タスク「プリシアナッツの木のところに、また?」
マクスラーク「そうなのだよ。せっかくツカヅチ君という作成者がいてくれるんだ。当時の状況をもう少し整理しようと思ってね。」
ちあき「でも、マクスラークさん? 思ったんですけど……貴方の目的って、なんなんですか?」
マクスラーク「ん? どういうことかい?」
ちあき「だって……プリシアナッツの木で起こったことを調べて。真相を見つけて。貴方は何をしたいのか。それがどうも、はっきりわからないから。」
マクスラーク「……僕なりのけじめなのだよ。何故起きて、何故あのような経過をたどり、何故あのような結果になってしまったのか。それがわからなければ僕は……この学院にずっと縛られ続けるから、ね……」
ちあき「……すみません、疑ったりして。」
マクスラーク「いや、警戒心を持つことは悪いことじゃない。僕もそういう行動を取っているから悪いのだしね。気にしないでくれたまえ。」
ツカヅチ「マクスラークさん……すみません。」
マクスラーク「いいのだよ。『何故起きた』。君はそれに明確な答えを出してくれた。そして僕は『結果』も知っている。あとは『何故あの経過を辿ったのか』なのだよ。作られたキメラが何故、僕らに向かってきたのか。あとはそこ、だけなのだよ。」
ミュール「だから、製作者も交えてきちんと現場検証、ね。納得。」
マクスラーク「経過にはいくつか疑問があるのだよ。まずは現場に残された青い毛。何故、この毛の持ち主は襲われたのか。……ツカヅチ君、君はこれに答えを出せるのではないのかな?」
ツカヅチ「……それはちょっとわかりません……あれは起動暴走でしたので私も襲われ当時のことをはっきり覚えているわけではないのです。だけど。現場にいけるのなら何か、思い出せることもあるかもしれません。」
マクスラーク「思い出してくれることに期待しているよ。2つ目。何故人を襲ったキメラが、更に僕らの方に向かってきたのか。そもそもあっちゃん君が飛び出していなければ襲われなかった可能性もあるわけだがね……キメラ自体が見境なく人を襲う設定になっていたのか否かは、君でないと思い出せないだろう?」
ツカヅチ「確かにその通りです。しかし、マクスラークさん達まで襲った経緯は本当に私では……」
マクスラーク「そう。君では難しい。だが。この青い毛の持ち主なら、答えは出せるかもしれない。……そう、カスミ君だ。」
ツカヅチ「!? な、何故その毛がカスミさんだと!?」
マクスラーク「プリシアナに戻ったもう一つの理由。……照合だよ。タカチホでほんの数分ではあったが、会うことができた。その時に少し毛髪をいただいたのだよ。……驚いたことに保管していた毛とぴったり一致したのだよ。」
タスク「……あの短時間に毛髪? よくそんなことできたな……本当、毛のことになるとすごいな……」
ツカヅチ「で、ですが、そんな話、カスミさんからはまったく!」
マクスラーク「もしかしたら彼女も、忘れているのかもしれないね。常人ならばいきなり襲われたことでショックを受けてもおかしくはない。……だが。彼女は彼女だ。しばらく旅した君なら彼女がどのような行動を取ったのか少しは予想できるだろう? 君にはその予想を立てて欲しいのだよ。」
ツカヅチ「……!」
ミュール「推測にしかならないけど、まったくわからないよりまし、ってことね。……面白そうじゃない。」
タスク「だんだん話が見えてきたって感じだな……! どうなってくんだろ! で、でも毛からってのが、なんか、引くな……」
ちあき「本当、こういうのは本の中だけの話だと思っていたのだけれど……少し、面白くなってきたわね。不謹慎かもしれないけど。」
マクスラーク「ハハハ! 僕の、自分勝手な理由につき合わせてしまって申し訳ないと思っていたのだが楽しんでもらえるのなら嬉しいね! ……すまないね、ありがとう、みんな。」
マクスラーク(ちあきくん。)
ちあき「え?」
マクスラーク(君にだけは一応、言っておこう。……僕がこの事件にこだわる理由はもう一つある。また、あの時の6人でもう一度だけ旅がしたいと思っているからだよ。)
ちあき「!」
マクスラーク(彼女達は何だかんだであの事件を気にしているからね……解決すれば、組めると思うんだよ。僕はその形に持っていきたい。だから近いうち、僕はこのパーティーから離れることになると思う。その時、みんなをまとめていくことになるのはきっと……君と、タスク君だ。)
ちあき「……タスクなら、きっと、大丈夫ですよ、心配しなくても」
マクスラーク(ああ。ミュール君もタケシ君も。君たちは皆優しいし仲もいい。心配なんてしていないよ。だけどね。)
ちあき「?」
マクスラーク(……僕のこと、忘れてもらうのは少し寂しいから。忘れないでいて欲しいな。)
ちあき「……無理ですよ、貴方みたいな変な人、忘れるなんて。」
マクスラーク(そういうことをいうのかい? ……いや、忘れられないぐらい変な人でいれば、忘れられることもない、か。……そうだね、じゃあこれからも僕は、変人でいようか。)
ちあき「でも、ほどほどに。」
マクスラーク(わかっているよ。もう、お説教はこりごりだよ。……ありがとう、ちあき君。)
おまけ
マクスラーク(いやぁ……アサミン君がここにいたら、きっと怒られるだろうねぇ……こんな風に。)
ミュール「何あんたはちあきにちょっかいかけてんのよっ! ぶっ飛ばされたいの!?」
マクスラーク「グハッ! みゅ、ミュール君……? ま、まさか、君が、僕の想像の中の、アサミン君と、一言一句同じことをいい、同じことをするとは……思っても、みなかった……よ……」
ミュール「え? アサミンさんと一緒? あんたいいこというじゃない! ……あら、どうしたの? ぐったりして。」
マクスラーク「……ミュール、くん。君は、君は悪い、人間じゃないがね……もう少し、手加減を、覚えた方が……」
ミュール「あ~ みんなちょっと待って。マクスラークが体調悪いって。」
マクスラーク「君の、せいだろう……?」
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