2010年10月22日、23日に公開しました第2PT第2話を第1話、第2話の続き物の第3話として再録しました。
2更新分ですが初期の2更新はかなり長めの為、十分すぎる量です。
ヒルター加入編であり、特に手直しの必要もないので訂正のみにてお送りします。
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歓迎の森に侵入したパーティー。そのパーティーにヒルターの姿はない。
ナーシャ「本当に加入するって言ってきたわけ?」
ロビン「本当だって。な、ダイ?」
ダイ「う、うん。話してみてびっくりしたよ……凄く紳士な人なんだね。」
リュー「見た目からさわやか系じゃない。なびくエメラルド色の長髪、りっぱな翼と角……」
あっちゃん「さながら別の世界の魔王様だよね~」
リュー「あんたは本当にヒルター様のファンなのか疑いたくなるわよ。」
あっちゃん「ああいう人にこき使われてみたいわ~ って思う~」
リュー「ヒルター様はそんなタイプじゃないでしょ! あんたの希望を押し付けないで!」
ナーシャ「……余裕綽々ね、うちの前衛。」
ロビン「ナーシャからみてもリューとあっちゃんは先輩だぞ? 当たり前だろう?」
ナーシャ「知ってる。気になってあとで調べてみたら2人とも戦闘実習の成績、常に上位の優秀な冒険者見習いだった。」
ダイ「? だった?」
ナーシャ「最近の記録がまったくないのよ。おかしなことに。でも入学当初の成績はトップクラス。」
ロビン「わけありってことか……まあ、ここで探りを入れるのも悪いだろ。気軽に行こうぜ。」
ナーシャ「しかしなんであんな優男っぽいのが好みなのか趣味を疑うわね。」
ロビン「ナーシャは、ヒルターが嫌いか? 俺はあまりにもさわやか過ぎてちょっと苦手。」
ナーシャ「あんたと一緒にしないで! 優しそうであんたなんかより断然、好感度高いでしょうが!」
ダイ「ナーシャさんって本当、気難しいなぁ……あ!! み、みんな前!」
リュー「ああ、一つ目魔道?」
台詞とともに1撃の元に敵を切り裂くリュー。
あっちゃん「こんなの数のうちにも入らないわ~」
リューに呼応するかのように流れるように相手を切り払うあっちゃん。
ダイ「ええええ!? 瞬殺!?」
ロビン「こりゃ、心強いことで……ちょっと先に進んでみるか?」
あっちゃん「そうね~ こんな所うろちょろしててもつまらないし~」
リュー「きちんとあんた達は守ってあげるから。さっ、いくわよ!」
ナーシャ「好きにすればいいわ。」
あっちゃん「おお~ 悪魔の占い師発見~」
リュー「少しは手ごたえあるのが出てきたわね。さあ、いくわよ!」
ロビン「っていっても攻撃できるのは2人と俺だけだけどね。」
ダイ「ボクはヒールのために魔法は節約した方がいいよね……」
ナーシャ「ワタシ、ブラスト1発分しかMPないんだけど?」
ロビン「あー じゃあナーシャはあっちの一つ目魔道……ん?」
ダイ「どうしたの、ロビン。」
ロビン「2人とも大丈夫か? 数が桁違いだぞ、これ。」
ナーシャ「……! な、これ全部で15匹もいるの!? まずいじゃない、いくら戦いなれしてる2人でも!」
あっちゃん「た、確かにちょっとまずいかも~」
リュー「1発1発は大したことないけど、塵も積もればナントやらって奴ね……ダイ、あんたのヒールのタイミングが重要よ。いきなりいい勉強ね!」
ダイ「あ、あうう……いきなりそんなこといわれても……!」
ロビン「仕方がない、これを使うか。」
ダイ「? ロビン、何それ?」
ロビン「ブローガン+7。」
ナーシャ「はぁっ!? あんたなんでそんな高価な武器いきなり持ってんのよ!」
ロビン「43人目に振られた、ちあきってドワーフの女の子がくれた。」
ダイ「……あ、ちあきさんは覚えてるよ。きちんとロビンの話を最後まで聞いてくれて、最終的には彼氏がいるのに期待させてごめんなさいって謝罪までしてくれた優しいドワーフの子だったよね。」
ロビン「その子と昨日帰り際に偶然会ってさ。自分のパーティーでは使わないからってくれたんだ。」
ダイ「……あとできちんとお返ししておくね。」
ロビン「お前も律儀だなぁ……まあ、俺からきちんと返すからお前は何もしなくていいよ。」
ダイ「本当だね? きちんとお返ししなよ?」
ナーシャ「和んでる所悪いんだけど。ダイ、あんたが回復させてあげないとリュー死ぬわよ?」
ダイ「えっ!? ああああ! ごめんなさい!!」
リュー「これぐらいじゃ倒れないっての。ナーシャ、あんた結構心配性ね?」
ナーシャ「あんた達に倒れられたら、後衛のワタシたちまで被害受けるじゃない。あんたのためじゃないわよ!」
ロビン「さりげなく俺たちまで含めてくれるのが本当、優しいな、ナーシャは。」
ナーシャ「言っとくけど、リューとあっちゃん倒れたらあんたを前衛に出すからね。」
ロビン「お任せください、お姫様……ってね!」
(ヒュッ!)
ブローガンの威力はすさまじく、悪魔の占い師ぐらいならばロビンでも1撃で倒せるようだ。しかし……
ナーシャ「……結構やるじゃない。でも流石に数が多すぎるわね……いきなりピンチじゃない? これ。」
あっちゃん「こういうピンチを切り抜けてこそ一流……なんだろうけど半人前だしねぇ~ワタシ達。」
ヒルター「いや、ピンチのときこそヒーローは登場するものだぞ? お前達!」
あっちゃん&リュー「ヒルター様!?」
モンスターの背後から相手を切りつけるヒルター。
突然の襲来にモンスター達も慌てふためいている。
ロビン「もうこないかと思ったぜ……ヒルター。」
ヒルター「ヒーローの登場シーンとはどういうものか、考えていた。そうしたら少し出遅れてしまってな……」
ナーシャ「……ねぇ、ちょっと馬鹿っぽくない?」
ダイ「ごめん、ボクも遅れてきている理由がちょっと馬鹿っぽいなって思った。」
ヒルター「いかにかっこよく魅せるか。これもヒーロー学科の大切な勉強内容なんだ。」
ロビン「馬鹿って言うか単純に素直なんだ。馬鹿素直なんだ。」
ナーシャ「……ま、まあここまでくるとちょっと好感持てるわね……」
ダイ「な、ナーシャさん? たまに思うんだけど結局ナーシャさんってヒルターさんのことどう思ってるの……? ヒルターさんのこと話してるときのナーシャさんって」
ナーシャ「あんたは前の2人を見る! ワタシなんか見てなくていいの!」
ダイ「ええっ!?」
ヒルター「ダイだったか? いきなりですまないがヒールをもらえないか? ここに来るまでに一つ目魔道の群れに囲まれてギリギリなんだ……」
ダイ「ええっ!? 助けにきたんじゃなかったんですか!?」
ヒルター「……すまないな、かっこ悪いヒーローで……」
ナーシャ「……ワタシがヒールしてあげれればよかったんだけど、まだ覚えてないのよね……」
あっちゃん「リュー、そっち! そっちはあと1撃で終わる!」
リュー「OK! ……な、避けるな! ナーシャいける!?」
ナーシャ「あ、こういうときに出番なのね……はいはい、ブラスト!」
ロビン「あとはこいつで終わり……とっ!」
ダイ「つ、つかれた~!」
ナーシャ「そう?」
ダイ「そりゃ、ナーシャさんはMPもないしブラスト1発しか打たなかっただろうから疲れてないだろうけど!!」
ナーシャ「あ、レベル上がった。」
ダイ「何そのやたら適当なレベルの上がり方!!」
ナーシャ「レベルが上がったくらいで騒いでたら疲れるでしょうが。」
ダイ「でもほら、レベルって大事だから喜んでも……」
ロビン「ナーシャが祝わないなら俺が祝ってやるよ。おめでとう、ナーシャ。」
ヒルター「そうだな。レベルは大切だ。おめでとう。ナーシャとやら。」
ナーシャ「……べ、別にあんた達のためにレベルを上げてるわけじゃないんだから!」
あっちゃん「あ、ナーシャ、あんた魔法も覚えてるよ~?」
リュー「ヒールじゃない。よかったわね。これで回復役2人で生存率も上がるわ。」
ヒルター「回復役が増えるのは心強いな。おめでとう。」
ナーシャ「あ、あんた達のためにヒールを使うって決まっているわけじゃないのよ!?」
ダイ「でもさっき、自分もヒールが使えたらっていってなかったっけ……」
ナーシャ「あんたは余計なことを覚えていなくていいの!」
ダイ「あぁっ!! ご、ごめんなさい!!!」
ロビン「ま、まさかこれをナーシャのレベルが上がったり、魔法を覚えたりした時ごとにやるのか……? 突っ込み癖のあるダイの体が持たないぞ!?」
あっちゃん「そう思うんだったら代わりにあんたが突っ込んであげたら~?」
リュー「あはは、無理だねぇ。信頼度的に。」
ヒルター「なかなか、面白いパーティーみたいだな。少々無理してきて、よかったかもしれないな。5人とも!」
リュー「なんでしょうヒルター様!」
あっちゃん「ヒルター様、なんですか~?」
ダイ「あ、は、はい!?」
ナーシャ「何よ?」
ロビン「なんだ?」
ヒルター「これから一緒に冒険させてもらう、ヒルターだ。これから、よろしく頼む!」
ロビン「ほんとうに律儀な奴だな、お前って。本当は女の子じゃないと握手なんてしないけど。よろしくな、ヒルター。」
ダイ「あ、は、はい! こちらこそよろしくお願いします。ヒルターさん!」
ナーシャ「こいつらにあんたを連れてこいって言ったのはこのワタシよ……悪かったわね。……ヨロシク。」
あっちゃん「ヒルター様と同じパーティーなんて夢のようです~ どうぞわたしを壁として使ってくださいな~」
リュー「な、そういう発言は控えなさいよ、あっちゃん! あ、アタシがヒルター様に手を出そうとする連中は全部たたき切りますから! 絶対ヒルター様を死なせはしないわ!」
ヒルター「あはは……大丈夫、オレもみんな守れるよう、がんばる。それがオレにとってのヒーローだからな!」
おまけ
ナーシャ「そういえば昔からヒーロー物とか好きだったの? ヒーローにやけにこだわってるみたいだけど。」
ヒルター「強気を挫き、弱きを守る。確かにそれも正義だと思う。でもオレは、それだけじゃないと思っている。自分の正義を貫き通す、これこそが真の正義、真のヒーロー!」
ナーシャ「答えになってないんだけど?」
ヒルター「だからヒーロー物はよく見ていたが正義の価値観を押し付けようとするので好きではない。だからこそ、理想のヒーローにオレがなろうと思ってな。」
ナーシャ「長いのよ、前置きが! ま、まあ理由としては、嫌いじゃないけど。」
ヒルター「そうか、そういってもらえると嬉しい。」
ナーシャ「べ、別にあんたを喜ばせるために嫌いじゃないなんていったわけじゃないんだからね!」
ヒルター「……ツンデレ学科も、大変だな。」
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