新親衛隊第7話『交錯する真実』の第1PTバージョンとなります。
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みなづきが切りかかるも、ミュールが受ける。
意外なことにゆづきすらも吹き飛ばしたみなづきの攻撃をミュールはしっかりと全て受け止めていた。
ちあき(……おかしいわね……ミュールって、こんなに、強かったかしら? まさか、今まで手加減して……いや、何のために? 気のせいよね。こうやって人の戦いをしっかり見る、そういう機会が少ないからそう思うだけよね……そうよね?)
ミュール「だから。無意味だって言ってるの! もうやめなさい。ゆづきに用があるんでしょう、あんたは! あたしと戦う意味がないっての!」
みなづき「お前が邪魔するから戦うんだろうが、この馬鹿ネコめが!」
ミュール「馬鹿ネコに馬鹿ネコ呼ばわりされる覚えはないわよっ!」
ミュールの怒りの一撃がみなづきを吹き飛ばす。みなづきが倒れたその瞬間、ローズが覆いかぶさるように飛び乗り、剣を首元へと突きつける。
ローズ「これで……」
ミュール「馬鹿離れなさい! そいつにそれは」
みなづき「ムダムダムダァァア!」
みなづきはローズを強引に振り払うとゆづきを診ていたアサミンに襲い掛かった。
ローズ「えええ!? か、完璧だったはずなのに!」
ミュール「火事馬力! ビーストのスキルよ! ……まったく、やっかいな!」
アサミン「なっ! こっちに、向かってくる!?」
タスク「させるかよ!」
ちあき「抜かせはしないわ!」
みなづき「自分の非力さを恨むがいい!」
タスク「な、え!?」
ちあき「キャアア!」
みなづきの進路を妨害する形で割り込んだタスクとちあき。
しかしたった一振りで払いのけられてしまう。
マクスラーク「詠唱が間に合わない! しかし火事馬力でもこれはなかろう! アサミン君、避けたまえ! これは止められない!」
アサミン「ゆづきを放って逃げるわけにはいかないでしょうが!」
ゆづき「……逃げて」
アサミン「え?」
みなづきの一撃はアサミンではなく、とっさにアサミンを庇ったゆづきに直撃し、ゆづきはそのままアサミンの胸に倒れこむ格好となった。
アサミン「ちょっと……何よ……なんで! こんなの許すわけないでしょ! あの時と、あの時と同じなんて!」
マクスラーク「ゆづき君、とっさとはいえアサミン君に対して一番やってはいけないことを……ええい、離れるんだ! クエイク!」
マクスラークが腕を振り上げると同時にみなづきの周辺の地面が盛り上がり、みなづき自身は大きく上へ吹き飛ばされた。
なつき「な、ななな!? ひ、人が飛んできたですよ!?」
ミュール「その声……なつき!? それ! それを別のとこに放って!」
なつき「え? ええ? ええーい! こうなったらホームランですよ!!」
なつきは持っていた槍で落ちてきたみなづきを横方向へ殴りつける。
みなづきと槍は、岩場の向こう側へと飛んでいった。
なつき「あ、ミュールじゃないですか……ってゆづき先輩にローズ!? 何です、何ですこの状況は!? ゆづき先輩は無事なのですかっ!?」
アサミン「安心なさい、今診てるわ!」
タスク「とにかくタカチホへ行きたい! 道、案内してくれないか!!」
ちあき「急を要するの、早く!」
なつき「あ、あ~ 戻るよりもこっち呼んだ方が早いですよ。さくや先輩! 皆さん、ここです、ここにいるですよ!」
さくや「せかさないで……こっちは砂漠だけでいっぱいいっぱいなのよ……えっ、ゆづき先輩!?」
ローズ「まずいんです! みなづきさんの攻撃ほとんどまともに食らってて……一応、アサミン先輩にも診てもらったんですけど、だけど!」
アサミン「……流石に、ここで治療はキツイわ。さくや。方角的にタカチホからきたんでしょ? ゆづきつれてさっさと」
さくや「貴方がやったの? アサミン! 貴方が!」
なつき「ちょ! そこで興奮しないでください!」
アサミン「どこをどうみたらそうなるのよ! 落ち着きなさい!」
ローズ「さっき私がいいました! みなづきさんって! アサミン先輩じゃありません!」
さくや「アサミン! 貴方はわかってるはずでしょ! わたくしには、わたくしにはゆづき先輩しか」
アサミン「だから落ち着く!」
さくや「……!」
アサミンはさくやの頬を強く叩く。驚きつつもさくやはアサミンのほうへと向きなおす。
アサミン「あんた、まわりよく見なさいよ? あんたみたいなのでも! きちんと今の様子見て心配してる奴らがいるでしょ? 何? ゆづきしかいない? そんなのあんたの勝手な思い込み!」
さくや「……そう、ね……ごめんなさい……」
アサミン「いいわ、落ち着いたなら。あんたから素直に謝罪が聞けるとは思ってなかったけど。」
さくや「そんなことどうでもいいわ……状況は?」
アサミン「それで確認よ。あんたはタカチホから来たのよね?」
さくや「言いたいことはわかるわ。帰還札ぐらいわたくしも持ってる。でも、これは……だめ、タカチホじゃ手に負えないかも。」
アサミン「やっぱり、そう思う? こういうときはドクター学科を古くから扱って、最近最先端の医療も取り入れ始めたドラッケンがいいんだろうけど……飛竜札が」
ローズ「あります! 私持ってます!」
カスミ「はぁ、はぁ……え? 何が起きてるの?」
ツカヅチ「よ、ようやく追いついたよ……あれ?」
ローズ「その……お家に帰るために実はずーっと、持ってたんです……でも! こういう時に使わないとだめですよね!」
さくや「お手柄よ、ローズ! あとはドラッケン……そういえばドラッケンへ飛べる人間、ここにいるの? わたくしはいったことがあるけれど明確な場所のイメージがあるわけじゃないし……」
タスク「え? いったことがないとダメなの?」
ちあき「ええ、そうなの……私たちのパーティーはドラッケンへは……」
ローズ「それも問題なしです! 私、ドラッケン出身ですから!」
カスミ「ええっ!?」
ツカヅチ「え、どうしてそんな話になって……ゆづき、先輩?」
カスミ「どうしたのツカヅチさ……ゆづき先輩!? な、なんでこんなぼろぼろに……!」
ローズ「と、とにかく! いけることはいけるんです! ささっとドラッケンへ……」
ゆづき「ま、まって……」
ローズ「先輩!?」
さくや「ゆづき先輩、気が」
ゆづき「マクスラーク……ツカヅチの、ロケット……紋章が……間違い、ないから……」
さくや「紋章? ロケット? 一体何のことですか?」
マクスラーク「ゆづき君、君……まさか。」
ゆづき「ツカヅチ……信じてるから、ね?」
アサミン「? よ、よくわからないけど……と、とりあえず応急処置はきちんと効いていた様で何よりよ。……また気を失っちゃったみたいだけど。」
ツカヅチ「……アサミン先輩。ゆづき先輩のこと、最後まで面倒、みてくれますか?」
アサミン「? ええ、そりゃ、診れるものならみたいけど。でも飛竜は6人まで……」
ツカヅチ「私が、アサミンさんのパーティーに残ります。アサミンさんは先輩達と一緒にドラッケンへ、先にいっていてください。お願いします。」
マクスラーク「僕からもお願いしたい。彼を、置いていってはくれないか?」
アサミン「??? な、なんだか、よくわからないんだけど貴方達がそれでいいのなら……あとはさくやさえうなずいてくれるなら、別に私はいいんだけど。」
さくや「お願いするわ。正直、風術師はそれほど癒しの術に特化してないもの。……貴方にいてもらえると心強い。」
アサミン「あんたからそんな台詞を聞くことになるとはね……いいわ。いってくる。マクスラーク、タスクたちをお願いするわね。」
マクスラーク「任せたまえ。……ゆづき君を、頼むよ。」
アサミン「ついでにこっちの子達もまとめて面倒見てあげるわよ、任せなさい。」
ローズ「じゃあ、いきますよ! 飛竜召還!」
タスク達はツカヅチとともに飛竜を見送ったのであった。
おまけ
ミュール「はぁ……疲れた……」
ちあき「ミュール、あの」
ミュール「……ちあきには後で話すわ。」
ちあき「そうじゃなくて、怪我よ。怪我、見せて。アサミンさん、行ってしまったのだし……魔法の手当てができないから……」
ミュール「……」
ミュール(もうそろそろ、潮時かしらね……あたしの、感情的にも。)
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