この話にてプリシアナ編第1部終了です。
ゆづき「……いっちゃったわね。」
さくや「散々騒がせておいて、次があるからって……迷惑な人たちね。」
なつき「さくや先輩ほどでもないですよ! まったく! どんだけ人騒がせなことばかりしてるですか!」
さくや「別にわたくし、他の方がどうなろうと知ったことではありませんもの。」
なつき「開き直って無茶苦茶言わないで欲しいのですよ! でも、これからみんなどうするです? ゆづき先輩もヒルター先輩に謝るって言う当初の目的は果たしたですし。」
ツカヅチ「私達のはついでだから。ここから先は大丈夫、自分でできますよ。先輩。なつきちゃん。」
なつき「そうですか? そうですよね。ここで解散が一番しっくりくるですもんね。ちょっと寂しいですけど。」
ゆづき「その、後のことなんだけど。」
なつき「ん? どうしたです? ゆづき先輩?」
ゆづき「……みんなさえよければ、なんだけど……その。親衛隊は解散、これはもう規定路線。でも膨れ上がったファンが暴徒化しない、という保障もあるわけじゃないでしょう? だから、まとめるための組織というのは、必要だと思うの。」
なつき「まあ、そうですね~ あれだけいれば自分だけのものにしたいって暴走しない輩が出ないとは限りませんね~ そもそも、ゆづき先輩のファンで暴徒化したのが約1名いる地点で警戒は怠るべきではないと認識しましたですよ!」
さくや「あらあら。元々よ、とかいえない雰囲気ね。これは。」
なつき「そっちの方が危ないですからそれ以上口挟まないで欲しいのですよ!?」
ゆづき「……えっと。続けてもいいのかしら……?」
なつき「ああ! ごめんなさいです! まったく、さくや先輩のせいでまたゆづき先輩の台詞が途切れちゃったじゃないですか!」
さくや「あら、全部わたくしのせい? いうわね、なつき。」
ゆづき「……ええと。さくや、ごめんなさい。すこしでいいからわたしに続きを言わせて?」
さくや「ゆづき先輩がそうおっしゃるのでしたら突っかかるのはやめます。」
なつき「随分と都合のいい人ですね、貴方は!?」
ゆづき「いや、だから……」
ツカヅチ「……先輩。もう無視して次の言葉続けていいですから……」
ゆづき「そ、そう? じゃあ……なつき、貴方が新しい親衛隊、作って?」
なつき「ええええ!? な、なつきには無理ですよ~! 確かになつきは結構自信家ですけど! でも人をまとめれることとは直結しないというかですね!」
さくや「そうね。周りを振り回すだけね。」
なつき「……さくや先輩に言われるとむっとくるですね。」
さくや「なに、やるの?」
なつき「やってやろうじゃないで……むっぐぐ!?」
ローズ「そ、そこまでですよ~ なつきちゃん! さくや先輩をお願いだから怒らせないで……!」
ツカヅチ「ローズさんは……なんだかさくや先輩の小間使い状態になっちゃったね……」
ローズ「小間使いですむなら全然大丈夫!」
ツカヅチ「……いいの!?」
さくや「そう、そこまでならいいのね?」
ローズ「やっぱり前言撤回させてください!!」
ゆづき「自信がないのだったら別にいいわ。でも。貴方が核になって新しい形を作るのが、一番、ファンも納得するだろうし上手くいくと思うの。……わたしが、そう思ったの。」
なつき「ゆづき先輩……」
カスミ「はぁ……」
なつき「ん? どうしたですか、カスミ? そういえばずっと会話に参加してなかったですね? 大丈夫です?」
カスミ「なんというかね……ちょっと色々ショックで。……あたし、これからどうしようかな……ショーゴにでも、どうするか聞いてみようかな……でもショーゴ、メール返してこないし……やっぱり自分で考えるしかないかな……」
なつき「カスミ……わかったですよ、ゆづき先輩!」
ゆづき「?」
なつき「なつきは今から! 新しい親衛隊のメンバー探すために旅に出るです! 捜索メンバーは、この6人です!」
なつき以外全員「ええ!?」
なつき「このまま終わるのもなんというか、すこーししこりを残したままじゃないですか! だから。それも全部取っちゃう意味で! なつきはみんなと旅の続きがしたいです!」
ゆづき「わたしは……別にいいけど。」
なつき「ゆづき先輩ならそういってくれると思ったのですよ!」
さくや「いいの? わたくしのような爆弾抱えてても? 正直このメンバーで自重する気なんてなくてよ?」
なつき「口だけだと信じてますですよ。」
さくや「……」
ローズ「私も別にいいけどさくや先輩は自重してください……!」
なつき「貴方があっさりオーケーを出すのが意外です!」
ローズ「ええっ!? じゃあやっぱり」
なつき「残念ながらオーケー出した後のエヌジーは聞かないのですよ。」
ローズ「なつきちゃん酷いよ!」
ツカヅチ「どうせ私も暇だしね。いいよ。なつきちゃんが好きにするといいよ。それにさくや先輩、きちんと反省してるのか見届けないと。」
さくや「なつき、そういう意図もあったの?」
なつき「もちろんです! 親衛隊の活動中の様子から、なつき、さくや先輩のことを根っから極悪人だと信じたくないというのもあります! しばらく経過観察させてもらうのですよ!」
さくや「どうぞ、ご勝手に。」
カスミ「……私は」
なつき「だめですよ、カスミ?」
カスミ「え?」
なつき「半分ぐらい、カスミのために旅するようなものですからね? 抜けるとか絶対許さないです! カスミだけは強制参加です!」
カスミ「……え、ええっ!?」
なつき「……私、カスミがおかしいのが一番気になるのですよ。だから……」
カスミ「……ああもうっ! そんな反応、なつきちゃんらしくないよ! もう、わかったよ! あたしもいくよ! それでいい?」
なつき「……最初からそういっていればいいのですよ! さあ、みんな! 次の旅に、出発なのですよ!」
カスミ「え!? あ! もしかしてあたし騙された!? ……ま、まあいいか、こういうだまされ方なら……」
ゆづき「さくや。責任はきちんと取る。いいわね?」
さくや「それは、気分次第です。」
ゆづき「……今は、それでいいかもしれないけど。だけどいつかはきちんと、ね?」
さくや「……それこそ、そういう気分になったら、としか言えません。」
ゆづき「そう。」
なつき「あ! そうですそうです!」
ゆづき「どうしたの、なつき?」
なつき「せっかくですから。先輩の記憶の手がかりも探しましょう? ほら、小説とかでは同じ行動取ったりとか思い出深い所いったりとかで記憶喪失の人って記憶戻る物ですし!」
ゆづき「……所詮、小説……」
ローズ「されど小説、です! ……ええ、思い知らされましたとも、さくや先輩の件で!」
さくや「……そうね、まったくのゼロから作られるストーリーなどないものね。じゃあ、実体験しましょうか、ローズ?」
ローズ「え、ええ!? また私墓穴掘りましたか!?」
ツカヅチ「うん、もうそれは盛大に……」
ローズ「早めに指摘して欲しかったです! 私は逃げます!」
ツカヅチ「……ローズさん、言っても聞かないじゃないか……ああ、いっちゃった……」
さくや「では、わたくしもローズを追いかけますので。今日は失礼します。」
ツカヅチ「え、何で別方向に……ま、まさか何処へ逃げたのかわかって……」
なつき「あー ありそうで怖いですね~ 行動パターンはもう把握されてしまっているでしょうし。 ほら、カスミも今日は解散ですのでゆっくり休むですよ~ あ、一人が嫌ならなつきでもいいですけど騒がしすぎて嫌ってならツカヅチお貸しするですよ?」
ツカヅチ「え! 私の人権は!?」
なつき「ないです。」
カスミ「あ、あはは……みんな相変わらずだなぁ……うん、そうだね……大丈夫。一人で大丈夫だよ。でも……明日迎えに来て欲しいかな? きっと朝、起きれないだろうし。」
なつき「それくらいお安い御用ですよ!」
カスミ「そっか……じゃあ、また明日ね?」
ゆづき「……心配ね。」
なつき「心配ですね……でも、なつきは先輩のことも心配なんですからね? もう記憶が戻らなくてもいい、なんて思っちゃだめですよ?」
ゆづき「……でもやっぱり」
なつき「いいですか? 確かに記憶は、先輩の物ですけど。でも思い出してもらえなくて悲しむのって、先輩じゃなくて思い出してもらえない相手ですよ?」
ゆづき「!」
なつき「だから、相手のためにも、きちんと思い出すです。人と関わりを持つ以上、きちんと思い出すべきなのですよ。」
ゆづき「そうね……ふふ、なつきにリーダーは、自分ではあわないっていうけれど案外、あってると思う。……よろしくね、リーダー」
その夜……
ローズ「また馬鹿兄からの電話……出るわけないのに。何度も何度もよくかけてくるよね……ん? なんでこのタイミングで扉を叩く音が……ハッ、ま、まさか!」
(ドゴォォォォン!)
ローズ「ぎゃああああ! さ、さくや先輩!!」
さくや「え、ちょ、ちょっと! え? 何あの速さは!? 壊したとたんに右へ……やるわね、ローズ……」
異常な一日は何時も通りの終わり方だった。
異常なことがあったとしても、最後が同じならさほど変わらない。
何故なら同じ毎日などありはしないのだから。
きっと彼女達の新しい旅も、毎日違う毎日同じそんな似たようで違う旅になるに違いない。
おまけ
なつき「そういえばさくや先輩! あの騒ぎで使ってた武具全部出すです!」
さくや「何言ってるの? 処分したに決まっているでしょう?」
なつき「ハァァァ!? 何言ってるですか! あれって確か高級装備ばかりだったですよ! あ、でも腕は何も装備してなかったですね。」
さくや「そこまでの装備で予算切れだったから買えなかったの。」
なつき「というか、何処からその予算が出てきたのですか?」
さくや「親衛隊の、運営資金。」
ゆづき・なつき「え?」
ローズ「えーっと……ようするに、さくや先輩は、親衛隊を運営するための資金を私的流用しちゃったわけですね?」
さくや「そうね。ずばりいうとそうなるわね。」
なつき「何してやがるんですかこの腹黒参謀は!!」
ゆづき(会計のチェックぐらいさくやに任せず自分できちんとやるべきだったわ……)
さくや「過ぎてしまったことは仕方がないでしょう? 処分してできたお金は、きちんと戻しておきましたから。これに関しては、許してくれないかしら?」
なつき「誰が許すですか! 激減した運営資金の責任とるですよ!!」
ゆづき「さくや……せめて、元の金額に戻るまで、しっかり戻そう?」
さくや「そうですね。きちんと返します。」
なつき「? さくや先輩にしては素直な返しですね? 反省してるですか?」
さくや「……でも返し終わるまで、きちんと見張っていないと、わたくし、何をするかわかりませんわよ?」
なつき「そういう意味でしたか!? 誰が目を離しますか!」
さくや(そう、わたくしから目を離さないで……)
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