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2011年4月27日~4月30日に公開しました、第3PT冒険日誌第18話です。
6更新分です。
SNS版との違いは主にシアンのいい奴化が加速し、ニーナの不穏な動きが加速しました(!?)
ブレーミーの台詞も追加しています。大分イメージが変わる一言が追加されていますので探してみると面白いかも?

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ブレーミー「これでよし、っと!」

カスミ「……え? これで終わりなの?」

ローズ「結構簡単でしたよね。手伝う必要なかったんじゃないですか?」

ブレーミー「そんなことないよ! カスミちゃんとローズちゃんが手伝ってくれたおかげで早く終わったんだよ。いや~ 2人とも編集作業上手いなぁ! ぜひ助手に欲しいぐらいだよ!」

シアン「悪かったな、俺が不器用で……」

ニーナ「……まあ、私は元々踊り以外はあまり得意ではないですし……」

ショーゴ「……無難ですまん。」

ブレーミー「流石に途中でカスミちゃんが入れ替わって内容を書き換えようとした時はあせったけどそれ以外特に問題なく進めれて本当、よかったよ!」

ローズ「……ああ、もっと酷い内容にしようとしてたよね……あれ……」

カスミ「……極悪人でよかったんだけどね。」

ローズ「……カスミちゃん、わざとやってたの……?」

カスミ「え? あ、えーっと……」

カスミ(何でだろ。あの人の話題が出てからなんだか落ち着かないよ……今日に限って、霞が出てこないし……)

霞(違う……これ、カスミ、無意識……? ダメ、これ以上……考えちゃ……!)

カスミ(……霞? どうしたの、苦しそうにして……これ以上考える? 何を? あの人の、こと?)

ショーゴ「うう、カスミはいつからこんなに黒く染まってしまったのだ……! ああ! やはりあの男! 許さんぞ!」

カスミ「いや、お兄ちゃんが見てるカスミ像はそれはそれで白すぎるような気もするし……」

ニーナ「そうですね。純真など、男性の甘い幻想……」

シアン「一番いって欲しくない人がその発言しちゃうの?」

ニーナ「……ええ。今回の件で、私、悟りました。……純真。それが悪です。」

カスミ(……そうだよね、そうだよ。『良い子』のままじゃ、あの人に何も、出来ないじゃん……)

シアン「ニーナさんって極端から極端に走るタイプ!?」

ローズ「真面目な優等生に多いよね。私は優等生だけどドジッ子タイプだから全然大丈夫!」

カスミ「それだとそれで、トラブルメーカーっぽいけどね?」

ローズ「……そうですよ、私はトラブルメーカーですよ……いじいじ。」

カスミ「……」

カスミ(突っ込むべきか突っ込まざるべきか。どうせローズだしなぁ……突っ込んだら突っ込んだで『いじけてない』って返ってきそうだし、突っ込まなければこのままいじけてそうだし……どっちがいいだろう。どっちが面白そうだろう……)

霞(だめ……それ、は……あたしの……)

カスミ(……そうだ、こうしてみようか。)

カスミ「ローズ、わざといじけるのは、やめようよ? ね?」

ローズ「!? い、入れ替わった!?」

カスミ「冗談だって。ごめんごめん!」

ローズ「心臓に悪い冗談はやめて……!? カスミちゃん最近ちょっとひどくなってない!?」

カスミ「そうかも、しれないね。でもなんでだろう。前よりずっと、楽だよ?」

ローズ「……カスミちゃん?」

カスミ「だってさ、人の前でずーっと……これはまずいかなーとかあれはやったらダメだよなーとかさ……考えてるのって、結構、辛いよ? 何も考えずにって、楽だね……」

ローズ「!?」

霞(……それは、まずい……! ちょっと……!)

カスミ(黙ってて? あたしは、あたしのやりたいように、するの。)

霞(……!)

カスミ「……ああ、うん。ごめんね? ちょっと、心配させちゃった? ……大丈夫だよ?」

ローズ「ほら、私慣れっこだし! 少しぐらいは平気! だから、だからね? 何かいいたくなったら、まずは私に言ってね? 大丈夫! タフだもん!」

カスミ「……うん、そうするよ。」

カスミ(そうだよ、ローズ、今までも全然平気だったし。きっとこれからも無茶させても大丈夫……)

ショーゴ「……ゴホンッ。」

カスミ「あ、お兄ちゃん。どうしたの? 忘れられてないか心配になったの?」

ショーゴ「そういうことを言うかお前は……まあいい。俺もきちんと聞くからな? 溜め込みすぎるな。悪い癖だぞ、カスミ!」

カスミ「……うん。」

カスミ(ほら、ショーゴだっていいっていってるじゃん? いいんだよ、甘えたって。何したって。……そう、そうだよ。霞の言ってた通りじゃん。自分に枷はめてたのは、あたし、そうだよ……勝手にすればいいじゃん。なんで、ためらってたの、あたし。)

霞(……自分で、だめだって、気づいてる、から! だめ、だよ。それに、飲まれちゃ……!)

カスミ(まだ、動けたんだ? それって何? 飲まれる? 何のこと?)

ブレーミー「そうそう! 酷い方のカスミちゃんでオールは流石のボクもきついけど! でもショーゴにだったらオールでやっちゃってもOKだからね! ボクに対してやらないでね!」

ショーゴ「な、ブレーミー! き、貴様本当に自分が関わらなければどうでもいいのか!?」

ブレーミー「やだなぁ、最初から言ってるじゃない?」

ニーナ「そういいつつ、私から逃げようとするのはおやめなさい?」

ブレーミー「あ、あはは。だってさ、こういうこと発言するとさ。最近のニーナってさ。怒る上に行動まで伴っちゃうじゃん? 早めに逃げようと思ったんだよ? でも先手を取られるとは流石のボクでも思わなかったんだ!!」

シアン「……珍しいな、ブレーミーが生け捕りにされるなんて。」

ブレーミー「ボクは魚じゃないよ!!」

シアン「何? 魚って俺に合わせてくれたの? でも残念。俺、確かにネコ科っぽいけど一応人だから。」

ブレーミー「確かにそうだったね! でも意味違う!」

カスミ「そういえばちょっと気になってたんだけど。胸、あるのかな? ブレーミーさんって。」

ブレーミー「一番酷いよその発言!! あるよ! ボクだって一応女の子! あるところはあるの! 小さいだけで! えぐれてないよ!!」

ローズ「……なんって言うか。みんないじめたい放題ですね……私、こういうのには参加できないなぁ……」

ブレーミー「参加したかったの!?」

ローズ「そりゃ、蚊帳の外なんて寂しいですよ!」

カスミ「しょうがないよね……あ! ローズにもできることあるよ!」

ローズ「……カスミちゃん、なんだよね? 何で呼び捨てにしてるの? なんだか怖いんだけど?」

カスミ「……あれ、そうだね。まあいいや。慣れて?」

ローズ「それ霞と一緒っ!!」

カスミ「じゃあさ。ローズもあたしを呼び捨てればいいと思うよ? どっちも結局あたしだし?」

ローズ「そりゃそうなんだろうけど! ……あれ、カスミちゃん……今日は、霞、出さないんだね?」

カスミ「いるよ? でも、なんだか満足してるみたいだから出てこないだけみたい。」

ローズ「そうだろうね、カスミちゃんが霞みたいなことしてるもんね……満足もするだろうね……」

カスミ(……霞のおかげ。ほら、ローズもきちんと受け入れてくれてる。そうでしょ? 最初からそれが目的だったんでしょ? だったら喜びなよ? あたし、きちんと自分出せてるよ?)

霞(……正気に戻れっての! それは! 本当に自分自身か! もっと考えてよ! あたしは、あたしはここにいる!)

カスミ(うるさいなぁ、霞までショーゴみたいにグダグダ……そうだ、ローズ、好きだよね? いいもの見せてあげるよ……)

カスミ「じゃあ、そのついでであたしのこと呼び捨ててみようか?」

ローズ「へ? 何、そのプレイ? ……さくや先輩みたいなことやりだそうとしないでよ!」

カスミ「あ、さくや先輩ってこんな風にローズで遊んでるんだ。……へー」

ローズ「え? ええ!? これって呼び捨てないとずっとこのまま!?」

カスミ「うん。」

霞(ローズ、お願いだから、気づいて……! このままじゃ、取り返しがつかなくなるよ……)

ショーゴ「こ、こら! なに危ない遊びを始めようとしているんだ! カスミ、お前今日は一段と変だぞ?」

カスミ「……うん、ちょっと変かも。だから、止めなくていいよ? お兄ちゃん?」

ショーゴ「だめだ。」

カスミ「何でダメ?」

ショーゴ「嫌がってるじゃないか。」

カスミ「嫌がってないよ、ね? ローズ?」

ショーゴ「カスミ!」

カスミ「うるさいうるさい! あたしは好きなようにするんだ! ショーゴの言うことなんてきかない、聞いてあげない! お兄ちゃんの『いい子のカスミ』じゃ、すすめない、前に……!」

ショーゴ「……前に、進めない? カスミ、どうした!?」

霞(……ショーゴ、ナイス! でもそれが根本的な問題なんだって……! もう一刻の猶予も、ないかも……仕方がない! 強引だけど!)

霞「……まったく、誰がダメダメいってきたのかがまるわかりだね~? ショーゴ?」

ショーゴ「む、お前は……」

霞「いいこと教えてあげよっか? 今回の入れ替わりは今までとちょーっとだけ違います! なんと! カスミには聞こえていません!」

霞(もっとも。さっきまであたしは身動きすら取れませんでしたが。……これはローズを心配させちゃうし、ふせとこ。)

ローズ「え、そんな器用なことできたの!?」

霞「できるけど~ そんな必要なかったし? それするとあたしのほうからも様子見づらくなっちゃうんだよね~ それはつまんないから嫌だし?」

ローズ「ああ……そうだね、そういう理由ならものすごーく納得できるよ……」

霞「……で。ショーゴは、さっきみたいにいつもカスミに自分の理想、押し付けてこなかったかな?」

ショーゴ「悪いことを悪いというのは、兄として当然の行為だろう!」

霞「どうかな~? どうして悪いのか、それをきちんと教えることの方が大事なんじゃないかな~?」

ショーゴ「……嫌がってるから、やめろ。何処に問題がある?」

霞「ねえ、ローズ? 嫌だった?」

ローズ「……ま、まあ嫌だけどさ。……焦って払いのけるほどのことじゃないよね? というか、私ってほら、こういうことされなれちゃってるし?」

シアン「それはそれで問題があるんじゃね?」

ローズ「え? やっぱりそう? じゃなくて! ショーゴさんも……ほら。霞の肩持つわけじゃないけど。……本当に嫌なら、私はきちんと嫌っていえますから。大丈夫ですよ!」

ショーゴ「……おせっかいといいたいのか? ローズみたいなのばかりじゃないのだぞ?」

霞「そうだろうね~ でもさ、相手を間違えるほど馬鹿でもないよ、あたし。」

ショーゴ「そう思っているだけだ。自分を過信しすぎるな!」

霞「過信するぐらいでちょうどいいと思うけど? 周りが、しっかりしてくれてるもんね?」

ローズ「……私を過信しないで……」

ショーゴ「貴様は……同じ外見であっても、中身は本当別物だな!」

霞「……別物、ね? あたしもカスミなんだけどなぁ……酷いなぁ……アハハハ!」

ローズ「え? あ、だ、だめ!」

霞「!?」

ローズ「霞、それはダメ、ダメだよ?」

霞「よく、銃を取ろうとしたのがわかったね? 流石ローズ。」

ローズ「そりゃ、あのタイミングで笑い出したのは怪しすぎるって……ショーゴさん、あの言い方は!」

ショーゴ「……俺は悪くないぞ。」

ブレーミー「いーや。少しショーゴが悪いかもね?」

ショーゴ「……ブレーミー。」

ブレーミー「だってさ。さっきのってあくまでカスミちゃんとローズちゃんの話じゃん? ショーゴが入っていくのは、反則だって。ただの遊びじゃん。助けをもとめられるまではいっていっちゃダメだって。」

ショーゴ「……知らん。」

ブレーミー「それに。多分さっきのは……いや、これは自分で気づくべきかな。ボクからは言わないよ。」

霞「お! 流石ブレーミー! わかってくれるね~!」

シアン「ショーゴ、あれは理解できるか出来ないかって話になるのはわかるけどよ? だけどブレーミーのいってる『助けを求められるまで』様子を見てても問題なかったと思うぜ?」

ショーゴ「何かあったらどうする。」

ニーナ「……何かあったんですね? 昔。」

ショーゴ「何もない。」

霞「嘘ばっかり……プリシアナッツの木の下で。あたしが襲われるのをジーって見てたショーゴの癖に。」

ショーゴ「!?」

霞「何? あのこと覚えてないとでも思った!? あたしがずーっと覚えてるよ! だってあたしが生まれたのってその時だし! アハハ!」

ショーゴ「な、な、な!?」

ブレーミー「……ねえ、カスミちゃん、その話よーく聞きたいな? ボク。」

霞「え? いいよ? いいよブレーミー! じっくり聞きなよ! そしてショーゴがどれだけ馬鹿なのか知るといいよ! アハハ!」

ショーゴ「カスミ!」

霞「うるさいな、命令なんて受けるきないし? ……ねえ、ローズ? ショーゴがうるさいよ、なんとかしてよ?」

ローズ「……なんで、そこで私に甘えるのかな、霞?」

霞「え? やってくれるでしょ? ローズなら?」

ローズ「……はぁ、今回だけだよ?」

ショーゴ「な、何!? 何を考えている!」

霞「ローズありがと! 本当、大好きだよ!」

ローズ(何があったのかは知りませんけれど! ……原因を作ったのがショーゴさんなら。……大人しく聞くべきだと思います。)

ショーゴ(俺のせいではない! 決してあれは……俺のせいなどでは! そうだ、違う、違う……!)

ローズ(……ごめんなさい、正直、私もカスミちゃんがどうしてこうなってるのか、少し、聞きたくもあるんですよ……)

ショーゴ(くっ、こら! 離さんか! なんという馬鹿力! ……本当にお前は女か!?)

ローズ(……なんか酷いこといわれちゃったよ……しくしく)

ショーゴ(泣きながら縛るなぁぁぁ!! しかもなんだ!? この縛り方は!! 外れん、外れんぞぉぉぉ!!)

シアン「……ショーゴ、椅子に、括りつけられたまま暴れない方が良いぞ? 腕痛めるってそれ。」

ショーゴ「うるさいっ! いきなり括りつける方が悪かろう!」

ブレーミー「はいはい、霞ちゃん、お話どうぞ~ こっちは黙らせておくからね~」

ショーゴ(ブレーミー貴様っ! ガムテープを口に張るなど古典的な手をつかおって!)

シアン「おいおい、それはやりすぎだろ……ショーゴ、頼むからさ、聞かせてくれよ。な?」

ショーゴ(……俺が抵抗しても霞は勝手に喋るか……)

(コクコク)

シアン「ブレーミー、ショーゴこういってるからさ、外して良いよな、この口の。」

ブレーミー「シアンは本当、優しいねぇ……はい、これでいい?」

ショーゴ「まったく……縛られた地点で多少は覚悟できている。口までふさぐな!」

霞「どうだか。途中でかき消す気起こすかもしれないし? あたしとしてはふさがっててくれた方がよかったんだけど。」

ニーナ「その時はその時で対応すればよろしいかと。」

ローズ「……ニーナさん、しれっと、一番デンジャラスなこといわないでくださいよっ!」

ブレーミー「ま、ニーナのいう通りだね。邪魔しないでよ、ショーゴ。」

ショーゴ「男に二言はないわ。さっさと始めるといい。」

霞「じゃお構いなく。あれはショーゴのプリシアナ学院見学会の話だったかな~?」

ニーナ「入学式前にある、あれですね。」

ブレーミー「……!(確かにそれなら時期が合うね!)」

霞「カスミはさ、その頃まだ引き取られたばかりでさ。元気がなかったんだよね。だからショーゴがすこし気を利かせて、自分の学校見学に連れてきてたんだよ。」

シアン「なんだ、結構優しいな?」

霞「それがさぁ。ショーゴったら道に迷って! カスミも方向音痴だから2人して迷ってプリシアナッツの木の所まで着ちゃったんだよね、これが!」

ニーナ「……方向、音痴だったんですか。」

シアン「そういえばショーゴが一人のシーンなんて、今までないな。」

ショーゴ「ほっとけ! それに酷いのはカスミのほうだ!」

霞「ああ、そうだね、カスミって方向音痴だよね~ ばっかじゃないのかな、まっすぐ歩いてるのに迷うなんてどんな才能?」

シアン「そ、それは酷すぎるな!」

ローズ(……そういえば、目を放した隙にいなくなってたりしたけど。どうしてすぐそこの喫茶店までまっすぐいけないのかなって、ずーっと思ってたんだよね……そういうことだったんだ……これからは、1人にしないようにしてあげないとだめだね……)

霞「ああ、それはまあおいておいて。で。その日に限ってさ。なんかやたら変な化け物がいたの。馬鹿でかかったなぁ……」

ニーナ「? プリシアナッツのクエストではそんな強そうな化け物なんて……あ!」

シアン「化け物? ……ブレーミー! おい、あの噂!」

ブレーミー「あはは! やった! やったよシアン! ボクようやく見つけたみたい! 当事者以外の目撃者! ……でもさ? なんで話したのにさ。……ショーゴ、教えてくれなかったの?」

ショーゴ「……っ」

ブレーミー「おかしいなぁ? あんなに詳しかったのに? 少しぐらい動揺したり、ポロリとつぶやいちゃったり普通しない? ボクの流した噂って事実に基づいた噂なんだよ? 何せあの姉さんからの情報と、さくやさんが流してた噂の総合だもの?」

ニーナ「え?」

シアン「さくやさんが、流した噂??」

ブレーミー「さくやさんが流した噂……いや、さくやさんのも、実はまっすぐ伝わっていないんだけど。あれは本当は姉さんを貶めるために作られた噂じゃないんだよ。キメラって化け物を作った犯人が見つかるまで、パーティー解散の秘話の方に目を向けさせるために。あんな噂を流してたのさ、さくやさん。ほら、強い化け物が出たって話の方がメインになると絶対探しにいっちゃう馬鹿がいるでしょ? だからね。」

ショーゴ「……な、ななな!」

ブレーミー「だからね? ボクとマー君……そう、マクスラークさんね? 2人で当事者以外の目撃者を探してキメラ作った人見つけて何らかの処置して。それで全部丸く収めようと。そうしようとしてたんだよ。そのためにはパーティーの方はしばらくごたごたしててもらっていた方が都合がいい。信憑性も出るしね。だから……」

霞「ああ、アサミン先輩を利用した。ってことか。でも話聞くとさくや先輩さ。なんというか2重に利用してるよね~? 自分の目的であるゆづき先輩と、君達の目的と。」

ブレーミー「うん、マー君からさくやさんのもう一つの目的を聞いたとき、納得したけどびっくりもしたよ……まさか、それまで利用されてたなんて思ってなかったからね。でもいいのさ、こっちだって、利用しようとしたのは事実。自分達がそう思っていたのに相手に利用されたからって起こるのは筋違い。お互い様って奴だよ。でも、ショーゴ! 君が隠しておかなければ全部起きなかったんじゃいのかな?」

ショーゴ「だが……だが、あれは。」

霞「ああ、あれはあたしが襲われちゃったんだよね。だからショーゴは話しづらかったんだよ。あたしが当事者なんだから、あたしが大事で大事で仕方がないショーゴは、あたしの許可なしじゃいえなかったんだよ。今でも実は背中に傷があったりして。」

ブレーミー「君も言ってよ!」

霞「だってさ。このことさ。カスミは覚えてないんだよね。ショックで。」

ブレーミー「え?」

霞「置き去りにされたことは覚えてないんだけど、覚えてないんだけど、どこかでずっと引っかかってたみたいでさ。それで、ショーゴのこと『お兄ちゃん』じゃなくてずっと『ショーゴ』だったんだよ? カスミは気づいてないけどね。」

ショーゴ「……恨んでた、か。」

霞「あ・た・り・ま・え! あんなのさ、置いていかれた方は当然恨むじゃん! でもさ、カスミって優しいからさ。逃げなかった自分が悪いっていい聞かせてさ……出さないようにはしてたみたいだよ? だけどそんなことあたしはしないから! アハハ!」

シアン「だけどさ、その話の化けもんってさ……」

ニーナ「確かマクスラークさん達のパーティーでも対処できなかったモンスターなのでしょう? ショーゴさんが出て行ったところで……」

ブレーミー「そうだね。役立たずもいいところだったと思う。でも、ボクはいい判断だったと思うな。だって、もしショーゴが出て行って、それでショーゴが怪我でもしたら、カスミちゃんはそれはそれで気にしたんじゃない?」

霞「その考え方はしたことなかったな。でも、結果としてはショーゴはあたしを置いていった。自分で窮地に追い込んでおいてだよ? 守る意思すら見せてくれない……それで恨むなってちょっとさ、無理でしょ?」

ショーゴ「……知らず知らずのうちに俺は、カスミを、追い込んでたか……」

霞「そうだねぇ? だってカスミ、そのことでショーゴが気にしているだろうからってさ。自分が悪かったんだからショーゴの前では『いい子』でいようって、自分に言い聞かせてたんだよ? それが、いつの間にか全部に適用されるようになっちゃってたけどね。まあ面倒臭がりなとこあるし? 区別するの面倒になったんじゃない?」

ショーゴ「……『いい子』か。……確かに。俺は、カスミに少し、『いい子』であることを求めすぎていたかも、しれん……『いい子』でなくてもカスミは、カスミなのに。」

霞「……こっちはもういいかな? ブレーミー、もっと面白いこと教えてあげるよ。化け物さ~ あれがなんで6人の方向かっていっちゃったのかについて。あたし、これ知ってるんだよね~」

ブレーミー「え? うそっ!?」

霞「だってあたしがその元凶だし? 理由はね……あたしがこのブラスターで脅したからだよ! そしたら逃げちゃった! アハハ!」

ブレーミー「……え、ええ!?」

霞「このブラスターってさ、ほら、高火力じゃん? だから低出力モードでも当たると結構痛いんだよね。当てたら逃げてっちゃった! 母さんの形見だからずっと肌身離さず持ってたんだけど、あの瞬間まで使ったことなんてなかったんだよね~」

ショーゴ「それは聞いていないぞ、カスミ!」

霞「だから、カスミは覚えてないんだって。あたしがとっさにやっちゃったことだから。それに、聞けなかったの間違いでしょ? 自分が何もしなかったから! アハハ!」

ショーゴ「……っ……」

ブレーミー「えっと。つまり。」

霞「多分ブレーミーが知りたいのは作成者、もしくはあれを従えてた人がいるかどうかなんだろうけどあたしは知らないよ? 突然出てきて、突然襲われたから追い返しただけだもん。」

ショーゴ「……俺が見ている。」

ブレーミー「本当!?」

ショーゴ「お前からあのプリシアナッツの噂を聞いた日があったろう? その時にカスミ達と一緒にいたノームだ。だが、あの事件の日、近くにいたのは間違いないが、怪我をしていたように見えた……あいつも襲われたんではなかろうか? だが、化け物を見ている目が化け物をみる目じゃなかった。明らかに見る目が違った。」

ローズ「私達と一緒にいたノーム……ってことは、つ、ツカヅチさん!? え? ええ!? あ、だからマクスラークさんが置いていけって!!」

ブレーミー「!! だから! なんでそういうことを話さないの!?」

ショーゴ「カスミが話さないのは話したくないからだと思っていた。だから俺も隠すべきだと思っていた……まさか、覚えていないとは思ってもいなかった……それが人を不幸にしていたと、気づきも、しなかった……」

シアン「ショーゴ……しょうがないって、お前はお前の考えで話さなかったんだろ? それが結果として悪かったとしてもさ、オレはお前の考え悪いとは思えねぇーし……しょうがないって思うしかないって。」

ニーナ「……」

ショーゴ「カスミ。俺が、悪かったようだ。すまん。俺が確かに、馬鹿だった。だが! だからこそ! 何かあったらいけないと、お前のために、行動を制限してきたんだ! その気持ちに、偽りはない。」

霞「これだからショーゴは……でもさ、これで許せるならさ、あたしなんて生まれてないんだよね? わかるかな……?」

ショーゴ「……お前を、助けもせずに、見ていた。事実だ。……事実だ! だからこそお前たちからの罰なら、受けよう。あと。」

霞「あと?」

ショーゴ「別物とかいって、すまん。お前は要するに、カスミの恨み言か。……ならば、お前の暴言は少しぐらい、我慢せねばならんな。」

霞「……ま、そういう考え方でいいかもね。どうしよう、ちょっと気が削げちゃったよ。カスミ叩き起こすにしても、面倒だしなぁ……もう寝ちゃおうかな~」

ブレーミー「待って! 待ってカスミちゃん! 言いたいことがあるんだ!」

霞「何~?」

ブレーミー「ありがと! これでようやく! ようやくボク、姉さんにきちんと謝れそうだよ……変な噂、流してゴメンネって。」

霞「……ありがとうなんて、言われてもなぁ……困るなぁ。あたしに言われると凄く困るなぁ……」

ショーゴ「霞、この話は……カスミにする気は、あるのか?」

霞「……そんなこと今したらそれこそずーっとあたしのまんまになりかねないけど? それでもいいなら話すけど?」

ショーゴ「……構わん。話してやってくれ。覚えていない方が、辛かろう。」

霞「……はぁ、お兄ちゃんぶっちゃって……いいよ、そういうなら話しとくよ。じゃ、おやすみ~」

霞(でも。今日のカスミには何をいっても無駄。きちんと様子を見た上で、明日にでも気をつけながら話しておくかな。本当、気をつけないと……今まであたしは『あれ』を隔離するために『恨み』を基に作られたんじゃないかって思ってやってきたけど、『あれ』はただのきっかけだったってこと、今日のカスミの様子でわかっちゃったからね……)


おまけ
ローズ「えっと……あれ? あれれ?」

ショーゴ「早く、解いてくれんか?」

ローズ「……ニーナさんタッチ!」

ニーナ「えっ!?」

ショーゴ「な、なんだと! ま、まさか外れなく!?」

ニーナ「……」

ショーゴ「に、ニーナさん?」

ニーナ(どうやったらこんな結び方が出来るのでしょうか……試してみるのもいいのでしょうが……時間もないし……)

ニーナ「大丈夫です! 最終手段の……ナイフです!」

ショーゴ「解けんのか!? くそ、ローズめ! あとで覚えてろ!!」

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