2更新分と短めです。
ユッキー「そっちはどうだ?」
ミュール「そうね、10回生の連中は……これであとさくやだけよ。」
がさがさと資料を集めていくミュール・タケシ・ユッキー・ヨシマーサの4人。
既にミュールの前にある机にはアサミン・マクスラーク・あっちゃん・リューの資料があり、
タケシの前にある机にはシアン・ショーゴ・ブレーミーの資料が引っ張り出されていた。
タケシ「こっちもあとゆづきさんだけっすよ。あの人だけやたら古いから、結構探すのも大変っす。」
ヨシマーサ「古いっていっても俺と同期だけどな。」
ユッキー「オレよりは新しい……」
ミュール「……なんて連中なのよ、あんたら。あ、さくや見っけ!」
タケシ「お? タイミングいいっすね~ こっちもちょうどゆづきさんの見つけたっすよ。」
4人は1人1人の資料をじっくりと確認し始める。
ミュール「まずはアサミンさんっと。」
ユッキー「こういうのは当事者は関わるべきじゃない……貸せ。」
ミュール「ちょっと! あたしから奪うなんていい度胸じゃない!」
ユッキー「黙れ、オレの方が先輩だぞ……? ふむ、入学の経緯にやや問題があるな。」
ミュール「問題? え、あたし結構長い間おっかけしてるけどそんな話全然聞いた事ないわ。たちの悪い噂ぐらいなら聞いた事あるけど。」
ユッキー「他には……うむ、これは……案外、ブレーミーの奴が男装している理由はこれかも知れんな……まあいい。他は……ドラッケンへの通行許可の際はソロか。しかし入学後やたら早いのは少々、怪しいか?」
タケシ「それを言ったらこっちのさくやさんもそうっす。ドラッケン行きがやたら早いっす。あ、でもこれパーティーでの許可みたいっすね。」
ヨシマーサ「ん? プリシアナッツの事件のメンバーじゃねーの?」
タケシ「これ、あのパーティーじゃないっす。あの人、他の人とパーティー組んでたことがあったんっすか。意外っす。」
ミュール「意外でもないでしょ。確かアサミンさん、さくやと組んで歓迎クエストやったっていってたじゃない。その後分かれたっていってたけど。でもさくやはその延長でいってたって可能性があるじゃない。でもそうなると今度はアサミンさんがどうしてソロでドラッケンまで行っているのかが謎ね……」
ヨシマーサ「……こっちのリューとゆづきってのはタカチホ出身だからかさっさとタカチホ行きだしてもらってるみたいだな。ふーん。それ以外面白そうなことがないぜ、これ。」
ミュール「……となると、あたしは……ん~ この中ならあっちゃんよね。」
タケシ「自分の趣味を出すなっす! ……まあオレっちも同じ盗賊として、シアンさん気になるから見るっすけど。」
ヨシマーサ「お前らなぁ……オレは仲間の見るのはなんか嫌だし。マクスラークとか言うのを見るぜ。」
ユッキー「……どれ、ブレーミーでも見ようか。下手なやつに見せるわけにもいかんだろうしな。」
ミュール「……? え、何、これ。」
タケシ「どうしたんっすか? まさか、変な履歴でも!」
ミュール「普通すぎて、つまんない。」
タケシ「……あ、あんたは……」
ユッキー「……じゃあこれと交換するか? こっちもありきたりなことしか書いていないぞ。」
ミュール「え、どれどれ……えー こっちの方が面白いじゃない。あらゆるイベントに参加している、優秀生徒! まだ、そっちのほうが面白いって。」
ユッキー「……確かに。これは見ていてつまらんな。タカチホ行きもドラッケン行きもプリシアナッツの関係者パーティーでのパーティー許可。他のメンバーを調べた方がいいな、これは。」
タケシ(あの人、他の人とパーティーを組んだことがなかったんっすか? 別に人当たりが悪そうには見えなかったっすけど……人との付き合いを避けてる? そういうことっすか?)
ヨシマーサ「なんだこいつ! ハハハハッ!」
ユッキー「な、笑うな! 気づかれる!」
タスク「ゲッ!」
ちあき「……せ、先生! その、そう! 私達が先に見てきます! 危ないですから!」
タスク「そ、そうそう! 俺らに任せとけって! じゃ、じゃあ!」
ユッキー「ヨシ、何をしている!」
ヨシマーサ「だって、だってよ! こいつ、毛フェチとか言い張ってるけどよ! 単純に家が美容室やってるからそうなっていっただけでやんの! んでなんで錬金術なのか、はさみだとよ! だめだ、これ笑いがとまんねぇー!」
ユッキー「……な、なんという、馬鹿らしい理由なんだ……」
ミュール「……あの、馬鹿ノーム……」
タケシ「……ああ、マクスラークさん、あんたを恨むっすよ……」
ちあき「みんな、早く逃げて!」
タスク「先生が来るぞ!」
タスク「はぁ、はぁ……ここまでくれば、大丈夫だよな……」
ちあき「はぁ……何を調べていたか、ばれちゃったかしら……」
タケシ「それは安心して欲しいっす。ヨシマーサさんが笑い出した地点で、オレっちきちんと片付けてきたっすから。」
ミュール「あんた手際いいわね~」
タケシ「何を調べているのか悟られたら次からは絶対調べられないと思えって、先生の言葉っす。」
ミュール「その先生いいこというわ~」
タスク「本当はそんなことしなくてすむのが一番なんだろうけどな。」
ちあき「それで、結果は?」
ヨシマーサ「あ、ショーゴのだけ見てねーや。だけどあいつに限ってないだろ。」
ユッキー「どうだろうな……あいつは携帯電話を持っている。連絡を取る分には困らない。」
ミュール「大丈夫でしょ。カスミのこと調べた際に少しだけ見たけど。不審な点はなかったはずよ。」
ユッキー「そうなると……全員、シロ、か?」
ミュール「そうね。グレーな人物は何人かいたけど。明らかにクロって言い切れる人物はいなかったわ。」
ちあき「そっか……よかったわ。」
タスク「じゃあ、これで心置きなく、タカチホへいけるな! やったぜ!」
ちあき「やった?」
タスク「だってさ。最後の戦いになるかもしれないんだろ? だったらやっぱすっきりした気持ちでいきたいじゃん?」
ちあき「……そうね。そして、すっきり終わらせたいものね。」
おまけ
ちあき(でもあの履歴書、実際の所、提出までの経緯が重要であって殆ど意味を成していないから調べる意味なんてないのに……)
タスク「ん? ちあき、何か気がかりでもあるのか?」
ちあき「えっ、あ、えっと……例えば、例えばよ? ありきたりなことかいておけばいくらでもごまかしがきくから、調べる意味ってあったのかな、って……」
ユッキー「まあ、な。だが、意味があって提出させているんだ。それにだ。嘘を書こうと思った場合、真実性を持たせるコツは何だと思う?」
ミュール「……真実をほんのひとつまみ、いれること。」
ユッキー「そうだ。あの中に真実はあるかもしれん。調べる意味がなかったなんてことは、ないさ。」
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