全2更新分ですがちょっと加筆部分多目にてお送りしております。
ユッキー「おかしい……」
ドラッケンから断たれた絆の道・スノードロップを突きぬけ約束の雪原を歩いていたタスク達。
メンバーに加わったばかりのユッキーがここに来てふとそうつぶやいた。
その言葉に即座に反応を示したのは意外にもミュールであった。
ミュール「何よ、いきなり? 何も妨害が無いのがおかしいとでも言うの? 飛竜はドラッケンから南に飛んで行ったんだから西に向かってるあたし達に妨害行為が無くても特段おかしくもないでしょ。」
ユッキー「違う。フローライトの行動のことだ。」
ヨシマーサ「何がおかしいんですかい? 別に逃げるのは不思議じゃないでしょうよ。」
ユッキー「そんなことでもない。何故あいつは、プリシアナに立ち寄らない?」
タスク「? ああ、ドラッケンで向かおうと思っているって言ってたのが、タカチホだから気になるってことか?」
ちあき「別にプリシアナに用事がないだけじゃ……」
ユッキー「そんな短期間の事を指しているわけじゃない。確かにそれも引っかからないわけじゃない。しかしそれ以上に長期間プリシアナに立ち寄らない意味が理解できない。少なくとも、俺はプリシアナで奴の姿を見た覚えがないからな。奴の目的はそもそもなんだ? 全員集まった際に聞かされた話では、勧誘だろう? 奴の目的もそれなのか?」
ミュール「え、あれ? 確かにおかしいわね。」
ちあき「え? ミュールやヨシマーサさんがいる以上、用事はないはずでしょう?」
ミュール「あたしが性質の悪いドラッケンの作戦実行員っていったのは、フローライト。別に勧誘についてはそれぞれで範囲決めたわけでもないから、プリシアナに立ち寄って使えそうな人員を勧誘ってのも一つの手だったはず。……なんで、立ち寄らないの? あたし、プリシアナに入学してからあいつの姿をプリシアナで見たことないわよ?」
ヨシマーサ「オレがいたからじゃないっすか?」
ミュール「だから。特段決めていたわけじゃないんだから。使える人間は使うあいつがプリシアナに様子見であっても来ない理由がわかんないの。それによ。今回の逃走だって、プリシアナルートの方が戦闘要員の人口は多いでしょ? 間にプリシアナ学院がある分ね。裏の連中の事だし1人、2人モーディアル入り約束してる奴もいたはずよ。そいつら捕まえておけば有利になるでしょ? 何でそれしないの?」
ちあき「そういわれてみればそうよね……ドラッケンの騒ぎって、要するに動かせる人が欲しかったから起きたのよね? そんなことをする人がどうしてプリシアナのはこないの?」
ヨシマーサ「……そういや、オレがフローライトと会うのなんて、久しぶりかもしれねぇーな。」
タスク「へ? 同じ学校なんだろ? 連絡取り合ったりしないのかよ?」
ヨシマーサ「卒業タイミングが違うんだよ。オレは卒業後すぐにプリシアナに入学してるからドラッケンどころかタカチホにも行ったことねぇーよ。だってオレ、あまりあの作戦好きじゃねーもん。誰と連絡取るんだよ。」
ミュール「だからまったく連絡が無いのにイラついた前生徒会長がいざとなったらあたしが代わりに行くようにって言い残してたのよ。で、それに従ってあたしはプリシアナに入学してるの。」
ちあき「そうだったの……え? でもそうなるとヨシマーサさんが入学してから、最後に連絡取ったのはいつ? モーディアル卒業後は全く?」
ヨシマーサ「……ん~ いや、卒業後、プリシアナ入学してから少しの間は一応やり取りしてたぜ。あっちからばっかだったけどよ。もっとも、プリシアナッツ事件とやらが起こるまでには連絡はまったく来なくなってたはずだぜ。そんな事件が起きているなら流石のオレも連絡の時に喋ってて、覚えてるはずだからな。でもよ、兄貴。こればかりは本人問い詰めないと答え出ませんぜ?」
ユッキー「そうか。……そうだな……」
ちあき「まだ、何かあるんですか?」
タスク「せっかくだしよ、全部言っちまえって! 全員で考えたら案外あっさり答え出るかもしれないしよ!」
ユッキー「能天気な奴だな……まあ、一理あるか。せっかくだ。言葉に甘えるとするか。」
ミュール「何よ偉そうに。」
ちあき「ミュール、その言い方は……」
ミュール「偉そうな奴に偉そうって言って何が悪いの? あたしわかんないわ~」
ユッキー「ちあきだったか。この手のタイプは言っても無駄だ。」
ちあき「そんな、決め付けなくても……」
ユッキー「決め付けではなく、経験談だ。だからな……もう1つあるんだ。聞いてくれるか? こういうのがコツだ。」
ミュール「何、なんかむかつく言い方ねぇ……まっ、乗り切るコツを知ってるってことでのせられてあげるけど他の奴には通用しないと思いなさい。で? もう一つって何よ?」
ユッキー「何故奴は、ドラッケン南からもう一つパーティーが来ていることを知っていた?」
タスク「ん? それは赤毛のエルフのねーちゃんいってたじゃん。偶然って。」
ユッキー「偶然なのは街であったことをさしている可能性がある。」
ちあき「……可能性はあるけれど……考えすぎな気もするわ……それって、遠回しに内通者がいるっていっているようにも……」
ユッキー「俺はいるといっているつもりだったが?」
ちあき「そんな! 疑う、証拠でもあるんですか!」
ユッキー「ないから今まで黙っていたのだろう? まだ、いる可能性があるだけの段階なのだしな。」
ちあき「でも、仲間を疑うのは……」
ヨシマーサ「ハッ、ただ集まっただけのメンバーをたったあんだけの時間で仲間って言えるのはちょっと頭沸いてねぇ?」
タスク「んなこというなよ! 共通の目的持った仲間だろ?」
ヨシマーサ「……そ、そりゃ、そういう言い方は正解だろうけどよ……」
タケシ「じゃあ調べるっす。」
ミュール「ん? あんた今まで何も喋らなかったけど何、何か考えてたの?」
タケシ「オレっちも変だと思ってたんっすよ。なんだかこっちの動き全部丸わかりみたいな動きしてるフローライトって人のこと。内通者がいるって事ならそれも納得いくっす。」
ミュール「!? 内通者だなんて、そんなのいるわけないでしょ! あたしだってあの時集まったメンバーの中にモーディアルの生徒はいないことは確認したわよ! あいつに協力する人なんていないだろうし! だから内通者なんていない、いるはずないのよ!」
タケシ「じゃあ調べればいいっす。ローズさん調べた時と、同じ手段で。」
ミュール「……え、またやるの? ま、まあ、確かにすっきりはするかもしれないけど。経歴確認できるだけでも大分違うだろうし。」
タスク「……また止めるのか~?」
ちあき「……そう、よね。信じたいものね……やむ得ないかも……同じ手が使えるかは、わからないけれど……」
ヨシマーサ「ん? 何したんだお前ら? なんだか面白そうじゃね?」
ユッキー「……あたりをつけておかないとすぐに止められそうなことをやりそうだな……なら、そうだな……今からでもあたりはつけておくか。」
ミュール「やることは決定ってわけ? まあ、全部はっきりすっきりさせたいからあたしも賛成だけど……そうねぇ、全部探す時間なんてないわよね……ただでさえ目、つけられてるだろうし。最近の子は全部省いて、昔からいる連中だけに絞るとか。」
ユッキー「いや、ヨシの入学からプリシアナッツ事件があるまで。つまり8回生から11回生が臭い。このあたりだけを重点的に調べようか。」
タスク「ん、そうなると俺らの中ではマクスラークとアサミンか?」
ちあき「ロビンさん達のメンバーではリューさんとあっちゃんさんですね。」
ヨシマーサ「オレらの中ではシアンか。あ、そういやショーゴとブレーミーもギリギリ11回生だったか?」
ユッキー「もう1つあったパーティーは……ゆづきというプリシアナッツ当事者のバハムーンと金髪のエルフのさくやか?」
ミュール「……こうやって絞ると少ないわね。そりゃそうよね。大体は3回新入生が入ってくるまでの間に学科極めてでてっちゃう生徒が多いって話だもんね。」
ユッキー「だが、少ないのはありがたい……余り時間をかけすぎても、他に迷惑がかかるしな。そうと決まればプリシアナまでは一気に行くぞ。ああ、それとタスク。」
タスク「ん?」
ユッキー「先程はヨシが失礼したな。すまなかった。だが理解してもらいたい。『つるむ』ことと『仲間』がイコールだと苦労する世界もあるということを。」
タスク「……? と、とりあえず、礼、だったのか?」
おまけ
タスク「しかしなんでユッキーが全部仕切ってるんだ?」
ユッキー「文句を言うな……ブレーミーにとられがちだったが俺は参謀タイプだ。だから俺は向こうのパーティーでは完全なる脇役だったんだがな。」
ヨシマーサ「いや、俺には負けますって。」
ちあき「……メンバーを入れ替えた後に目立つってことは。つまりこっちのメンバーは余り目立たない、ってことよね……?」
ミュール「……そうね、タスクとちあきなんか完全に巻き込まれてるだけだし。」
タケシ「オレっちもっすよ、ミュール!」
ミュール「あんたはアサミンさんがいる所なら地の果てだって着いてくるって立派な特性があるでしょうが!」
タケシ「それはあんたもっすよ!」
ミュール「ああそうよ! 何か悪い?」
ちあき「……一番目立ってるのは、アサミンさんなのだろうけど、次は誰と言われたら、ミュールよね……」
タスク「ああ、リーダーのオレ差し置いて、ミュールだろうな……」
ユッキー「目立つことがいいこととは限らん。気にすべきことではない。少なくともお前はキチンとリーダーはやれるように思うぞ。自信を持っていい。」
タスク「お、おう!」
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SNS版⇒ブログ版の今話の変更点
ユッキーさんがいい人に!&ヨシマーサさんが憎まれ役に!(何)
すこし加筆するだけで結構イメージが変わることを再認識した話でした。