラッケン学園に。」
ダイ「えっ!? ドラッケンって、あのドラッケン!?」
ナーシャ「そうよ。今から行く予定のドラッケン……そもそも、ワタシ。ドラッケンで精霊使い学科を専攻してたのよ。……家を継げって。」
ロビン「精霊使いの家柄なんだ。まあエルフならある話かな。」
ナーシャ「でもワタシ、こういう性格でしょ? あわなくて。……やめてきちゃった。」
ヒルター「……確かに。精霊を使って戦う、というより自分で戦っていきそうな性格だからな……」
ダイ「結構、気が短いしね……なんていうか、命令される精霊が可哀想って言うか……」
ナーシャ「ダイ? 喧嘩売ってるの?」
ダイ「あわわわ! ご、ごめんなさい!」
リュー「……余計なこというからよ。なるほど。大体事情はわかったわ。要するにドラッケンに行けば連れ戻されかねない、と。」
あっちゃん「力ずくになる可能性もなきにしもあらず~ って奴ね。ああ、だからシキガミに負けてあせって強くなろうとしてたわけね~ 納得~!」
ヒルター「だがそれはナーシャ一人でなんとかしなければならないわけでもあるまい。」
ナーシャ「でもこれは、ワタシの問題で……」
リュー「ゆづきの件なんか完全にアタシたちだけの問題だったのに手伝ってくれたでしょ? 手伝わせなさいよ。」
あっちゃん「そうよ~? 水臭いわね~」
ヒルター「ゆづき、あっちゃん、リューを救ってくれた礼、それでかえさせて貰いたい……ダメか?」
ダイ「ボクはまだ、ナーシャさんとロビンの掛け合い見ていたいな……そんな理由だけど、いい?」
ロビン「……」
リュー「あら、珍しいわね、ロビンがこういうことに即反応しないなんて。」
ロビン「いや、ぜひ協力させてもらうとも。」
ナーシャ「……お人よしばかり。でも、そういってくれて嬉しいわ……ありがと……」
ロビン「……ドラッケンの、お嬢様、だって……?」
おまけ
リュー「でもね、やっぱりあのシーンは後ろに下がるべきだったと思うの。」
ナーシャ「あのときのことまだ気にしてるの?」
リュー「そりゃ心配になるに決まってるでしょ? 前で攻撃受けるのがアタシ達前衛の仕事なんだから。」
ナーシャ「要するにリューは自分の仕事をとられてちょっと悔しかったってこと?」
リュー「そんなわけないでしょ!? アタシだって攻撃受けるの嫌だもの! 自分が嫌なことは他人だって嫌じゃないかって考えるの、変?」
ナーシャ「別に悪くないんじゃない? いいとも言わないけど。」
リュー「貴方らしい返事ね……」
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