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2010年11月28日~12月2日に公開しました親衛隊第5話です。
5更新分です。

※注意!!
この回は同性同士の絡みがやや強い回となっています。
嫌いな方は覚悟して読み進めるよう注意よろしくお願いします。

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学院に戻ったゆづき達。しかしそこである異変を目にすることとなる。

カスミ「ええっ!? なんで張り紙はがされてるの!?」

ローズ「しかもかなり乱雑に……」

さくや「……はがされている、張り紙は……!!」

ゆづき「なんの張り紙?」

さくや「プリシアナッツ……」

なつき「え? そんなの内容暗記してますから別に問題ないのですよ~ 書き直して張っておきましょうか~?」

さくや「無駄でしょうね。きっと張ってもはがされるわ。原因の方を何とかしないと。」

なつき「原因? そんなのはがしちゃった人は単に衝動的にはがしちゃっただけでしょう~? どう解決するのですか?」

さくや「……先輩。ここはわたくしが。」

ゆづき「心当たりがあるの?」

さくや「ないんですか……いえ、ないんでしょうね、今の先輩では……」

ゆづき「何?」

さくや「いえ、ない方がいい、といっただけですよ。」

ローズ「えっと……私は聞こえちゃったんですけど……耳だけはいいから。」

さくや「なら、黙ってなさい?」

ローズ「こ、怖いですよ、さくや先輩!!」

ゆづき「……? 聞かれて、困るようなことをつぶやいたの? あなたが?」

さくや「こ、困惑しすぎです。そこまで驚くようなことでも……!」

なつき「さくや先輩もまだまだですね~ ゆづき先輩が不思議がっているのは、むしろさくや先輩の豹変ぶ」

さくや「なつきも黙ってなさい?」

なつき「なつきがしゃべれなくて誰がなつきをするんですかっ!? 黙れといわれて黙らないのがなつきですよ~!! 例え黙れといったのがさくや先輩だろうが関係ないのです! こうなったらしゃべりまくりですよ!!」

カスミ「なつきちゃん、きもち、すーーーっごくわかるけど! ここは控えよう、ね? さくや先輩の目が怖い……!」

なつき「さくや先輩がなんだですよー!」

ゆづき「なつき、話が進まない。黙っててくれる?」

なつき「ゆづき先輩が進めたいなら黙るですよ。」

カスミ「そんなあっさり!?」

ゆづき「とにかく。さくやには何かしら、これを解決する手段がある。ということでいいかしら? ならお願いするわ。後の人たちが、困る……」

さくや「はい、お任せください。明日までに解決して見せます。そこで……」

ゆづき「そこで?」

さくや「ローズさんに手伝ってもらってもいいでしょうか?」

ゆづき「ローズさえ構わないなら構わないわよ。」

ローズ「お断りする理由もないし……ただ、せめて。ホラー話はなしでお願いします……」

さくや「……それは、貴方次第だと思うわ。」

ゆづき・なつき・カスミ・ツカヅチと別れた2人。

ローズ「それで今のゆづき先輩では心当たりがない。のくだりの意味につい」

さくや「貴方は黙ってついてくる。」

ローズ「は、はい……」

さくや「……」

ローズ「……」

さくや「……」

ローズ「……あの? 私、何のために連れてこられているんですか?」

さくや「付いてくればわかるわ。」

ローズ「いや、説明なしについてきてでは」

さくや「ついてきなさい。」

ローズ「は、はい……」

さくや「……」

ローズ「……」

さくや「……」

ローズ「……あの、これはちょっと気まずすぎるんですが!!」

さくや「え? 静かでいいじゃない。」

ローズ「うるさすぎるんですね、いつもがうるさすぎるんですね。わかります。わかりますからこの2人きりの、非常に気まずい状況を何とかしてください!」

さくや「あら、あなた静かなの、ダメ?」

ローズ「さくや先輩のようなタイプと静かに2人きりなんて気まずいです。」

さくや「なつきと2人きりで静かなのを想像してみて? まだましよ?」

ローズ「……た、確かになつきちゃんが静かなのも不気味かも……」

さくや「わたくしはあまり喋るのが好きじゃないの。目的地まで着いたら話すから。だからしばらく黙って?」

ローズ「わかりました……」


ついた先は薄暗いエントランス。何かがある雰囲気というより何かが出る雰囲気の場所である。

ローズ「えーっと。何故、こんな所に?」

さくや「それは……今からおびき出すために決まっているでしょう?」

ローズ「さくや先輩、話が見えません。」

さくや「貴方は大人しくしていればいいのよ。」

ローズ「あの、先輩? 顔が近いですし、なんだか私、壁の方に追いやられていませんか?」

さくや「だってそうしているもの?」

ローズ「え、待ってください? 雰囲気的に怪しいんですが?」

さくや「ああ、これ、失敗したらただわたくしが得するだけだから、安心して?」

ローズ「何が安心なのかさっぱりわかりません! あ!!」

さくや「わたくしが……獲物を逃がすとでも?」

ローズ「ちょ、ちょっと……倒された上に……近い! 近いです!!」

さくや「近くしているもの。」

ローズ「あれですか? もしかして先輩はあっち趣味なんですか!?」

さくや「あっち趣味じゃわからないわよ?」

ローズ「否定しないんですね!? だ、誰か!」

さくや「だからここじゃないとダメだって言ったのよ? 呼び出す相手もそうだから。」

ローズ「え? えっ!? ちょっと待ってください!? ならば私である理由はありませんでしたよね!?」

さくや「あの中では唯一エルフの女の子じゃない? ただのわたくしの趣味。」

ローズ「理由としてあまり納得できないのですが!? い、今ほどエルフであったことを嘆いたことはありません……ほ、本当に! 誰か!!」

アサミン「はぁ……こんな手段で私を呼び出すなんて。本当、悪趣味……そっちの子も安心しなさい。そいつがそういいながら手を出したことは一度としないわ。しかし覚えてたのね、マクスラーク。さくやが女の子と2人でいたら必ず連絡してって約束。」

ローズ「こ、声が! 声が届きました! ありがとう神様!!」

アサミン「あー 残念ながらまだ感謝するのは早いわよ? 正直それ、私の手に負えないから放置したいぐらいだし。」

ローズ「ええええ!! お、お願いですから助けて、誰でもいいから助けてください!!」

さくや「あら? 助けるの? アサミン?」

ローズ「えっ!? ちょっと衝撃の事実が多すぎるのですが! というかアサミン先輩はセレスティアだから多分上からやってきてくれたんだろうけどそれすら見えない、このさくや先輩の接近具合は異常です!!」

アサミン「……正直、関わりたくないのだけど。というか張り紙を見たでしょう? 私は今、いらだってるの。わざわざ呼び出さないで!」

さくや「貴方が悪いんじゃない。ご丁寧にプリシアナッツのクエストの張り紙だけはがして。ゆづき先輩を揺さぶろうなんて。」

ローズ(なんでここでゆづき先輩が!? というか聞こえてない!?)

ローズ「えっと! 私はいていいんですか!? ねえ、ここにいていいんですか!?」

アサミン「あれは単にあの単語が気に入らなかっただけよ。そういう意図はなかったわ。でもそう思ったんなら少しは効果あったのね。やって損はなかったわ。」

さくや「わたくしのゆづき先輩を、勝手に変えようとしないでくれる?」

アサミン「何言ってるの? ゆづきはあんたのおもちゃじゃないのよ? 変えると変えないとか。あんた本当に何言ってるのよ。」

さくや「わたくしに変に手を出されたくなかったのなら、あの時貴方が看病していればよかったじゃない? わたくしの趣味、あの時はもう気づいていらしたんでしょう?」

アサミン「……そ、それは。そうだけど。まさかこんなことになるとは思ってなかったのよ……」

さくや「知っていたのに放置した。全てにおいて。だからこそ貴方が、あのパーティーの、あの事件の。一番の重罪人でしょう?」

アサミン「……っ!」

ローズ(え? これってアサミン先輩が責められている? どうして? ……聞く限りじゃさくや先輩に悪い所ありそうなんですが。)

さくや「それで。過去のことは知らんとばかりにマクスラークとまた組んでいるそうじゃない? そんな貴方にゆづき先輩のことを思いやる資格なんてあげる気はないのよ。」

ローズ(……というか、完全にこれってさくや先輩の方が悪役だよね……? どうしよう、私どうしよう? 蹴り上げる? いやいや相手は術師だし……)

さくや「とにかく。ゆづき先輩のことを少しでも気にしているのなら。ゆづき先輩の視界から今後一切消えて?」

アサミン「お断りよ!」

さくや「強がりはおよしなさいな。あのパーティーのメンバーで、貴方を恨んでいない人なんていないわ。案外マクスラークも貴方を苦しめるために……」

アサミン「……うるさいうるさい! わかったわよ!! もう張り紙には何もしないわよ! だからもうその口閉じて! その子から離れなさい! あんたの目的は、私にお説教。それだけでしょ!?」

さくや「……その通り。本来の目的は果たせたし。わかったわ。離れます。」

ローズ「……た、助かった……!?」

さくやが離れるが否やローズとさくやの間に割り込むようにして降り立つアサミン。

さくや「アサミン? あなたどういうつもり?」

アサミン「この子をきちんと送り届けるまで安心できないわ。……大丈夫だった?」

ローズ「え? あ、は、はい……」

アサミン「じゃあ、つかまって? 飛ぶわよ。こんな所さっさと出るに限るわ。」

ローズ「あ、は、はい。でも……」

さくや「いいのよ、いって。みんながいる前ではわたくしも変なことはいたしません。……あなた次第だけれども。」

ローズ「……!」


アサミン「さて、ここまでくればいいわね……大丈夫? なんで震えてるのよ?」

ローズ「あ、あのですね……私、さくや先輩とパーティーを組んでいまして……」

アサミン「ああ、今後の……えっと。参考までに男女比率を教えてもらえる?」

ローズ「ゆづき先輩を含めまして、5:1ですね。」

アサミン「……いい? 絶対その1の男の側から離れて2人きりにはなっちゃだめ! いいわね? あいつも考えなしに襲うほど落ちちゃいないから人といればまだ安全よ。」

ローズ「は、はい……もうこりごりです……」

アサミン「あと、ゆづきの側。そこだけは絶対安全よ。できればゆづきから離れないこと。」

ローズ「え? でもさっきゆづき先輩がどうのとか……」

アサミン「さくやが一番怖がってるのはゆづきの前でボロを出してしまうことよ。あいつはリスクを嫌うから。ボロを出せないなら、そもそもそういう行動自体取らないわ。」

ローズ「な、なるほど! なんだか納得です!」

アサミン「そう。ならもういきなさい。私と2人きりでも変に噂にされるわよ?」

ローズ「はい、ありがとうございます!」


部屋への帰路に歩を進めようとしたローズだったがあることを思いつき立ち止まる。

ローズ「アサミンさんって。」

アサミン「なに?」

ローズ「噂より、ずっと、いい人ですね……どうして変な噂ばかり立っているんでしょうね?」

アサミン「さてね……興味がないし知りたくもないわ。じゃあね。」

ローズ「ああ! 待ってください!!」

アサミン「何?」

ローズ「えっと。その。これは本当は、ゆづき先輩本人に聞くべきなんでしょうけれど……聞く機会がなくて。その。」

アサミン「なに? じらさないでよ。あなた可愛いからさくやでなくても襲いかねないわよ?」

ローズ「脅さないでください! えっと。ゆづき先輩が何で、今も学校にいるのか……かな?」

アサミン「冗談言ったのはごめんなさい。このタイミングではちょっと不謹慎だったわね。で、なんで疑問形?」

ローズ「えっと……本当はアサミン先輩やゆづき先輩、さくや先輩の関係とかそういうことの方が聞きたいな、とも思うんですけど……」

アサミン「い・や・よ。」

ローズ「ですよね……」

アサミン「だから、なんで卒業してないの? ってことに切り替えたわけね。まあそれぐらいなら……ただ、信じるか信じないかはあなたが判断すること。」

ローズ「はい!」

アサミン「あと。この話は本人およびパーティーメンバーには話さないこと。」

ローズ「えっ!?」

アサミン「あまり、いい話じゃないもの。それに……さくやのこともあるし。」

ローズ「思いっきり敵対していませんでしたっけ?」

アサミン「それはそうなんだけど、だけどその……ああ、もう! ほら、ゆづきの話が聞きたいんでしょう? さっさと話して私はいくわ。」

ローズ「わかりました。お願いしますね!」


さくや「というわけで……張り紙をはがしていた本人にはよく言い聞かせておきましたので、もうはがされることはないかと。」

ゆづき「そう。ありがとう、さくや。」

さくや「いえ、ゆづき先輩の頼みでしたら……あ、ローズ。戻ったのね。」

ローズ「あ、は、はい! ただいま戻りました!」

なつき「どうしたのですか~? なんだか顔色が悪いのですよ~?」

カスミ「本当だ……犯人ともみ合ったときにちょっと打ち所悪くて保健室にいってたって聞いたけど……もう少し保健室にいた方がよかったんじゃ?」

ローズ「そういうことに……なってるんだ……」

ツカヅチ「? どうしたの、声にも元気がないし……」

ローズ「え、あ! ちょっと、疲れちゃったのは確かなので……でも報告がまだだしと思って。でもさくや先輩が終わらせちゃいましたよね! だから、も、もう部屋に戻って寝ますね! おやすみなさい!!」

(バタンっ)

ゆづき「……少々、心配ね。あとできちんと様子を見に行ってあげないと。」

さくや「いえ、ゆづき先輩の手を煩わせるほどのことでもありません。わたくしが、見てきますよ。」

ゆづき「今日は本当、何から何まで……ありがとう。」

さくや「いえ……」

さくや(アサミン、あなたには、絶対に渡さないわ……)


おまけ
(ガチャ)

さくや「……鍵? ローズさん?」

(ドンドンドンッ)

ローズ「……あああああああああ!! やだ、怖い怖い!! スノードロップの時のホラー話よりもっとずっと怖い!!」

さくや「……ローズさん? いるの?」

(ドンドンッ)

ローズ「こんな恐怖だったらホラー話のほうがよかった!! 神様! 仏様! どうか私をお守りください!」

周りの様子を伺うさくや。この時間である。人の気配はない。

さくや「……ローズ、返事ぐらいしなさい?」

(ドンッ)

ローズ「……(ガクガク)」

さくや「……エアーガン!」

(バキバキッ!! ドゴォォォーン!)

ローズ「ええええ!? 魔法でぶち壊すなんて酷すぎです!!」

なつき「な、何事です!?……ってなんですかこの状態はっ!?」

さくや「……あまりに反応がなかったから、大丈夫かなと……ちょっと、やりすぎてしまいましたけど。」

なつきが音を聞きかけつけるとやたら明るい笑顔のさくやがおり、その前に扉がゴナゴナに砕けて破片だけが落ちている。

なつき「過激なことするですね……あれ、ローズ、どうしたですか? なんでシーツに包まっているのです? なんでなつきをジーッと見つめているです?」

ローズ「そ、そうですよね、不安ですよね!! 大丈夫ですよ! 私、言いつけ守れるいい子ですから! だからなつきちゃんと寝ます!!」

なつき「? さくや先輩の言葉とローズの返答が噛み合っていない気がするですが一緒に寝るのは大歓迎なのですよ~ わーい!」

さくや(チッ……)

ローズ「!!」

もちろん、なつきと一緒でもローズは眠れるはずもなかった。

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