2010年10月16日~19日に公開しました第2PT第1話の前半部分を1話として再録しています。
本来は7更新で1話分だった物を前半後半にぶった切りましたが5更新とそもそも長いので気にならないかと。
ぶった切りの原因は親衛隊組です。
親衛隊組を第1部はさくやメインにて書き直す関係でこのようなことになりました。
ご了承ください。
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今、学園のエントランスには一人のバハムーンの男性を中心とした人だかりができている。
その人だかりを少し離れた所より見ている3人の男女がいた。
ロビン「ほらいくぞ、ダイ。」
ダイ「い、いいのかな……こんな理由でパーティーに誘うなんて……」
ロビン「あんだけ希望者がいるんだ。あいつも選定に困っているはずだって。俺としてはあまり誘いたくはないんだけどな。」
ナーシャ「なら誘わなければいいじゃない。無理することはないのよ、ロビン。」
ロビン「でもあいつがいないときてくれないんだろ? ならやるさ。やってやるさ。」
ナーシャ「相手は3大アイドル唯一の男、ヒルターよ? そんな相手誘えるわけないじゃない。」
ダイ「そ、そうだよ……! ナーシャさんの遠回しな拒否、きちんと受け取ろうよ?」
ロビン「嫌だね。それに俺は拒否だなんて思ってない。これぐらいできなきゃ、自分につりあわない、そういう意味だよね、ナーシャ?」
ナーシャ「鬱陶しい奴ね……ダイの言っている事の方が正解よ。」
ダイ「ほ、ほら! ナーシャさんが困ってるじゃない……別の人にしようよっ……!」
3人の言い争いなど関係ないかのように、エントランスの中心の人だかりは時間を追うごとに大きくなっていく。
これだけ人が集まると、3人の言い争いの方に興味を持つ者が現れない方がおかしくない。人だかりから2人の女性が3人の方へと歩み寄った。
リュー「あら、あんた。少し前にヒルター様の親衛隊にぶっ飛ばされてたフェアリーじゃない。」
あっちゃん「あ、本当だ~ まだ懲りずにこんな所に……危ないから近づかないほうがいいって言ったじゃない。それとも、また吹っ飛ばされたかった~?」
ダイ「あ、あなた方はあの時の……確か、リューさんにあっちゃんさん、でしたよね。」
ロビン「ダイ、お前、なかなかやるじゃないか。こんな可愛い女性と知り合いだなんて。」
ダイ「ち、違うよっ! そういう仲じゃないって! それに! あれはボクが事情も知らずに近づいたから悪いのであって……」
ロビン「別に言い訳なんかしなくてもいいだろ?」
ダイ「言い訳なんかじゃないって! なつきちゃんとちょっと話したかっただけで……」
あっちゃん「あー ダイ君の言ってた手のかかる親友ってこのエルフね。あ~わかるわかる。なんかさっき台詞だけでわかるわ~」
ロビン「わかってもらえるなんて光栄ですね。なら、次にくる台詞もお分かりですよね?」
あっちゃん「残念ながらお断りだわね~ そもそもわたしにはヒルター様という運命を誓い合いたい相手が」
リュー「だから、あんたがヒルター様とそういう関係になることなんかないわ。アタシが、なるんだから!」
あっちゃん「リュー、あんたとはいつかけりをつけなきゃいけないけどそれは今じゃないでしょう~? ほら、人様の前だし。」
リュー「わかってるわ、それくらい。で? あんた達はここで何やってるの? こんなところでこんなに長くこそこそ話してると変な疑いもたれてファンの連中に袋叩きにされるわよ?」
ナーシャ「あんなファンどもなんて怖くないわ。あんな群れないと何もできない連中なんて。」
リュー「お? 貴方、女、しかもエルフのわりに言うわね? 何学科? ちなみにアタシはナイト。」
ナーシャ「別に何学科でもいいじゃない。それに。さっきの発言は種族差別よ?」
リュー「あ、ああ……ごめんなさい。つい、ね……気を悪くしたなら謝るわ。」
ナーシャ「謝る位なら最初から言わないで。」
ロビン「ナーシャはツンデレ学科だからあえてツンツンしてるだけだからあまり気を悪くしないでくださいね? ちなみに俺は狩人。でもモンスターなんかじゃなくてできれば女性の心の方を射止めたいね。」
リュー「うわぁ……キッザー……」
あっちゃん「だから最初の台詞でわかるっていったじゃない~。変に話題振るときっと一番ウザイと思うよ~こいつ。だからさっさと簡潔に締めくくってヒルター様のところへいこう~?」
ナーシャ「そうしてもらえると助かるわ。こいつウザくてウザくてたまんないの。早く用件伝えましょ? ダイ、頼める?」
ダイ「ええっ!? ボ、ボクですか? ……え、えーっと……」
ロビン「ダイ、男が頼まれごとしたらびしっと決めないといけないぞ? ほら、いえよ。」
ダイ「最初の計画じゃロビンがいうことになってたじゃないかっ!」
ロビン「ナーシャのご指名だぞ? なんでそれをあえて俺がしなくちゃいけないんだよ。」
ナーシャ「どっちでもいいからさっさとして。」
ダイ「え、でもボクは……!」
あっちゃん「ナーシャちゃん、だっけ~? あなたが言うのが一番早そうなんだけど~?」
ナーシャ「ワタシには関係ないことだもの。ワタシが言う理由なんてないわ。」
あっちゃん「え、え~っと。何も話が見えないんだけど最初から説明してくれるかな~?」
ナーシャ「何でワタシがそんなこと話さないといけないのよ。」
リュー「普通ならなかなか言い難いことをズバズバ言うわね。そういうのは嫌いじゃないけど。でもこれじゃ話も出来ないんだけど……」
ダイ「あ! そ、その。ごめんなさい! えっと……とりあえず最初からお話すればいいんですよね?」
リュー「そうね。落ち着いて最初から話してくれる?」
ダイ「わかりました。ちょっと、長くなっちゃいますけど……」
数時間前。
ロビン「あー これで70人目かぁ……」
ダイ「入学1週間で70人にも声掛けている方がおかしいよ!!」
ロビン「そうか~? 俺は彼女を100人作るために入学したようなもんだしな~」
ダイ「友達100人できるかな? のノリで言わないでよ!!」
ロビン「別にいいじゃん、一夫一妻制じゃないんだし。」
ダイ「だけどどう考えても不健全だって!!」
リュー「うわ、最低!」
あっちゃん「流石に100人はどうかと思うわね~ まあ1人に決める必要はない、ってところは同意だけど。」
リュー「じゃあヒルター様じゃなくてもいいじゃない。」
あっちゃん「ヒルター様は、特別なの~ あと。ヒルター様だけ、ともいってないじゃない~?」
リュー「それはそれで問題でしょうが!」
ダイ「あ、あの~ 続けてもいいですか?」
リュー「あ、ゴメンゴメン。続けてくれる?」
ロビン「おっ! 赤髪の可愛い子発見~! あ! 先にとられた……」
ダイ「何処にでもロビンみたいな人がいるんだね。」
ロビン「俺と誰にでも声掛けてそうなあんな奴と一緒にするんじゃない! ……あれ? 男の方いきなりぶたれた!? 去っていくぞ?」
ダイ「きっと振られたんだよ。ロビンもああなるのがオチだからやめて……いない!? 早いよ、ロビン!!」
ナーシャ「……あんた、あれ見てたのにワタシに声掛けたの……?」
ロビン「? なんでぶたれて去っていく男がいるぐらいでためらう必要があるんだ?」
ダイ「普通、ためらうと思う。えっと続けていい?」
ナーシャ「勝手にすれば?」
ダイ「うぅ……ボクが止めたんじゃないのに……」
ナーシャ「話すなら話す。めそめそしてないの!」
ダイ「は、はいっ~~!!」
ナーシャ「あんた、誰?」
ロビン「俺はロビン。狩人さ。できればモンスターを狩るのではなく、君みたいな可愛い子のハートを射止めたいけ」
(バシンッ)
ダイ「ああああああ!! 言ってる側から!!」
ナーシャ「軽い男は嫌いなの。じゃっ」
ロビン「待ってくれ!」
(ガシッ)
ナーシャ「離しなさいよ。」
ロビン「話をしてくれるまで離さない。」
ナーシャ「鬱陶しい……わかった、聞いてあげるからさっさと話しなさいよ。でも聞くだけ。分かったわね?」
ロビン「分かった、でも最後まで聞いてもらえるまで離さない。いいかな?」
ナーシャ「ダメ」
リュー「ロビンだっけ? あんたいい所全然ないね。」
あっちゃん「あるわよ、いい所~ 根性だけはあるわよ~」
リュー「だけ? だけってさりげなく酷くない?」
ダイ「あ、こ、ここからですから。ロビンのいい所!」
ロビン「なあ、ダイ。何で俺のフォローの話になってるの、これ。」
ダイ「ボクに聞かないでよ……そもそもフォローしなくちゃいけない状況にしないでよ……」
ダイ「ロビン! なにやってるんだよ! エルフの女の子嫌がってるじゃない!」
ナーシャ「……? 何このフェアリー。このキザ男の友達?」
ダイ「す、すみません……」
ナーシャ「あんたが何で謝ってんのよ、気弱な奴は嫌いよ。少しはこのキザ男を見習ったら?」
ダイ「うぅぅぅ……」
ロビン「そんなにダイをいじめないでやってよ。貴方の言うように、確かにこいつは気弱だけど、悪い奴じゃあないんだ。」
ナーシャ「へぇ……友達をかばうぐらいのことはするのね。」
ロビン「そりゃあね、入学試験で知り合ったぐらい浅い仲ではあるが友達が少なかったらしく入学までの間ちょくちょく遊んで」
ダイ「わー! わー!!! や、やめてよ、ロビン~!!」
ナーシャ「……そんなに短い間なのにここまで親しげなの? 男の友情って本当わからないわ。」
ロビン「そうでもないさ。まだまだ、俺はダイと仲良くなりたいと思っているさ。もちろん君とも。」
ナーシャ「はいはい……あんたの性格はなんとなく分かった。余計な一言が多いのね。」
ダイ「ご、ごめんなさい……本当、いつも一言が余計で振られてばかりで……」
ロビン「それを言うなそれを。」
ナーシャ「そりゃそうでしょうね。で、同じ用件ならワタシもお断りだけど。」
ロビン「そこで俺は考えた。」
ナーシャ「何を?」
リュー「本当に、何を?」
あっちゃん「今まで聞いたロビンくんとナーシャちゃんの性格だとロビンくんが何考えてても全部アウトっぽいわね~」
ダイ「ボクも話していてそう思うよ……」
ロビン「せめて内容を! 内容を聞いてから批判してくれませんっ!?」
ダイ「ろくでもない内容だけど、続けますね。」
ロビン「だから! 内容言う前から誤解させるようなことを言うな、ダイ!」
ダイ「誤解も何も……」
ロビン「友達からでいい! 俺と友達になってくれ!」
ナーシャ「は? それ、ナンパの決まり文句じゃない。何処が考えてるのよ。馬鹿じゃないの?」
ロビン「嫌うならせめて俺をきちんと知ってから嫌ってくれ!」
ナーシャ「この会話だけで嫌ってもらっちゃ困る、ってわけ? 無駄だと思うけど。」
ロビン「無駄かどうかはやってから!」
ダイ「……ねぇ、本当に迷惑そうだし、そろそろ……」
ロビン「嫌だね。赤髪エルフ、それもこんなにツンツンだなんて俺、モロ好み!」
ダイ「……えーっと」
ナーシャ「ナーシャ。」
ダイ「ナーシャさん。本当にごめんなさい。」
ナーシャ「あんたが謝ることじゃないでしょ。こいつに謝らせるならともかく。」
ダイ「ロビン、謝って?」
ロビン「何で? なんで好みを好みって言っちゃいけないの? しょうがないじゃん、好みなんだから。」
ナーシャ「……ハァ。わかったわよ。あんたに付き合ってるフェアリーのほうが可哀想だし、授業仲間、ぐらいならやってあげるわよ。」
ロビン「要するにパーティー仲間!? いい! 全然それでいい!!」
リュー「あれ? これでめでたしめでたし、じゃないの?」
ダイ「その、ナーシャさん、引き下がったわけじゃなかったんです……」
ナーシャ「ワタシが、ワタシが気に入らない奴と、どうして無条件にパーティーを組んであげなくちゃいけないのよ。ダイとだけならともかく。」
ロビン「ダイのことは好きなんだね?」
ナーシャ「うじうじしてて嫌い。」
ロビン「嫌いなのに組んでもいいってのはおかしいじゃない。つまりナーシャは嫌い嫌いも好きのうち、っていう素でツンデレやっている部類だと」
ナーシャ「ワタシはただキツイだけよ! カリキュラムが優秀ってだけでツンデレ学科なんか履修するんじゃなかった……!」
ダイ「……えっと、そろそろ、ナーシャさんの言い分のお話に入って、いいかな?」
ナーシャ「ええ、さっさと話して。誤解されたままじゃたまんないわ。」
ダイ「ええ!? 本当にいいんですか!?」
ナーシャ「ただし。この学院に3大アイドルがいるってのは知ってるでしょ? そっちのあんたなら。」
ロビン「セレスティアの光術師・アサミン、ノームのダンサー・ニーナ、あと野郎が1人。」
ナーシャ「……バハムーンのヒーロー・ヒルター。この人をパーティーに勧誘してOK貰うこと。これが条件。」
ダイ「ええええええ!!! そんな、3大アイドルを勧誘だなんてそんな無茶難題……!!」
ナーシャ「別にいいわよ、ワタシは。ツンデレ学科はまだ新設。でも勉強する部類は魔法全般と優秀だから結構パーティーの引き手があるのよ。あんた達とは違ってね。」
ダイ「ぼ、ボクは水術師だから一応、回復役ってことで勧誘はいくつか受けているけど……ロビンは?」
ロビン「まったくないね! そもそも弓は狩人じゃなくてもいいし。需要があまりないのさ!」
ナーシャ「でしょうね。だからこのお題、できなくて困るのはこいつだけ。こいつが何処まで本気か見させてもらうにはちょうどいいでしょ?」
ダイ「で、でもいくらロビンでも男に声をかけるのは……」
ロビン「何言ってる、ダイ。俺はやるぞ。ナーシャとパーティー組めるならやってやるさ!!」
ダイ「と、いうわけなんです。」
リュー&あっちゃん「……どうしてそこでヒルター様!?」
ナーシャ「その、無理難題を言おうと思ったのはいいけど心当たりが……ヒルターぐらいしか思いつかなくて。」
あっちゃん「……あれ、そういえばナーシャちゃんって何回生?」
ナーシャ「12回生」
リュー&あっちゃん「あー……」
ロビン「そもそもこの学院、アイドルは12回生としてヒルターとニーナが入学するまでアサミン一人だったんだよな。2人が入学して一気に3大アイドル、なんてことになってアサミンは一気に人気が落ちたんだよな。その関係で12回生で3大アイドルを知らん奴はいない、と。」
リュー「納得。事情はよーーーくわかったわ。」
あっちゃん「リュー、この状況、悪くない。」
リュー「そうね……ヒルター様とパーティー組んで親衛隊に一矢報いよう作戦、決行できるわ。」
ナーシャ「は?」
あっちゃん「実はね~ 私達、ヒルター様のファンなのよ~」
ナーシャ「そんなこと様付けしてることで分かる。」
リュー「昔は良かったのよ。ヒルター様とも話せる機会も多かったから。それで満足してた。でも最近、あまりにファンが多くなったもので結成された親衛隊のせいでアタシ達みたいな普通のファンがヒルター様と話せる機会が一気に減っちゃった……」
あっちゃん「今この状態もそう。人は多いけど実際中心の方でヒルター様と話せているのはほんの数人……流石にもう、耐えられない! 特に。親衛隊のうちの2人とは知らない仲じゃないわけだし。」
リュー「あっちゃん!」
あっちゃん「隠すようなことでもないでしょ~?」
ロビン「どういうことだ?」
リュー「ちょ、ちょっとした、ね、知り合いなのよ。」
ダイ「ちょっと……?」
リュー「と、とにかく! アタシとあっちゃんはそれほど仲いいほうじゃないけどね、それでも思いは一緒ってことで、どうしたら話す機会を確保できるか相談してたのよ。」
ナーシャ「それがパーティー。……ロビンと一緒の思考ね。」
あっちゃん「正直驚いたわよ~ 同じ考えに至る人っているもんなんだ、ってね~」
リュー「こんな馬鹿みたいな奴と一緒って思うと、ちょっと悲しくなるけど……」
ロビン「ひ、酷い言われようだなぁ……」
ダイ「仕方がないよ、日ごろの行いのせいなんだから。」
ロビン「ともかく! お2人ともヒルターとパーティーを組みたいわけだ……俺らと一緒!」
ナーシャ「俺『ら』でくくらないでよ。」
ダイ「そうだね……僕らの中で積極的にパーティー組みたいのはロビンだけだね……」
ロビン「どちらにせよ、これで強い仲間ができたわけだ! 任せろ、俺がヒルターを説得する!!」
リュー「何でいきなり強気になってんのよ。というかアタシたちがあんた達のパーティーに入るんじゃなくてあんた達がアタシたちのパーティーに入りなさいよね?」
あっちゃん「そんな細かいことどっちでもいいじゃない~ そっちの3人は狩人・ツンデレ・水術師で後衛ばかり。わたしは戦士、リューはナイトだから前衛が1人足りないわ~ ものすごーくちょうどいいわ~」
リュー「ヒーローは前衛学科だから誘うにもちょうどいいのよ。でも正直アタシもあっちゃんもあまり口がうまい方じゃないのよ。お願いできると嬉しいわ。」
ナーシャ「ワタシは巻き込まれているだけだから誘う理由がないわ。」
ダイ「ぼ、ボクもないです。何よりあれだけ人がいる状態でパーティーに入ってくださいだなんて言えないです……」
あっちゃん「そうなるとこいつしかいないのよね~ ちょうどいいわ~本当に。」
ロビン「任せてください! 絶対ヒルターをパーティーに勧誘してみせる!!」
リュー「で。何処から攻める気なのよ? あの人だかり、ちょっとやそっとじゃ抜けれないわよ?」
ロビン「ダイ、飛べ。上から一番通れそうなルートを探して指示をくれ。」
ダイ「ほ、本当にやるの……う、うーん。ボクで大丈夫かな……」
リュー「えっ!? 本気であの人ごみをかいくぐってヒルター様のところまで行くつもり? 別に今じゃなくてもいいのよ……? ここは引くって言うと思ったのに……」
ロビン「そういって俺はニーナを誘い損ねたんだ……! いく!!」
あっちゃん「あらら、そんなことあったのね~ こりゃ言っても無駄そう~ ガンバー」
リュー「仕方がないわね。ダイだっけ? アタシも手伝ってあげるから無事にロビンをヒルター様のところまで届けるわよ。」
ダイ「え? い、いいんですか?」
リュー「……最初はあんたの友達だけの話だったけど、今はもうアタシとあっちゃんの話にもなってるからね。これくらいさせなさい?」
ダイ「は、はい! ありがとうございます!」
リュー「お礼はロビンがヒルター様のところについてから! さ、ロビン、いきなさい!」
ロビン「頼むぜ、ダイ、リューさん!」
リュー「そこ! そこの青髪のヒューマンの横から紫髪のエルフの方面へ抜けて!」
ダイ「ロビン! そっちの人の横じゃないよ! そっちの白髪のノームの男の人を右へ! ……あれ? なんで男の人がいるの??」
リュー「知らないわよそんなの! あっ、そっちの……え、あれ男? 女? どっちに見える、ダイ?」
ダイ「えーっと……わ、わからないです、その中性的な人を左に抜けてください~」
リュー「ああ、その言い方ならわかるわね。」
ナーシャ「な、なんだか大事になってきたわね……」
あっちゃん「面白いわね~ いろんな種族・いろんな性別の人が集まっているなんてなかなか見れないわよ~?」
ナーシャ「見れないだろうけど、特別見たいものでもないと思う……」
ナーシャ(それにしても……見た目、ね。……そんなわけないわよね。)
ダイ「そこ! そこのクラッズを抜ければあとはまっすぐでいいよ、ロビン!!」
リュー「よしっ、抜けた!! 後は任せたわよ!」
ロビン「ハァハァ……な、なんってハードワークなんだ、これは。」
ヒルター「ん? どうした、大丈夫か? 息を切らせて?」
ロビン「ああ……大丈夫だ。」
親衛隊A「ヒルター様、お下がりください。」
親衛隊B「一体何処から入り込んだの? ヒルター様は現在パーティーメンバーの選考中なの。邪魔をしないで。」
親衛隊C「貴方のようなひ弱そうなエルフなんてお呼びじゃないです! 帰るですよ!」
ロビン「俺も、そういうわけには、いかなくてね……本当は3人とも、口説きたい所なんだがそれどころじゃ、ないんだ。」
親衛隊B「くどっ……なんて汚らわしい! つまみだす……!」
親衛隊C「待つです待つです! いくらなんでもいきなり魔法をぶっ放そうとするのはやめるです!」
親衛隊A「少し、落ち着いて……」
親衛隊B「口説きたいなんて戯言を言うような相手に容赦なんて必要ありません!」
ヒルター「待て待て。こんなに一生懸命人だかりを掻き分けてきてくれているんだ。何か理由があるんだろう? オレでよければ、聞くぞ?」
親衛隊C「ヒルター様もヒルター様です! 順番守らず割り込むような奴のいうことなんて聞く必要ありません!」
ロビン「あんた達はヒルターの親衛隊なんだろう? ヒルターが聞くって言っているのをさえぎるのが、あんた達の仕事か?」
親衛隊C「ヒルター様が貴方のような口だけで生きていそうなやからに騙されない様、守るのも仕事です!」
ロビン「騙すだなんて話を聞かずに決め付けるのはよくないぜ?」
ヒルター「彼の言う通りだ。話を聞いてからでも遅くはないだろう?」
親衛隊A「ヒルター様がそうおっしゃられるのでしたら……でも邪魔でしたらすぐにおっしゃってくださいね?」
親衛隊C「な、それでいいんですか!?」
親衛隊B「先輩。少々甘すぎでは?」
親衛隊A「……いいの。これで。」
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所々で手直しを加えていますが一番目立つのは親衛隊だと思います。
SNS公開時は意味なくヒルターから引き離すただの狂信者状態だったものが、
『口説きにきたという台詞が決め手になってつまみ出そうとしている親衛隊』になるよう手直しを加えています。