今回も4更新分です。
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ゆづき「そうよ。その通り。わたしには、記憶がない。」
リュー「何でそれを言ってくれなかったのよ!」
あっちゃん「どーどー、リュー? わたしもうっかりしてたわ~ 貴方が問い詰めないといわないタイプだっての、すっかり忘れてたもの~」
ゆづき「うん、質問されなかったから。だから答えなかったの。それに……さくやに言うなって止められていたから、質問されてもすぐには答えられなかった。」
リュー「……? アサミンはゆづきが記憶喪失だってことはさくやが言う事になっていた、って聞いたわよ?」
ゆづき「そうなの? だったらさくやが言いたくて、わたしを止めてたのかしら?」
リュー「だったら、親衛隊活動に託けて積極的にアタシ達を追い返す理由にならないでしょうが。」
ゆづき「それもそうね。さくや、何がしたいのかしら?」
あっちゃん「ん~ これはさくやが臭いわね~ ゆづきがこんな嘘つくとは思えないし~」
リュー「そうよね……あ、そうだ。本当の本当に、まったく思い出せないの?」
ゆづき「ん……何か違和感覚えて確認とろうとすると大体、さくやが発言をさえぎったり否定するから……はっきりと思い出せることの方が、少ない。」
あっちゃん「……それって……」
ゆづき「さくやがおかしいのは、わかってる。でもさくやが、何も意図せずやっているとも、考えたくない。……貴方達が確かめてくれるというのなら、ありがたい。」
リュー「人任せな……まあ、貴方が聞いても答えはしないわね。しょうがない。さくやに聞いてみるしかないわね。」
あっちゃん「そうと決まればさくやの所へ……」
なつき「ああ、やっぱり原因はさくや先輩だったのですね~」
ツカヅチ「え、なつきちゃん? やっぱりって?」
カスミ「う、う~ん。確かにこれだけ聞くとさくや先輩めちゃくちゃ怪しいけどなぁ……」
ナーシャ「ワタシは説明責任果たしたからね。これ以上はあんたらが勝手に考えることよ。」
なつき「ナーシャは本当ざっぱですね~ お嫁の行き先なくなっちゃうですよ~?」
ナーシャ「何でそんな心配を今さっきあったばかりの奴にされなくちゃいけないのよ!」
なつき「おお~ いい突込みです!」
ナーシャ「遊びでやってるんじゃないわよ!」
ロビン「……ナーシャ? 遊ばれてないか? 大丈夫か? きちんと説明できたか?」
ナーシャ「ろ、ロビン!? べ、別にあんたに心配されなくてもきちんとできたわよ!」
ロビン「そう? ならいいんだけどさ……さっきのだけだと、心配にもなるぞ?」
なつき「ああ、あの時のロビンとかいうナンパエルフで今回の首謀者ですね~」
ロビン「首謀者ってほど偉くもないけどな。」
なつき「いやいや、よくやったですよ。なつきもですね~ 実は最初からヒルター様にゆづき先輩のことお願いされていたのですよ。だから今回のお話は話してもらえてよかったと思っているのですよ! 本当、助かったですよ~」
カスミ・ツカヅチ「ええっ!?」
なつき「な、なんですか、2人とも!? なつきが好きでさくや先輩に絡んでいたとでも思っていたのですか!?」
カスミ「だって……」
ツカヅチ「普段からそうっぽいって、ゆづき先輩が時たま言ってたし……」
なつき「……なつきたちって、周りから見るとそう思われていたのですか……ちょっとショックですよ……ま、まあさくや先輩って放っておくとどこか寂しそうな表情見せることもあるので構ってあげていたというのもありますが……」
カスミ「え? そうなの?」
ツカヅチ「はじめて聞いた……」
ナーシャ「しかし誰とでも何時間でも、絡んでいきそうよね、なつきって。」
ロビン「あのヒルターの件の時も多分、止めてもらえなかったら俺がずっと絡まれてたのかもな……」
なつき「ああ、もう! みんなしていわないで欲しいのですよ!! ほら、さっさとゆづき先輩と合流するです!」
なつき(ヒルター様があの人の足止め担当ですから、不安なんてないはずです。あの人が、ヒルター様を攻撃するはずがありません……なのになんですか、この胸騒ぎは。)
さくや「まったく。手間を取らせて……いけない人ばかりですわね。」
あっちゃん「ヒルター様が抑えていたはずなんだけど……まさか……」
さくや「ああ、ヒルター? まったく。利用できるから使わせてもらっていただけですのにね。野郎に興味はないのよ。わたくしは。」
リュー「……な、なーんか、いつもと雰囲気が違うんだけど? 何が起きちゃってるわけ?」
あっちゃん「しかも、野郎に興味はないなんてアサミンみたいな……あ、ああ!?」
リュー「どうしたのよ、あっちゃん?」
あっちゃん「そっか、そういうことだったのね!? アサミンとさくやがいがみ合ってたのって! 同じ趣味だから! 好きな人が被ってたっていうこと!?」
リュー「はあっ!? そんな理由で!? というか何でこのタイミングで暴露する必要が!?」
さくや「アサミンといいヒルターといい……わたくしの完璧な、ゆづき先輩独占計画を邪魔して……もう、許しません……」
あっちゃん「あらら……ブチ切れ? らしくないわね……しかし下手なボス戦より手ごたえ有りそうよ、これ。」
リュー「下手なボス戦って……戦う気なの!? っていうか独占計画って何!? 意味がわからない……!」
あっちゃん「仕方がないでしょう? 向こうやる気よ? あんたもあの時の戦闘で知ってるでしょ? さくやの本気の実力。……下手に手を抜くとあっさりやられちゃうわよ?」
さくや「もう邪魔できないように……全員消すわ。そうよ、そっちの方が最初から早かったじゃない……! 手駒にするのも面白そう、って思って確保してたのが甘かったのよ……ゆづき先輩さえいればそれでいいじゃない……そうよ……!」
リュー「こ、これはやるっきゃないわね、確かに……」
ローズ「ハァッ、ハァッ……ロビンさんが動いたことをヒルター様とあっちゃんさん達に伝える……さくや先輩から離れれるからいいんだけど! それにしてもさくや先輩足止め組、大丈夫かな……ダイ君とヒルター様、男の人だしきっと無事なはずだけど……」
図書室についたローズが見たのは、羽を引き裂かれたダイと、角と翼にいくつもの切り傷を負ったヒルターの姿。
ローズ「えええええ!? 間違いなくさくや先輩なんだろうけど! 傷跡からみて!! でもなんで!? 何で親衛隊のはずのさくや先輩がヒルター様まで……あれ?」
ローズ(冷静に考えるとさくや先輩ってヒルター様のこと、好きなはずがないんだよね……私なんかを襲うぐらいだし。あれ? だったらどうしてヒルター様の親衛隊? 何のために、好きな振りをする必要があったんだろう……)
ローズ「ああ! 考えてる場合じゃなかった! 助けなくっちゃ! 運ばなきゃ!」
リュー「な、ちょ、ちょっと……」
あっちゃん「ま、まさか……ね。そうよね、防具整っているとはいえ、行っている所がまだ魔法攻撃激しくないから魔法防御に対する防御は甘いわよね……そこを衝かれた、ってことよ……それにしては、威力が、高すぎない……?」
リュー「な、ちょ、ちょっと! あっちゃん、しっかりしなさい!」
さくや「あと、貴方だけよ? リュー。そうだわ。大人しくわたくしに協力するというのなら傷つけないであげるわ。貴方可愛いしね?」
リュー「な、なにとんでもないことを……ってかアサミンと同じようなこといわないで!? アタシはノーマルなの、ノーマル! ヒルター様のことが好きなの! それ以外に興味はないの!」
さくや「あらそう? ならやっぱりヒルターは確保しておくべきだったわね……あいつはいいわ……あいつがいるだけで女の子がゴロゴロ釣れる……」
リュー「あ、あんた……まさかそれで親衛隊作ったの!?」
さくや「親衛隊ができるほどカッコいい人って誰だろう? っていう興味を生み、人が集まる……ゆづき先輩を親衛隊隊長に祭り上げておけば、ヒルターがいるのにどうして野郎が手を出そうとするのでしょうか? ゆづき先輩に変な虫がつかなくなるからゆづき先輩が隊長なのよ? 親衛隊という名目だけで、選びたい放題な上に尊敬するゆづき先輩を私だけのものに出来る……一石二鳥とはこのことよ。」
リュー「つまり、全部あんたの計算だったってこと?」
さくや「ええ、そうよ? ゆづき先輩が記憶を失ってくれた。過去のことを一切気にせずわたくしのものにする機会ができた。嬉しくてたまらなかったわ。これでわたくしだけの、先輩だって……!」
リュー「あ、あんたは……!」
さくや「だから。本当は貴方たちは邪魔だったのよ。……だけど、早急に始末する必要もなかった。アサミンが全て、汚名を被ってくれたから。だから見逃してあげていたというのに……」
なつき「なるほどですね~ でもそれ、ゆづき先輩に知られちゃおしまいですよね~」
さくや「……なつき?」
ゆづき「そういう、ことだったのね。」
さくや「ゆづき先輩!?」
なつき「ゆづき先輩を探していたら一人放置されてたそがれてたので連れてきたです。けどまさかこんな状態になっているとは思ってなかったのですよ!」
ゆづき「……別にわたし、記憶は戻らなくてもいいって、思ってた。今みんなと仲良くやれてるならって。記憶が戻ったら壊れてしまうんじゃないかって不安も、あったから。でも……それが、意図された物だった、というのなら話は違うわ。」
さくや「……それは誤解です。記憶喪失は結果。経緯は偶然。」
ゆづき「でも経過はあなたの意図通りよね? どうなの?」
さくや「……」
ゆづき「これがわたしが気づけなかった結果なら。恐れの結果だというのなら。わたしが、わたしがきちんとケリをつけるわ。」
さくや「……ふふ、そういう先輩が。誇り高い先輩がわたくしは好きだったから。独占したいと、思ったから……だから先輩が悪いんですよ? そう、わたくしはそんな先輩においていかれたくないだけなんだから……悪くない、わたくしは、悪くない……!」
ゆづき「……!」
カスミ「しかしなるほど……ローズちゃんが怖がってたのって……そういう理由だったんだ……」
ツカヅチ「親衛隊の結成秘話……なんて自分勝手な理由! ファンとして、許すわけにはいきません! ファンとは! その人を愛してこそ!」
カスミ「カッコいい台詞ありがとう~ でもツカヅチさんがいうとものすごい変態チックになっちゃうからやめて欲しかったよっ!」
なつき「目立たないですけど、一応男ですからね~ ツカヅチは。」
ゆづき「……でも性別や種族関係なくファンって、そうあるべきだと思う。」
カスミ「あはは……流石ゆづき先輩……」
ゆづき「……はっきりいうと。ヒルター様に、ううん、ヒルターにそこまで興味があるかといわれると。わたしもそれほどないけれど。さくやが昔はそうだったっていうからわたしも形式上、やっていただけ。……偉そうなこと、いえないわ……」
カスミ「そ、そうだったんですか!?」
ツカヅチ「え、つまり……!?」
なつき「ほ、本気でヒルター様守ろうとしてたのってなつきだけですか!? な、そんな酷いですよ!!」
ゆづき「ごめんなさい……」
なつき「ああ、いいのですよ、ゆづき先輩はいいのです。刷り込まれてただけっぽいですし? だから本当に酷いのは……!」
カスミ「さくや先輩ってことだよね……! 今までずーっと騙されてた! 許さないよ!」
さくや「……わかっているわ、そうよね、本性晒した地点でこうなることぐらい。戻れないことぐらいわかっていたわ……先輩を奪わない限り、わたくしは、1人……ふふっ、みんなまとめて刻んであげるわ!」
ゆづき「さくや。わたしも、刻める?」
さくや「先輩に対してもちょっと、甘すぎましたから。やっぱりローズのときのようにしっかりと教え込まないとダメ……ってことですよね……!」
カスミ「怖っ! ろ、ローズちゃん一人でこの状態のさくや先輩と対峙したの!? そりゃ恐怖でおかしくもなるって!」
ツカヅチ「……えっと、第2、第3の被害者どころの騒ぎじゃなくなりそうなんですけど。これ……!」
ゆづき「……くる、みんな、構えて!」
ローズ「ああああ!? 恐怖の女帝再臨してる!! ……でも、何かおかしい気もする……あんなに、怖かったっけ……」
ローズ(出て行かないとみんなやられちゃう……でも私で何とかなるのかな、何とかならないかもしれない、どうしたら……)
ナーシャ「ちょっと?」
ローズ「えっと。今、考え中なので話しかけ……わわわ!?」
ロビン「お、驚くことないだろう……?」
ナーシャ「はぁ……あれ、どうすればいいの?」
ローズ「え?」
ロビン「さくやさんだよ、さくやさん。あれ、止める方法ないのかなって。」
ナーシャ「真正面からぶつかっても勝てるかどうか怪しいでしょう? だから何か方法ないかなって。」
ローズ「わ、私に相談されても……」
ナーシャ「やっぱりダメね……ロビン、やっぱり力づく以外方法なさそうよ?」
ロビン「やれやれ……女の人に手を上げるのは、本当は嫌なんだけどな。」
ナーシャ「問題は、出て行くタイミングね……う~ん、あれと真正面は本当、嫌ね……」
ローズ「あれ、お2人とも、止めに行かれる?」
ナーシャ「当然でしょう?」
ローズ「……貴方も? 本当に?」
ナーシャ「……とにかく、何かないの? 何もないなら正面から突っ込むしかなくなるのだけど。少しぐらい考えなさい。」
ロビン「ここから不意打ちしかけるとかどうだ?」
ナーシャ「あんたしか無理でしょうが。」
ロビン「……ナーシャは魔法があるだろ?」
ナーシャ「この子が、ないでしょうが。」
ローズ「う~ん……あっ、ものすごく、ものすごく嫌な思い出だけどあれは使えるかも……」
ナーシャ「? ロビンよりまともならいいわ。言ってみなさい。」
ローズ「あの、これの実行のためにお2人にはお願いしたいことが……」
ゆづき「……!」
さくや「無駄、無駄なのよ……! わたくしがこういう時のために武器を隠していないわけがないでしょう? ……なつき、いったわよね? 所詮序盤は武器なのよ!」
なつき「ぐぐぐぐ……その通り過ぎて何もいえないですよ……!」
ツカヅチ「なつきちゃんはもう下がった方がいいですよ!」
なつき「引っ込めれるかってんだですよ! それに、わざわざ前衛で立ってるのには、理由があるです。」
カスミ「理由って?」
なつき「さくや先輩のエアーガンは1列攻撃なのですよ。前衛1後衛3の隊形だと間違いなく後ろ狙うです。なつきでもそうするです。」
カスミ「た、確かに……」
なつき「さくや先輩、力はないから前でも1発ぐらい食らってもなつきでも平気なのですよ! でも……流石にそろそろまずいです。ツカヅチ、もう魔力、のこってないですよね?」
ゆづき「……わたし、ヒール使えても、大したことないから……ツカヅチ、あとどれくらいいける?」
ツカヅチ「あと3人分程度しか魔力が残っていません……!」
ゆづき「きついわね……」
ナーシャ「ならヒールはワタシが。ロビン、後ろ固めるわよ。」
ロビン「おう! 任せろ。」
なつき「え? ええ!? せっかく最後の切り札に残したお二人が戻ってきちゃ意味がないのですよ!」
ナーシャ「こんな状況、見逃せるわけないでしょうが。」
カスミ「何かいい方法が!?」
ロビン「いや、ない。」
ツカヅチ「そ、そんなぁ……」
ロビン「だが手数を確保できれば何とかなるだろ、きっと。」
さくや「何人きても的が増えるだけよ……エアーガン!」
なつき「ヤンッ!」
ゆづき「ま、まさか、先に……こっちとは、ね……」
ツカヅチ「え! ああ!」
ナーシャ「何って馬鹿威力のエアーガンなのよ……! こんなのヒールだけで追いつくはずないじゃない!」
ロビン「言ってる側から……仕方がない、俺が前に出よう。」
カスミ「あたしも! この中ならまだあたしが前出るべきだと思う!」
ロビン「2:2か。確かに。これならまとめてやられることはないな。」
ナーシャ「仕切りなおしで……いくわよ! やああ!」
さくや「あたらなければなんてこともないわ。」
ロビン「はっ!」
さくや「だから、無駄なのよ。」
カスミ「あったれー!」
さくや「本当、無駄なことがお好きなのね。カスミ、もっと集中しないと当たらないわよ?」
ツカヅチ「ウッド!」
さくや「術師のわたくしに、そんなものが効くわけないでしょう?」
ロビン「なんだこりゃ……!?」
ナーシャ「よ、避けすぎでしょこれは!」
カスミ「……さっきからずーっとこうなの。何とか、動きさえ止められれば……」
ツカヅチ「そもそも、術師が避けまくりなんておかしな話ですよ!」
さくや「伊達に後ろから動きを見ていないわよ? 攻撃の動作の大まかな特徴さえ捉えてしまえば、あとは動くさえ封じられなければ避けることはそれほど難しいことではないのよ。」
ローズ「ならこうです!」
(ガシッ)
突如参戦したロビンとナーシャを含むパーティー気を取られていたさくや。
そのため背後に忍び寄っていたローズに気づかず、いとも簡単に羽交い絞めにされてしまった。
さくや「!? ろ、ローズ!? な、何故後ろから!? いつの間に!?」
カスミ「ローズちゃん!? た、確かに今やって欲しいことだったけど! いつの間に!?」
ツカヅチ「ぜんぜん気づけなかった……お、おかしいな? 先輩と対峙してた私達まで気づけないなんて。」
ローズ「実は気配消したり、タイミングはかったりするのは得意なんですよ? でも気配消したりタイミング計ってたら、前衛できないじゃないですか? だからしてこなかったんですよ!」
さくや「それで、わざわざ、後ろから? ふふっ……貴方がいないのには気づいてた。でも貴方がこのタイミングで後ろから攻めてくる、なんて想像できなかったわ……」
ナーシャ「上手くいったようね。」
ロビン「驚いたぜ。これやるって話聞いて本当に出来るのか疑ったんだけど……完璧に決めたな。」
ナーシャ「……ワタシはやれると思っていたけど。」
ロビン「どうして?」
ナーシャ「……」
さくや「でもローズ? これではわたくしの魔法は、防げ」
カスミ「不味いね……これは今しか……動かないで!」
右手に握った杖に魔力を集め始めたさくやの動きをみて、
カスミは素早く鋼鉄製のホルダーから銃を抜き、銃口をさくやに向けた。
その銃は、カスミが普段使っている銃よりはるかに大きく、精密に作られているように見える。
さくや「……なかなか、立派なおもちゃを持ってるじゃない、カスミ。なんで最初から使わなかったの?」
カスミ「本当ならこんな物騒なの、使いたくないよ! でも……今はっ!」
さくや「……」
ツカヅチ「さくや先輩。この状況はもう」
さくや「認めるとでも」
ゆづき「認めるしか、ない。」
倒れ伏せていたはずのゆづきがいつの間にか起き上がり、
さくやの胸元に槍を突きつけていた。
さくや「……先輩、もしかして、やられた、振り?」
ゆづき「こうでもしないと、さくやは油断してくれないでしょう? さくやに、スピードで勝てると思ってない……どう? これで負け、認める気になった?」
さくや「そうねこれは……わたくしの、負けね……ふふ、もう少し、やれると思ったのにね。先輩にまで、見放されちゃった……この結末、笑うがいいわ……」
ローズ「……さくや先輩?」
ロビン「笑えないって……あんなに粘られるってことは、本気だったって、ことだろうからさ。本気でやってる相手を、笑う気になんてなれない。」
さくや「慰めなんて、いらないのよ……」
ナーシャ「話を聞くだけのはずが……とんだ大騒動になったわね。」
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題名について少しだけ。
このあたりではまだ完全に定着していなかったのですが、数人には属性イメージがついています。
さくやは、風です。つまり題名の『狂風』はそのまま、狂うさくやのことをあらわしています。