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カスミ「ねえ、なつきちゃん?」
なつき「どうしたですか、カスミ?」
カスミ「さっきもここって、通らなかったけ?」
なつき「……全部砂だらけなので、わからないです。」
さくや「……歩いた足跡も、風が砂を運んで……着いたそばから消していくしね……」
ローズ「それは半分先輩のせいでしょう!? さっきから無意味にエアーガン連発……!」
ツカヅチ「ごめん、私もクエイクで揺らしてそれに拍車かけてる……」
ゆづき「別にいいじゃない。のんびりいきましょう?」
なつき「なんでゆづき先輩はこの状態でいつも通りなのですか……!」
カスミ「……凄いね、あたし、もう暑くて……倒れちゃいそうだよ?」
ローズ「大丈夫! カスミちゃんが倒れても私が運ぶから!」
さくや「そういえばローズも元気そうよね……はあ……」
ローズ「私はほら、鍛えられてますから。」
カスミ「……言ってて、悲しくならない?」
ローズ「これぐらいでへこたれてちゃ生きていけないから!」
なつき「どういう人生送ってきてるんですか、ローズは……」
さくや「ここ最近だとゆづき先輩を追いかけるためのパーティーに強制加入させられた後、人がいないという理由で前に出され、少しの物音でも眠れない神経質な耳を持つのに騒がしい2人と同室に追いやられ、次の日には少しへましてわたくしのホラー話を一晩中聞かされ眠れず、さらにその翌日わたくしがちょっと遊んでその恐怖感から眠れなくなりぶっ倒れるという人生を送っているわね。」
なつき「長い! 長すぎるのですよ! よくまあそれだけほぼ息継ぎなしでいえますね!? ってかローズのここ最近の不幸ってほとんどさくや先輩絡みじゃないですか!」
カスミ「さくや先輩もなつきちゃんも、元気なんじゃ?」
ツカヅチ「本当ですね……この暑さで、よくあれだけ話せますよね……」
さくや「……逆よ。話してないと、暑いのを思い出すの……!」
カスミ「さくや先輩ってなんだかんだで本当はお喋りなんじゃ!」
ゆづき「みんなとも大丈夫? あっちの方に岩場見えるし……一度休憩する?」
カスミ「す、すみません。先輩……」
ツカヅチ「助かります……」
なつき「あの岩場で休憩です! もう少しですよ~ 皆さん早く来るですよ~!」
カスミ「ま、待ってよ~ これでももう、いっぱいいっぱい……」
ローズ「! カスミちゃん、後ろ! 後ろ!」
カスミ「……後ろ……うわあああ!? て、敵!?」
烏天狗「貴様ら! ミコシ将軍の手先か!」
さくや「……わたくしの、休憩時間を奪おうなんて……生意気なモンスターですわね?」
カスミ「あ! そっか、こいつら倒さないと休めない……ええい! こうなったらもう全力! 新調したハンドガンの威力見せてやる! ……わわ! 熱い! グリップが熱いよ! 長く握ってられないよ~!」
ツカヅチ「み、皆さん……意外と元気ですね……」
なつき「さっさと倒して休むです! なつきも正直もう限界近いのです!」
ゆづき「ここからでも、槍は届くから……このターンで終わらせましょう?」
ローズ「え? ちょ、ちょっと待ってください? 他のモンスターより強そうなんですけどこいつ!」
ゆづき「そんなの些細な問題。」
ローズ「そんなことないですよ!!」
さくや「サンダー!」
カスミ「はやっ!?」
ゆづき「さくや……確かに相手は臨戦態勢だけど……」
さくや「 ……! 余り効いていない……」
ツカヅチ「属性の問題でしょうか? 私も……クエイク!」
ローズ「ツカヅチさんまで!」
ツカヅチ「こういうのは先手必勝ですよ。しかし魔法が効き辛いのは属性絡みではなさそうですね……!」
カスミ「なら直接攻撃でがんがんいくよ! やああ!」
烏天狗「意気込みよし……しかしながら後ろががら空きだぞ!」
ゆづき「! こいつ後ろまで……させない!」
カスミに向かって突撃してきた烏天狗の攻撃をゆづきはギリギリのタイミングで受け止める。
ローズ「カスミちゃん!? ……仕方がないなっ、もう!」
カスミ「え? ローズちゃん、何、その構え?」
ローズ「ええーい!!」
ローズは動きを止め、武器を構えなおし、そして体勢を立て直しつつあった烏天狗を三度切りつける。
その攻撃を食らった烏天狗は大きく後ろへと吹き飛ばされた。
ゆづき「鬼神斬り! ローズは普段あまり攻撃しないから気がつかなかったけれどそんな技を使えたのね……!」
カスミ「いや、普段から使おうよ、ローズちゃん……」
ローズ「え? えーっと……」
ローズ(だって! この技って少しの間無防備になっちゃうから余り使いたくないんだよ! 怖いもん!)
烏天狗「ま、まだ……」
さくや「なつき、合わせなさい?」
なつき「……魔法が効かないからって、力技に走るのはあまりよくないと思うですよ……あわせますですけど。」
烏天狗「な、何!?」
さくや・なつき「龍虎双天牙!」
2人の協力攻撃をまともに受けた烏天狗はまるで風に溶け込むかのようにその場から消えていった。
ようやく岩場にたどり着き休憩となったのだが……
さくや「……」
カスミ「……」
ツカヅチ「……」
なつき「……」
ローズ「ですよね、そうなりますよね、こうなっちゃいますよね! みんなさっきの戦闘で張り切りすぎです!」
ゆづき「……みんな、暑いのに弱いのね……ローズは平気?」
ローズ「あ、私は平気ですよ! 寒いのも平気! 実は夜目もきくんです!」
ゆづき「ローズって……なんというか、工作員っぽいよね……耳がよくて、夜目がきいて、時折存在感消してたり、全天候仕様だし……」
ローズ「えっ、えええ!? そ、そんな! それっぽいですか、私!」
ゆづき「うん。」
ローズ「あああ……やっぱり私ってダメな子……」
ゆづき「……え? 本当にそうなの?」
ローズ「え?」
ゆづき「冗談のつもりだったんだけど、本当のことだったの?」
ローズ「……ああああ!? な、なんで私、ゆづき先輩に引っ掛けられてるの!?」
ゆづき「別に、引っ掛けるつもりなんてなかったのだけれど……ローズ、慌て過ぎ……」
ローズ「せ、先輩! このことは! このことは2人の秘密にしましょう! ね? ね!」
ゆづき「う、うん……でも、このことって、そんなにまずいの……?」
ローズ「まずすぎです! あああ! 馬鹿兄にばれたらどうなるか……!」
ゆづき「馬鹿……兄? お兄さん、いたの?」
ローズ「うわあああん! もうこれ以上突っ込まないでくださいー!」
ゆづき「う、うん。突っ込まない。突っ込まないから、落ち着いて?」
結局、他の4人が回復するまでには何とかローズは落ち着きを取り戻し、
6人は何事もなかったかのようにタカチホに向かって行ったのであった。
おまけ
ローズ(あああ! もうドラッケン帰れないよ!! もういっそこのままプリシアナで卒業しちゃう? もうそれしかないよね、うんきっとそれが最善!)
さくや「……さっきの休憩の時からすこし、様子がおかしいみたいだけど?」
ローズ「うわああああ!? う、後ろから迫らないでください近寄らないでくださいホラーはもう沢山です!!」
さくや「……わたくし、後ろから話しかけただけなのに……珍しく何もする気がなかったのにどうして警戒されなくちゃいけないの……?」
なつき「それはですね。普段の行いという物の影響なのですよ。」
さくや「わたくし、法に触れるほどの悪いことだけはしてなくてよ?」
なつき「グレーゾーンはやってきたみたいな言い方はやめるですよ!! そんなんだから警戒されるのですよ!!」
ローズ(いいのかな、このままプリシアナでもいいのかな? こっちに残った方が怖くないのかな……タカチホ! そうだタカチホ義塾! せっかくだから見学して! 逃げ道確保!)
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