2010年12月3日～6日に公開しました第1PT第6話です。
4更新分で少々長い上、更に手直しまで加えている関係で第1話並となっています。
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再び、図書室の掲示板を見に来たタスク一行。
タスク「今度はあるぞ！」
ちあき「あら、保健室の先生の依頼ね。あの先生の依頼だなんて珍しいわね。」
アサミン「そう。じゃああなたたちで話を聞いてきてくれる？」
ちあき（ねえ？）
タスク（なんだよ、小声で。）
ちあき（アサミンさん、最近様子がおかしくない？）
タスク（最初から結構おかしな奴だった気がするけど？）
ちあき（それは……そうだけど。それとは違って……）
タスク（あえてあげるなら、最初の頃に比べると俺達に絡まなくなったな、って所か？）
ちあき（よね。何か悩みでもあるのかもしれないわよ？）
タスク（俺は嫌われてるだろ……マクスラークにでも頼めよ。錬金の時といい昨日のことといい、よく2人でいるだろ？）
ちあき（それはそうなんだけど……）
アサミン「何を話してるの？」
ちあき「あっ、いえ。先生の用事ってなんだろうなって……」
タスク「そっ、そうそう！ あの先生の用事だぞ？ きっと危ない仕事だろうな～って！」
アサミン「……二人して嘘が下手ね。人のことは言えないけれど。まあいいわ。そういうことにしておくからさっさと聞いてきて？」
ちあき（完全に気づかれてる……わよね、これは。）
タスク（だな……）
マクスラーク「まあまあアサミン君。あまりせかさない。僕も一緒にいってくるから、君は大人しく待っていたまえ？ いいね？」
アサミン「まるで私が何か起こそうとしているかのようなこといわないで。あと、行くならついでに。」
マクスラーク「ん？」
アサミン「あの2人もつれてって？」
ミュール「！？」
タケシ「き、気づかれていたっす！」
マクスラーク「……君達……気づかれなければ、一緒にいかなくてよかったとでも思ったのかい？ さあ、いくよ。」
タスク・ちあき「はーい。」
ミュール「ああ！ アサミンさん！！」
タケシ「ああ！ こ、こら！ 襟首掴むなっすよ！ 引張るなっすよ～！！」
マクスラーク「往生際が悪いとアサミン君に嫌われるよ、2人とも。ほら、大人しくくるんだ。」
ミュール・タケシ「アサミンさん～～～！！」
アサミン「悪いわねマクスラーク。……まあ、あれを見れば、こうしてもくれるわよね……」
さくや「……これは昨日のお返しかしら？ アサミン？」
アサミン「まあね、さくや。」
タスク「冥府の迷宮か……どんなところだろうな！」
ちあき「……最後の追い返される時の言葉はちょっと……本気だったようにも……」
ミュール「そんなことはないと思うけど、何処から何処まで本気かわからないわよね、あの先生って。」
タケシ「でも腕はばっちりっす。心配することは何もないっすよ！ 死人まで蘇るって言われるぐらいの名医っすよ？」
タスク「それもそれでこええよ……」
マクスラーク「確かにそれは言いすぎだとは思うが、本当に腕は確かなのだよ。あの先生は。悪く言わないでくれたまえ。」
ちあき「そうなんですね……マクスラークさんがいうなら、ちょっとは信頼できますね。」
マクスラーク「ここはちあき君じゃなくてタスク君に誉められたかった所だが……仕方がないね。」
タスク「気持ち悪いこというな！ あ、そういえばこんな風に気軽に話しちゃってるけどマクスラークとアサミンって、年上だよな？ 少しぐらい考えて発言すべきだったか？」
マクスラーク「僕もアサミン君もそういうことをあまり気にしない性質だからね。気にしなくていいよ。あと僕とアサミン君は10回生、同級生で間違いないが年についてはどうだろうね？ 入学した時の年齢は一定ではないからね。一応、最低基準ぐらいはあるようだが。」
ミュール「あたしとタケシみたいなもんね。」
タケシ「ミュールとオレっちは12回生、ヒルターやニーナと同級生っす。」
タスク「ひるたー？ にーな？」
ミュール「やっぱり知らなかったかぁ……現在の学院3大アイドルって言われててね。そりゃもう絶大なる人気を誇る3人のうちの2人よ。」
ちあき「そういえばそれってアサミンさんも……」
タケシ「そうっす！ あとからきた2人にファンを食いつぶされた感はあるっすけどそれでもまだまだ現役っす。」
ミュール「そうそう！ アサミンさんって昔から噂が絶えない人だったけれど、最近はもっと変な噂も立てられちゃってるし。アサミンさんには敵が多いなって思うわね～」
マクスラーク「……噂、かね？ 入学式の噂のほうではなく？」
ミュール「そっちじゃないわよ。知らないの？ 男より女の方が好き、とか強欲な女で自分のわがままだけを押し通すとか、実は腹黒、とか！ 確かに、そういう感はあるけれど……あの人の自分が好きなものは例え他人に否定されても自分では絶対に否定するな！ とか。」
タケシ「自分がやられて嫌なことは相手だって嫌なんだろうからやる時はきちんとフォローを考えてから！ とか。」
ミュール「少なくとも、あの人は腹は絶対黒くないって！ 隠し通せるようなタイプでもないだろうし！」
マクスラーク「……確かに。アサミン君の言動から当たらずとも遠からず、信憑性をある程度持った性質の悪い噂のようだね。ふむ……こんな噂を流すのは誰だろうね……」
タスク「うん、確かに隠し通せるタイプじゃないよな、あれ。あからさまに俺のこと嫌ってるオーラ全開だったし！」
ちあき「……私に対しては私が隠していてもらった方がよかった……って思うタイプなのを読んで、わざわざ……ま、まさか？ だとしたら器用ね……」
マクスラーク「器用だよ、彼女は。……自分の生き方に関しては非常に不器用といわざる得ないが。」
ちあき「あの、やっぱり知り合いなんですね？ アサミンさんと。」
マクスラーク「うすうす感ずいていたのだろう？ 今更確認しなくてもいいではないか。」
タスク「そういうわけにはいかないって。アサミンの様子がおかしいのだって気づいてるんだろ？」
ミュール「あれは気づかない方がおかしいと思うんだけど。」
タケシ「でもあえて、気づかない振りしておいたほうがいいのかなって思ったんっすよ、オレっちたち。」
タスク「え？ お前らも気づいてたの？」
タケシ「当たり前じゃないっすか！！」
ミュール「だからあえていつも通りを振舞ってみたんだけど……邪魔が入ったわ！」
マクスラーク「そう睨まないでくれたまえ……ほら、そろそろ掲示板だよ。」
アサミン「理不尽なのはそっちでしょうが！ 私を呼び出すためにあんなことまでして……しかも呼び出し理由は張り紙直せ、もうやるな、ただそれだけ！ 人様の迷惑って奴を少しは考えて行動しなさいよ！」
さくや「あなたが悪いのでしょう？ 公共の張り紙を何の理由もなくはがしたから。」
マクスラーク「……何を言い争っているのかね、あの2人は……」
タスク「すげぇ……ここまで聞こえる……」
ちあき「……昨日よりは元気そう、ね……」
ミュール「え、もしかして掲示板前に残った理由って……」
タケシ「というか、張り紙はがしたのってアサミンさんだったっすか……！？」
さくや「流石。一晩寝て整理できるほどつまっていない頭でよかったですわね。」
アサミン「な、なんですって！！」
マクスラーク「い、いかんな。あれはいつものパターン……すまないが先に行くよ？」
タスク「え、お、おい！！」
マクスラーク「待ちたまえ、2人とも待ちたまえ！」
アサミン「！ マクスラーク！？ 戻ったの！？」
さくや「……久しぶりね。彼女から、アサミンと一緒にいるという話は聞いていたけれど本当だったのね。」
マクスラーク「まあ、成り行きでね。しかしこんな再会はゴメンだったのだがね。」
さくや「ならあなたはいつも通り、傍観者でいればよかったのでは？」
アサミン「そうね……！ さくやとはどこかでこういう決着をつけなくちゃダメだったのよ……！」
マクスラーク「術師2人の喧嘩が素手で終わるわけないだろう……ここでは人様に迷惑がかかるよ、アサミン君？」
アサミン「……」
マクスラーク「こんな所でやりあって、変に誤解されたくないのではないのかね、さくや君？」
さくや「……そうね、わたくし、そんなキャラじゃありませんものね。」
マクスラーク「ふむ、わかってくれればそれで……」
タスク「おい！ どうしたんだ！？」
ちあき「た、大変！ 人が倒れて！！」
ミュール「タケシ、先生呼んで来て！ いや、あたしが運ぶから準備するよう伝えてきて！」
タケシ「わかったっす。くれぐれもその子を落とさないようにするっすよ、ミュール？」
ミュール「わかってるわ！ そっちの力の強そうなバハムーン！」
ゆづき「……わたし？」
ミュール「そう、そうよあんたよ！ 力かして！」
ゆづき「……いわれるまでもないわ。」
アサミン「え、何！？ 何事なのよ……あ、あの子！」
さくや「ローズ……？ なんで、倒れて……」
マクスラーク「な、この掲示板は僕らにとって鬼門なのかい……！？ さくや君、君のパーティーの子ではないのかね、あの子は？」
さくや「え、ええ……倒れた？ ……」
アサミン「こいつは連れてかない方がいいわよ。」
マクスラーク「何を言って」
アサミン「話は後！ とりあえず何をするにも場所は変えるべきよ。保健室前まで行くわよ。いいわね、さくや？」
さくや「連れて行かないほうがいいといいつつ、そこへ？」
アサミン「ええ。そもそもあなたがあんな言い方をしなければ、提案したいことがあったのよ。ちょうどいいわ。」
マクスラーク「……？」
タスク「ハァ！？」
ちあき「トレード！？」
アサミン「そうよ。一時的なトレード。」
マクスラーク「……アサミン君、もしかして君、こうなるかもしれないと思っていたのかい？ 突然にしては余りに話が」
アサミン「昨日のあれ、同じパーティーの奴があんな奴ってわかったらそりゃあ精神的にくるでしょう……さくやの奴はスイッチ入ると結構酷い方だし。」
マクスラーク「スイッチ……？ アサミン君、ちょっと、意味がわからないのだが。」
アサミン「あー あんたにもわからないわよね。とにかく、さくやに関わると大体最初はこんなもんよ？」
タスク「さくやにかかわるとって……なんでそんな疫病神みたいな言い方ないだろ！？」
アサミン「少なくとも私にとっては疫病神以外の何者でもないわ……！ あいつと関わるといつだって厄介事になるのよ……あの時もあの時もあの時も……！」
ちあき「えっと。もしかして学院に戻ってからずっと機嫌が悪そうだったのは……」
アサミン「そうよ、あいつのことを張り紙のせいで思い出して。それで破いたらあいつと再会よ！？ 本当、何処にでも出てくる……！」
ミュール「えっと。なんとなく話はわかりました。だから少し落ち着きましょう？」
アサミン「……ええ、そうよね、いつまでもこんな調子だとあなた達にも迷惑かけちゃうわね……」
タスク「気にするなって。俺らはどうせそれほどはやく進もうなんて思っちゃいないんだし。」
ちあき「だからこそ、ここでミュールとタケシさんを貸して、依頼の全容を掴んでから改めて私達はクエストに挑む、というのはありかなと思います。」
アサミン「ミュールとタケシは別れるのもお互い、嫌だろうしね？」
タケシ「それはそうっす。不平等っす。この際ミュールと組む事に関しては我慢するっす。」
ミュール「……まあ、あのエルフの子も少し休めば大丈夫らしいですしね。先にいって様子を見てきますよ。」
アサミン「そこで。」
ミュール・タケシ「？」
アサミン「あっちのパーティーに行く2人にはちょっとしたお願いがあるの。いいかしら？」
おまけ
ちあき「これで私達はしばらく学院に待機ね。」
タスク「本当はいってみたかったんだけどな～ 冥府の迷宮。なあなあ！ ローズって子が目を覚ましたらその子と一緒に行ってみないか！？ 通行許可は貰ったわけだしさ。」
ちあき「……案外、悪くないかもね。ただし、ローズさんが目を覚まして、それでいいっていったらよ？」
タスク「やったぜー！！」
ちあき「本当、こんな状況でも元気なんだから……」
タスクのこういうところが好きなのだと再認識したちあきであった。
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