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2010年11月4日~6日に第2+第3PT遭遇日誌という名前で公開した話です。
今回の再録にあたり第3PT・ユッキー部分の心情を加筆し、
タイトルを第3PT5話とさせていただきました。
第2PT編でも同じようにメインとなるキャラの心情加筆の形で公開する予定ですのでお楽しみに。

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ローズガーデンから学院に戻ろうとしているブレーミー一行。
その前に現れたのは……

ブレーミー「あれ? あそこでプチ死神と戦ってるのって……」

シアン「あ、プチ死神か~ 懐かしいぜ。」

ヨシマーサ「あー あんな奴もいたな~」

ニーナ「なかなか苦戦していらっしゃるご様子……手を貸すべきでしょうか?」

ショーゴ「手を貸すといっても、こちらもそれほどいい装備が揃っているわけではありません。下手をすると邪魔になる可能性も。」

ユッキー「???」

ユッキー(あれはプチ死神? 図鑑程度ではみたことあるがこんな所にいるなんて話は聞いたことがないぞ?)

ブレーミー「あれ? ユッキー。どうしたの?」

ユッキー「あれはなんだ?」

ユッキー以外全員「ええっ!?」

ユッキー(何故、驚く? ここにあれがいるのは常識だったのか? ……知らなかった。)

ブレーミー「ま、まさかユッキー……!」

ヨシマーサ「ありうる、兄貴なら十分ありうる……!」

ショーゴ「貴様! まさか歓迎クエストすら放棄か!?」

ユッキー(歓迎、クエスト?)

ニーナ「そ、それはいくらなんでも……」

ユッキー「……すまんな、ニーナ。」 (※歓迎クエストの意味が分からない、という意味で。)

ニーナ「ええええええ!!!?」

ブレーミー「ど、どれだけサボればそんなことになるの!? 意味がわかんないよ!!」

ユッキー「正直、お前のこと以上に意味がわからないといわれるいわれもないはずなのだがな。」

ブレーミー「……ユッキー?」

ユッキー「なんだ?」

ブレーミー「戦ってこおおおおおおーーーーーい!!」

ユッキー「な、なんだと!?」


ユッキー(ま、まずいぞ! この体勢では着地が出来ん……というか、こんな高度から投げるな! くそ、下の連中が誰だかも分からん……この距離じゃ声も届かん!)

ナーシャ「次! ヒールは誰!?」

ダイ「ううう……ボクも本当は手伝わないといけないのに……ご、ごめんなさい……」

ヒルター「全体攻撃ばかりはかばえんからな、一撃でやられるHPのダイは防御しかない……もう少し鍛えてからにすべきだったか……少々、あせりすぎたな。」

リュー「ま、アタシとあっちゃんがいれば火力なんて十分だけどね!」

あっちゃん「油断は禁物~ こいつ、全体攻撃は混乱付もあるからね~?」

ロビン「猛毒矢で行くか。む……狙いづらいな……ちょっと暗くなってきたし…… ん、暗くなってきた?」

ユッキー「そこのエルフ! 今すぐどけぇええええ!!」

ロビン「う、うわ!?」

ダイ「……えっ!?」

(ブチッ)

ナーシャ「ちょ、ちょっと! 変な音がしたわよ!?」

ユッキー「むぅ……思ったより、痛くない……ん? なんだこのちっこいのは?」

ダイ「うぅぅぅ……」

ロビン「ダァアアアーーーイ!!」

ユッキー(……俺が悪いのか?)

ヒルター「なっ!? 敵ではない何かにダイがやられた!?

あっちゃん「いや、ダイくん倒した地点で敵でしょう~?」

リュー「あんた、すぐに敵認定するのはやめなさいよ……」


上空にて
ブレーミー「ありゃ? 落とし場所、ちょっとまずかったみたい……まっ、いっか!」

シアン「よくねぇ! 全然よくねぇ!!!」


ユッキー(ブレーミーの奴め……! 投げるなら投げると一言言え! 面倒なことになったではないか!)

ナーシャ「ちょっと、あんた何者?」

ユッキー「見ての通りだ。学院の不良。」

ナーシャ「そんなの聞いてない。責任取りなさいよね。」

ユッキー「……エルフの癖に生意気な。」

ナーシャ「生意気なのにエルフも何もないわよ。で、責任取りなさいよ? 取れないならあのモンスターの前に放り込むわよ?」

ユッキー(強気なエルフだな……あいつらとは大違いだ。しかし、こいつの言うことにも一理あるな。どれ、何をしていたのか聞いてみるか。代わりにやれることがあるならやってやろうか。)

ユッキー「……このガキ、何をやっていた?」

ナーシャ「本当は回復役。でもHPが低すぎて役に立たないから防御しかしてなかったわよ。」

ユッキー「なんだ。いてもいなくても一緒だったか。」

ナーシャ「士気的にはいてもらったほうが助かったんだけど?」

ユッキー「……わかった、睨むな。意外と怖い奴だな……ようするに前衛の連中にヒールかければいいのだろう? それぐらいはできるぞ。」

ナーシャ「そ。じゃあやりなさい。」

ロビン「え? 見ず知らずの奴を使っちゃうの、ナーシャ?」

ナーシャ「しょうがないじゃない。ダイがやられたのよ? 何もさせずに返すなんてありえない!」

ロビン「……それはそうだけど、この戦闘で使っちゃおうなんて発想はなかなか出てこないと思うよ……?」

ナーシャ「ロビン、あんたダイの気弱うつったんじゃない? 台詞がダイっぽい。いないからって無理しなくてもいいんだから!」

ヒルター「な、なんだかナーシャが……心強いというか。怖いな。」

あっちゃん「あの子は仲間思いだものね~ ダイ潰されて怒ってるんじゃないかしら~ 可愛いわよね~」

リュー「あっちゃん?」

あっちゃん「リュー? どうしたのよ~?」

リュー「一気にけり付けてダイを運ぶわよ!」

あっちゃん「え? ちょ、リュー? どうしたのよ~ 確かにいつも真面目だけどいつも以上に真面目」

リュー「ぐだぐだいわない!!」

あっちゃん「あ、は、はい~ 了解よ~」

ヒルター(こ、こんなリューとあっちゃんははじめてみるな……仲間が1人でも欠けると、パーティーというのはこのように動揺するものなのか……いい勉強になる。やはりきてよかった……)


ニーナ「……な、なんだかものすごく……悪い事をしてしまった気分です……」

ショーゴ「さ、殺伐としているな。1人倒れただけのはずなのに。」

シアン「取り乱しすぎだろう、あれは……その1人を起こすまで、持ちこたえられるのかよ……」

ブレーミー「ユッキーいるし平気でしょ。でもいいねぇ、いいねぇ! 仲間同士の友情って奴!? いい、凄くいい絵だよ! 見出しはこうかな? 『俺の仲間に何をする! 友情パワーでプチ死神に圧勝!』」

シアン「1人やられている地点で圧勝じゃねぇーだろ。」

ヨシマーサ「……でもその1人はオレらが倒したようなもんじゃねぇ? だからいいんじゃね? その見出しで……」

ニーナ「というか! こんなことをニュースにしてはいけません!!」


あっちゃん「はぁ……ようやく終わったわ~」

ユッキー「すまないことをした。お詫びにヒールぐらいかけるぞ? かけて欲しい奴はいえ。」
 
ユッキー(ふん、これで向こうの回復がMPがなくてできなくてもそれはブレーミーの奴が悪いのだ。今はこっちだ。くそっ、睨むなエルフ、わかってる……いつまで根に持ってるんだ。)

リュー「ダイ! ほら、ダイ! しっかりしなさい!」

ダイ「う? う、う~ん……」

ナーシャ「よかった……ただ気絶してただけみたいね……」

ロビン「うん、本当よかった……ナーシャが、元のテンションに戻って……」

ユッキー(ああ、本当に良かった。ようやく俺も解放される。)

ヒルター「しかし君、何処から現れたんだ?」

ユッキー「ああ、すまん。あっちの連中の一員だ。歓迎クエストをこなしてないといったら投げられてな……」

ユッキー(それ以上に歓迎クエストの意味を教えて欲しいのだがそこまでは迷惑はかけれんな。)

リュー「なんって迷惑な……あれ?」

あっちゃん「どうしたのよ~ あら?」

ヒルター「2人ともどうし……ニーナじゃないか!」

ニーナ「あ、え? も、もしかして。ヒルターさん?」

ブレーミー「そうですよ? ヒルターさんですよ?」

ニーナ「……え?」

ブレーミー「ですから。ボクは。ヒルターさん達だとわかっていて、ユッキー投げ込みました。」

全員「ええええええ!!!」

ユッキー(こ、こいつあの距離で人の顔が見えていたというのか!? どんな視力をしている! カメラか? カメラなのか!?)

ナーシャ「何よ、こいつ!! 何人様に大迷惑かけてんのよ! 弁償しなさいよ、弁償!!」

ロビン「そうだそうだ! ダイをこんなにしやがって、その上こわーいナーシャまで長々と見させられて! 精神的苦痛に対する賠償金を要求する!」

リュー「こっちはMPまで使ったのよ? アイテム、そうよ、回復アイテムよこしなさいよ!」

あっちゃん「……リュー? MP使うことになったのはリューのせいだったと思うのだけど……せめて理由ぐらいは聞かせてよね~?」

ユッキー(そもそも回復は俺がしていたからお前達のMPは殆ど減っていないはずだが……? いや、突っ込むべきじゃないか。ブレーミーを困らせるいいチャンスだしな。)

ヒルター「そうだな。どうしてこのユッキーとやらを放り込んだのか、理由を聞かせてくれ。その内容次第では……」

ニーナ「あ、あの……それは……その。」

ブレーミー「ああ、ニーナさん、ボクが説明しますから、ね?」

ショーゴ「いや、お前しか説明できないだろう?」

シアン「これでニーナさんが説明できたらむしろ神だ。」

ヨシマーサ「オレもなんであのタイミングでユキにぃぶち込んだのかは、知りたい。」

ユッキー「投げられた本人であるオレも、それほど理由がわかっていないのだが。」

ブレーミー「だってさ。ユッキーって受身じゃん?」

ヨシマーサ「確かに、兄貴は受身な性質だなぁ。」

ショーゴ「そういえば俺は自分から話し始めるユッキーはほとんどみていないな。」

ブレーミー「誰かが強引に突っ込んであげないと動かないし。」

シアン「お前が強引に連れ込まなきゃこいつ、まだ不良やってたかも知れねぇーな。」

ロビン「今時不良とかかっこ悪くね? というかあの学院、まだそんなのいたんだな。」

ブレーミー「けどボクらのパーティーはユッキー以外みんな歓迎クエストこなしてるし。」

ヒルター「……みたところ、オレが入学した時からいる顔ばかりだな。普通はすぐにこなすから、当たり前か。」

ブレーミー「でもユッキーのためだけにプチ死神と戦うのタルいし。」

あっちゃん「あー わかるわ~ その気持ち。戦闘好きでもない限り、何度も戦いたくはないわよね~」

リュー「あっちゃん……それだとアタシ達、戦闘狂みたいじゃない……」

あっちゃん「わたしはそうよ~? リューは違ったの?」

リュー「違うわよ!!」

ブレーミー「なら今、締めにはいっているパーティーの人にまぎれちゃえば、間違いなくユッキー、クエストこなせるでしょ?」

ユッキー「……なあ、このクエストはプチ死神を倒すのが目的なのか?」

ナーシャ「違う。この校章が大切よ? って、あんたの分もあるみたいね……あの死神、律儀ね。」

ブレーミー「だからボク、自分から飛び込まないユッキーにクエストをこなさせてあげるために、空からユッキーを投げ込んであげたのさ!」

ダイ「そのためにボクが潰される理由が全然わかんないよ!!」

ブレーミー「ごめん。君は完全に見落としちゃったの。」

ダイ「えええええええ!? ひ、酷いよ~!」

ブレーミー「だからゴメンって。そうだそうだ! 賠償のお話だけど。今は手持ちがないんだよ。だからまた、学院に戻ってからじゃ、だめかな?」

ロビン「ま、まあ。ダイが小さくて見落とされがちってのは今に始まったことじゃないしな……わざとじゃないんならいいんだ。な、ダイ?」

ダイ「う、うん……で、でも……」

(チラッ)

ブレーミー「え? 僕の顔に何か付いてるのかな?」

ダイ(な、なんだかものすごく胡散臭いだよぉ~! この人!!)

ナーシャ「あー よしよし……ほら、怖がってるじゃない。ロビンももう少しダイの扱いに気をつけなさい。友達なんでしょうが?」

ロビン「あ! ずるい! なんだかナーシャとダイが急速接近でずるい! 俺もナーシャの胸でなき」

ナーシャ「ブラスト」

ロビン「グハッ」

ブレーミーパーティー「ええ!?」

ナーシャ「これ、あとで回復させてあげてくれる? それでチャラでいいわ。」

リュー「あら、珍しい。」

あっちゃん「ナーシャちゃん、ダイくんが無事で安心したのね~」

ヒルター「なんだかんだで、俺たちの中で一番心配性だからな……」

ナーシャ「べ、別に心配だったから冷たくしてたわけじゃ……!」

ダイ「……で、ロビンのわがままも、半分だけかなえてくれるんだ?」

ナーシャ「ダイだけだと変に勘違いされるからっ……それだけ!」

あっちゃん「だからって膝枕なんて可愛い所あるわね~」

リュー「あ、あのさ……話が進まないうえ、向こうのパーティーの人達困ってるんだけど? いつものノリでやってちゃ悪いわよ。」

あっちゃん「最初に自分達のノリを持ち込んできたのは向こうよ~? 放っておけばいいわ~」

リュー「あ、あんたは……!」

ブレーミー「あー これはいいショットだね!」

ニーナ「こ、こら、ブレーミーさん! こんなの取ったらナーシャさん……でしたっけ? 怒られてしまいますよ!」

ヨシマーサ「いいぞ、ブレーミー! もっととれー」

ニーナ「えええ!?」

ユッキー「これをネタにしてあのエルフからせしめるのか……ブレーミーも悪だな。」

ユッキー(だが、後が怖い。まあいい、黙っておこう。そちらの方が面白い。ブレーミーにとってもいい薬だ。)

ニーナ「使い道がわかっているなら止めてください!」

シアン「あー 普段弄られるの俺だけど、これだと安心だな~」

ショーゴ「本当だな。他人ならブレーミーの行動も見ていて安心だ。」

ニーナ「ショーゴさんもシアンさんも!! ブレーミーさんを止めてください!!」

あっちゃん「ねぇ~ 困ってるの、1人だけみたいよ、リュー?」

リュー「……そう、そうね……普通のパーティーじゃないのね……」

ヒルター「……そっちのパーティーには、突っ込み役が絶対的に不足しているのか……どこもバランスのいいパーティーが組めるというわけでもないのか。やはり、彼等についていってよかった……」

ニーナ「それは……どういう意味でのついてきてよかった。なのでしょうか……」

ユッキー「だが、流石にそろそろニーナに悪いか……ヒール!」

ロビン「う、うん? あれ、俺? そうだ! ナーシャ! どうしてブラスト……! なんだこのベストポジション!!」

ナーシャ「確かに。確かにヒールはよこせと言ったけど! なんでこのタイミングなのよ! あのユッキーとかいうディアボロスは許さないわ……!」

こうして、ちょっと仲良くなった(?)2つのパーティーは一度学院まで一緒に報告に行き別れた。
果たして次会うのはいつの日になることだろうか。それはまだ、誰も知らない。


ナーシャ「あんた、名前は?」

ユッキー「俺か? 雪ノ丈だが……本名は嫌だ。ユッキーでいい。」

ナーシャ「……なに、その可愛いあだ名。そういうのが趣味なの?」

ユッキー「か、カワイイだと? カッコいいだろう!?」

ナーシャ「……相当可愛い部類だと思うけど。」

ユッキー「な、なんだと……ならばどういうのがカッコいいんだ? 言ってみろ!」

ナーシャ「え? そんな突然言われても……あんたの本名からだとそれほど付けれそうもないし。いいんじゃない、あんたがそれで納得してるならそれで。ほら、いくわよ。」

ユッキー「こら、待て、赤髪エルフ!」


おまけ
ブレーミー「ナーシャって、結構可愛い顔しているね……性格も悪くはなさそうだ。ふふっ、これならあの計画の後処理はこの子に任せれるぞ……」

ユッキー「あの計画とはなんなんだ、あの計画とは!」

ブレーミー「それは。入学してから10回も新入生が入ってきているのに何もしてこなかった、ユッキーには内緒♪」

笑顔見せるブレーミーの姿に、理由は学院にどれだけいようが話す気がないであろうこと確信したユッキーであった。

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