2010年10月26日、27日で公開しました第1PT第2話です。
2更新分ですがやや長めです。
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タスク「結局、1度戻ってくることになっちまったな。」
アサミン「防具が揃っていないから少しランクが上の敵になると回復が追いつかなくなっちゃうのよ。」
タケシ「でもなんだかんだでアンパンだけは守り通したっすよね、タスクさん。」
タスク「守り通したって言うか、なんっていうか、食べていいんだか悪いんだか……怖くて。手がつけられなかったんだよ。」
ちあき「拾い食いはね……私も少し抵抗が……」
ミュール「そう? おいしいわよ、これ。」
タスク・ちあき「あーーーー!」
ミュール「あ、うそうそ。これは食堂で買ってきたやつ。自分の財布からきちんと買ってるから安心しなさいって。」
ちあき「おどかさないでよ、もうっ」
ミュール「いやー、久しぶりにちあきの驚いた可愛い顔がみたくなってね♪」
ちあき「また貴方は……相変わらずなんだから。」
アサミン(ナイスっ、ナイスよ、ミュール!!)
タケシ「アサミンさん、なにガッツポーズ……ぐふっ!?」
アサミン「あら大変、タケシさんがあんぱんにあたっちゃったみたい。ちょっと連れて行くわね。」
タスク「やっぱあたりもあるんだ……やっぱやめよ! これは倉庫にしまっとくっ!」
ちあき「誰が食べるのよ、誰が……」
ミュール「そうやってみんな腐らせるのよ……」
キィ……
マクスラーク「おや、相変わらずカオスだね。」
タスク「お前が来るとカオスになる、の間違いだ。」
マクスラーク「そんなに邪険にしないでくれ。照れてしまうじゃないか。」
タスク「さっきの台詞の何処に照れる要素があったっ!?」
ちあき「……タスク、それやってると長くなるから……マクスラークさん、帰ってくるなり別行動をして何処へいっていたんですか?」
マクスラーク「もう少し戯れさせてくれてもいいだろう?」
ミュール「良くない良くない……最近わかった。あんたとタスク放っておくとそれだけで1日分埋まっちゃう。流石のあたしも止めるわよ。」
マクスラーク「……確かにそれは良くないね。なら簡潔に。これだよ、これ。」
タスク「これだけでわかるかっ!」
マクスラーク「これはこれだよ。ほら、糸くずだ。」
タスク「んなもん何に使うんだよ。」
アサミン「あ、そういえば貴方、錬金術師だったわね……そういえば道具袋に……」
道具袋をあさるアサミン。折れたレイピアと優秀な靴、そして切れたシャツがあるのが確認できる。
アサミン「切れたシャツがあるわね。なるほど、錬金するのね?」
タスク「錬金?」
アサミン「そう。名前は錬金だけど要するにアイテム合成。アイテムとアイテム使って別のアイテムを作るの。」
ちあき「大体の装備品は、廃品という形でモンスターが持っているの。それを直して使うのが一番経済的なのよ。」
アサミン「流石ちあきさん。タスクとは大違い。ちなみに初級アイテムは廃品の状態よりも直すための材料を用意して錬金術師に錬金してもらってから売った方が売価は高いわ。」
タケシ「流石アサミンさんっす! そんな応用知識まで知っているとは!」
アサミン(すこし甘かったかしら。私は力低いし、仕方がないけれど……こんなにあっさり復活されるとちょっといらつくわね……)
タスク「へぇー じゃあこっちの優秀な靴も」
マクスラーク「すまない、タスク君。君のためならやってあげたいところだがそれは無理だ。」
タスク「え? どうして?」
ミュール「タスク、魔法やスキルの覚え方知ってる?」
タスク「単位だろ?」
ミュール「それと一緒。最初から全部錬金できるわけじゃないの。錬金できるのはレベルと単位に合った所まで。今のマクスラークじゃ切れたシャツで精一杯よ。」
マクスラーク「そういうことなんだよ。でもどうしてもというのなら実験室を使うといい。材料とお金を払えば誰でも何でも錬金ができるよ。」
アサミン「ただその方法だとさっき私のいった修理して売る……は高くつくの。だからできれば錬金術師にやってもらって、どうしても強化したいって時だけ実験室が無難ね。」
タケシ「宝箱の中にも装備品があることもあるっすけど、何が出てくるかわからない上、罠でダメージを食らうかもしれないってリスク付っす。廃品があるなら廃品を使わない手はないっす。」
タスク「なるほどなー 装備って買うだけじゃなかったんだな。知らなかったぜ。」
ちあき「基本中の基本よ!? ……タスクだけ、特別カリキュラムで基礎知識を授業で教えるべきだったかもしれないわね……」
マクスラーク「これでよし……さて、みんなタンクトップをきたね? 制服は回収して売り払ってくるよ。」
アサミン「……待った。」
マクスラーク「どうしたのかな、アサミンくん?」
アサミン「……ちょっとこっちきなさい?」
マクスラーク「毛がない君には僕は興味ないんだが……仕方がないね。ああ、ついでに制服も売ってくるよ、待っていてくれたまえ。」
アサミン「私が禿みたいな言い方しないで!! ほら、こっちよ。」
ミュール「どうしたんだろ、アサミンさん。」
タケシ「ちょっと様子がおかしかったっすよね?」
タスク「むしろ俺は、マクスラークが積極的に動いている方が気になる。」
ちあき「タスクに同じく……」
アサミン「貴方、ようするに制服についている毛が欲しいだけでしょ?」
マクスラーク「ふっ……流石に君はごまかせないか……」
アサミン「それ、よこしなさい。」
マクスラーク「何さりげなくとんでもないことを言っているのかな? この制服の毛は、僕のものだ!」
アサミン「一応は仲間のでしょうが。何変態チックなことしてるのよ。処分するからよこしなさいよ。」
マクスラーク「お断りだね! これは全て、僕の手柄、つまり僕のものだ!」
アサミン「相変わらず貴方はこれに関してだけは本当に頑固ね……! 言わないでおこうと思ったけれど、本当に昔から変わらないわね!」
マクスラーク「ああ、変わりようがないよ、僕は。君も相変わらずのようじゃないか。」
アサミン「当たり前でしょうが。あの時のことをうじうじ悩んでられないもの!」
マクスラーク「そうかね? そう思っているかね……まあいい、話を戻そう。わかった。全部はあきらめよう。」
アサミン「……全部?」
マクスラーク「タスクくんとちあきくん、あとミュールくんの毛だけで我慢してあげよう。」
アサミン「それってタケシ諦めただけじゃないの。」
マクスラーク「できればタケシ君のも欲しいのだよ? それを我慢しているのだよ? ダメなのかい?」
アサミン「だ・め。」
マクスラーク「……わかった。各人1本ずつ。これが僕のできる我慢の限界だ。」
アサミン「……よ、余計に変態っぽいけど……ま、まあ1本なら普通に落ちるのを拾ってでも変わらないわけだし……」
マクスラーク「できれば、このことは黙っていて欲しいのだが、いいかな?」
アサミン「言われるまでもなく黙ってるわよ……」
マクスラーク「さて、採取完了。制服は売ってしまおうか。そうでないと怪しまれる。」
アサミン「そうね。さくっと換金して新しい武器でも買いましょう?」
マクスラーク(アサミン君悪いね。タスク君の毛も大事ではあるが今回はちあき君の毛、この青い毛が一番必要だったのだよ。どうしても、ね。)
おまけ
ちあき「? 糸くずって1個100Gもしたかしら?」
マクスラーク「そこは突っ込んではいけないよ、ちあきくん。」
(はらり)
ちあき「……え、その落ちたのは……まさか?」
マクスラーク「ふっ……気にしてはいけないよ。それでは。」
落ちた数本の青い毛。ちあきのものではない。
糸くず購入費の行方を悟るものの、誰に言えばいいのかわからなかったので自分の胸の中にしまっておくことにしたちあきであった。
しかしその後、ひっそりとマクスラークにお灸をすえることだけは忘れなかった。
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