連載開始した直後のため、この頃はまだ1日1更新という原則はなく、
さらには黒字のみだったのでその頃とは雰囲気が大分変わりました。
また公開当初とは設定が異なる部分も多いのでかなりの修正が加えられています。
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ドワーフのタスクとちあきは幼馴染。
昔からタスクは冒険者になって一山当ててちあきを幸せにしたいと願っていました。
しかしちあきは守られるだけが女ではないとひっそりプリシアナ学院に先に入学してしまいます。
それを知ったタスクは自分の入学式前にちあきを呼び出し告白します。
「お前の気持ちはわかった。でもお前はオレが一生守る。だからお前もオレを一生守ってくれないか」と。
こうして晴れてカップルとしてプリシアナ学院の生徒となった2人の前に最初に立ちはだかったのはこの学校の教育方針でした。
タスク「学校なんだから普通に教室行って授業受けて……って流れだと思ってたんだけどいきなりパーティー組んで取って来い、なんだな。流石冒険者育成学校というか。」
ちあき「最近はどこもこんな感じって聞くわ。でもまさかパーティー組む所から勉強です、ってシステムとは思ってなかったけど。私、先に入学したはいいけど組む相手がいなくて……」
タスク「どうする? 2人だけのパーティってのもいいけどさ。」
ちあき「そのことなんだけど。」
タスク「ん?」
ちあき「私の友達にフェルパーの子がいるのよ。この学院に入学しているはずだから誘ってみない? 見ず知らずの人よりはいいでしょ?」
タスク「オレには当てがないからなぁ。よし、一度そいつに会ってみるか。でもなんでそいつパーティーに誘わなかったんだ?」
ちあき「……私一人では、ちょっと、問題が……ね。」
タスク「ふーん」
(がさっ)
??????「あれはドワーフのカップルか? ほう。いい毛づやをしているな……どれ。」
タスクとちあきを物陰から見つめていた1人の黒髪のノームは、
そうつぶやくと彼らの後をつけるよう行動を開始した。
数時間後、ようやくちあきの友達と思しき人物を発見した2人。
タスク「……ちあき、まさか……あれか? クラッズの小僧に食いついてるフェルパー?」
ちあき「……ええ。でもあのセレスティアの女の人は誰かしら……ミュールの用件は想像できるけど……」
ミュール「アサミンさんっ! あたし! あたしとパーティー組みましょう!」
タケシ「何いってるんっすか! アサミンさんはオレっちとパーティーを組むっていってくれてたんっすよ! 横から入ってきて勝手なこといわないで欲しいっす!」
アサミン「確かに、タケシくんと組む話が先だったわね。」
ミュール「横から入ったのは悪かったわよ! でも盗賊のこいつよりナイトのあたしの方が絶対アサミンさん安全ですから!」
タケシ「ナイトのあんたが罠鑑定できるんっすか? 罠はずせるんっすか?」
ミュール「んなもんとらなきゃいいのよ!」
アサミン「……確かに宝箱さえ無視するならミュールさんと組んだ方が安全そうね。」
タケシ「アサミンさん、宝箱なしだと資金が手に入らないっす。装備整えられなくて逆に危ないっす。だから安全に宝箱開けれるオレっちの方が長い目で見たら安全っす!」
ミュール「あんたなんかといかせたらあっという間に地獄逝きよ! 確かにあたしでは宝箱は危ないです……でもその分敵と戦って稼ぎますからっ! だから!」
アサミン(……この2人は昔から可愛いんだけど私の好みじゃないのよね。ちょっと頭があれだし。今回、たまたま気が向いたからOKしてみたら……なんで協力して3人でって話にならないの? これだから信望者は……ん? あらあの子!)
ちあき「ミュールは確かに昔っからレズっ気はあったけれどここまでおおっぴらでもなかったような……」
アサミン(……体型よし。毛はふさふさ。声も可愛い……!)
タスク「最初に迷ったのはそれが理由か?」
ちあき「う、うん。」
アサミン(相手がいるの。まあいいわ。知り合うぐらいなら何の問題ないわ。でもどう声をかけるべきかしら? 見ず知らずの人に声掛けられるのはきっと嫌よね……)
タスク「で、どうするんだ。あの様子だとミュールはパーティー決まりそうだし、別あたるか?」
アサミン(ミュール? ミュールって今ここにいる紫毛のフェルパーよね? ……いいこと教えてくれるじゃない。)
ミュール「? アサミンさん? 何を見て……あっ!」
ちあき「あ……」
アサミン「(ミュール、ナイスよ!)ミュールさん、知り合い? あの2人、さっきからずっとこちらを見ていたみたいだけど?」
ミュール「あ、え、ええ。ちょ、ちょっとまっててくださいねっ」
アサミン「待つのもあれだし、ミュールさんのお友達なら少しお話してみたいわ。」
ミュール「いや、その! ほら、プリシアナ学院3大アイドルの1人、アサミンさんとお話しするんですよ? 多分あの子……ちあきはここ入ったばかりでアサミンさんのことも知りませんからっ! だから……せめて説明を!」
タケシ「あんたの友達はろくな奴いないっすねー アサミンさんのことすら知らない奴らと話す必要もないっすよ! それより先にパーティーの話を……」
アサミン「あらそう?(ちあきっていうのね。ミュール、お手柄よ。) でもここにいる6人でパーティー組むことにして、それぞれの自己紹介に入れば全部解決しない?」
タケシ・ちあき・ミュール・タケシ「ハァッ!?」
アサミン「私としてはミュールさんとタケシさん、2人と一緒に組めればいいなって思っていたけど仲悪そうだったからどうしようか迷っていたの。私は特に目的があったわけじゃないから誘われて暇だからOKだしただけだったし……」
ミュール「うっ……」
タケシ「そ、それは悪かったっす……」
アサミン「いいわよ。好きって言ってもらえるのは嬉しいもの。でも2人は私ともっと仲良くなりたいのよね? ぬけがけなしで。」
タケシ「そうっす」
ミュール「ま、まあ。」
アサミン「ならちょうどいいじゃない。私のことも眼中にない2人なら。2人とも相手のことだけ考えていればいいのだから楽じゃない?」
タケシ・ミュール「……」
アサミン「もっとも、それでいいかどうかはそちらの2人次第なんだけど。」
タスク「え、あ、ん!?」
ちあき「こら、タスク……! すみません、突然話に加わる形になってしまって。」
アサミン「この場合、私が謝らないとダメよ。突然話に巻き込んで挙句の果てにパーティーに入れ込もうとしているんだから。」
ちあき「実は私達、ミュールにパーティー組んでもらえないかと思ってきていたので……」
タスク「そう、そうなんだ! パーティーは6人までOKだろ? 人数的に問題ないならむしろ大歓迎!」
アサミン「あなたにはきいてないのよ。」
タスク「ん? なんかいったか?」
アサミン「いえ? タスクさんはOKらしいけれどちあきさんは……いい?」
ちあき「タスクがOKなら、私は特に問題ありません。これからよろしくお願いします。」
アサミン「こちらこそ、突然の申し出を受けていただけて嬉しいわ。よろしくね。……それで、ミュールさんとタケシさんはどうするの?」
ミュール「アサミンさんと一緒に行けるのならっ」
タケシ「地獄のそこまでお付き合いするっす!」
アサミン(地獄の底は私がゴメンなんだけど……)
タスク「ところで。」
アサミン「何かしら?」
タスク「何故、6人?」
ミュール「そういえばそうね。アサミンさんは6人って言ってたけどここにいるのは5人……」
アサミン「タスクさんの後ろにいるそれ、人じゃなかったの?」
タスク「は? ……うわぁぁぁぁああああ!」
マクスラーク「イメージにぴったりのいい声だね。」
タスク・ちあき・ミュール・タケシ「誰だお前っ!!」
マクスラーク「見ての通り、ノーム(男)だが。」
タスク・ちあき・ミュール・タケシ「そういう意味じゃないっ!!」
マクスラーク「ああ、名前だね。マクスラークだ。」
タスク・ちあき・ミュール・タケシ「そういう意味でもないっ!!」
マクスラーク「タスク君だったか? ちょっといい毛づやをしていたからぺたりとくっついて見ていただけだ。」
タスク「!?!?」
ちあき「ちょ、ちょっとまって! 私のタスクに何するよ!」
アサミン(……相当、仲いいみたいね。私の、ね……あいつを思い出すわ。)
マクスラーク「私のタスク……それが僕のものになる日も近い……」
タスク「何突然出てきて! 突然気色悪いこといってんだ! 第一オレはお前をパーティーに入れるとは言っていない!」
マクスラーク「突然ではない。アサミンくんと会話に入る以前からいるよ、僕は。そして僕はただの毛フェチだ。気にしないでくれ。パーティーについてはさっきOKといっていたではないか。」
タスク「どのタイミングからいやがったんだコイツっ……毛フェチって余計キモイ! つーかOKしたのはミュールとタケシとアサミンだけっ!」
タケシ「器用っすね……きちんと全部返答したっすよ。この人達。」
アサミン「いいじゃない。入れてあげても。そのつもりで6人って言ったのだし誰も突っ込みいれていないのだから今更追い返すのも可哀想よ?」
ミュール「……あたしも人のことは言えない趣味だしなぁ……アサミンさんがいいっていうならいいんじゃない?」
タケシ「女のあんたがなんでアサミンさん追い掛け回していたのかわからなかったんっすけどそういう趣味だったからなんっすね……あ、こいつについてはアサミンさんがOKならOKっす。」
アサミン「はい、これでちあきさんがダメって言っても2対3よ? 多数決でマクスラークさんパーティー加入決定っ!」
タスク「そ、そんなぁ……いやだっ、絶対嫌だぁぁぁ!!」
ちあき「た、タスク落ち着いて……いざとなったら、私があなたを守るからっ!」
タスク「なんかここでそれの台詞は嫌だ、嫌だけどっ……どうしたらいいんだ、オレはっ!」
こうして、タスクの苦悩の日々が始まったのである。
マクスラーク「すまないね、なんだか騙し騙しいれてもらうような形になってしまって。」
アサミン「……何のことかしら?」
マクスラーク「そういうことにしておくのかい……わかったよ、そういうことにしておくよ。」
アサミン「まるで知り合いかのような言い方をするのね。」
マクスラーク「君が、僕の知り合いのセレスティアに似ているから、ついね。悪かったよ。」
おまけ
ちあき「ところでミュール、貴方いつの間にアサミンさんと仲良くなったの?」
ミュール「え? あたしは最初からアサミンさん目当てだけど?」
ちあき「……」
頭を抱えるしかないちあきであった。
※アサミンは第10回生、ミュールは第12回生、ちあきは第12回途中入学設定です。
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アサミンの性格を改善しました。その影響でアサミンの台詞はほぼ全てに手直しが加えられております。
最初の設定だとさくやと被りすぎるためです。
そもそもさくやという存在が出てくるまで、さくやのポジションはアサミンのポジションだったんです。
そのため、初期の頃のアサミンがさくやと被るのは当然だったわけで……
これを直す前にこの話は公開する流れとなったため、今回修正させていただきました。