この辺りはあの東日本大震災の影響で乱れていた頃の日程での更新ですので
若干、いつもの3更新分より長く感じられるかもしれません。
カスミ「……なんで、あたし、ベットにくくりつけられてるの?」
なつき「なんでって、自分、くくりつけられるようなことしてたじゃないですか!」
カスミ「そんなことしてないじゃん……ローズだけでいいんだからさ。殺らせてよ……ねえ、早く解いてよ! 解いてよ……!」
なつき「さっきからこれの繰り返し……だめです、聞く耳すら持ってもらえません……」
ライカ「……なんだ、これは?」
なつき「どうかしたですか?」
アサミン「そっちも同じ?」
なつき「アサミン先輩まで。どうしたのです!?」
ライカ「カスミを運ぶ前に勝手に採血したんだがな、おそらく魔法薬だ。」
なつき「!? カスミは何か飲まされていたのですか!」
アサミン「この反応……そう、なのかしら? 私は微妙に違う気もしたけど……」
ライカ「お前の言いたいこともわかる。……だが、これは魔法薬だ。」
アサミン「……そうね。貴方がそういうならそうでしょうね。私もその可能性について疑いぐらいは持った。貴方がそういうなら確定よ。それで……なつき。カスミに変わったこととかあった?」
なつき「最近は紫髪のエルフとよく会ってたですよ? ただ、話してるだけっぽかったので放置……ああ! よく考えたらそのエルフとの密会の時、必ず何かしらカスミ飲んでたですよ!」
アサミン「そういうことはもっと早くに気づきなさい! でもそうなると……やっぱり原因はあのエルフっぽいわね……ま、さくやがそっちは上手くやるでしょ。しばらくは放置で大丈夫よ。」
なつき「そうなのですか? そういえば何かごちゃごちゃやってましたですね、お2人で。なんだ。仲良かったのですか。じゃあ当分の問題は……」
カスミ「そうだ、銃……あたしの銃! あたしの銃はどこ!? 何で取り上げられてるの!? 返してよ!」
なつき「……錯乱状態がずーっと続いちゃってる、カスミの処置ですね。これ、あの時のさくや先輩よりずっと危険ですよ……あの人は拘束された後はおとなしかったですけどカスミは縛られようが何されようがただひたすら『ローズ』です……」
アサミン「は? なんでここでさくやよ? あいつ暴れるような奴じゃないでしょう? 手荒なことは本当、最後の手段に持っておくような奴だし。」
なつき「そういえばあの時にはアサミン先輩いなかったですね。説明するです! さくや先輩、ゆづき先輩の事情聴取の時に足止めしてたヒルター様やダイを襲ってなつき達、そう、ゆづき先輩を含めたなつき達まで襲ってきたですよ。」
アサミン「……? どうしてもわからない。あいつは言ってもやらない奴。そういう奴。そんな奴が、仲間を攻撃? ゆづきまで? 嘘でしょ? あいつは本当、そういうの嫌う奴よ?」
なつき「どうしてそこまで言い切れるんです? 一番嫌ってたのって、アサミン先輩じゃないのですか?」
アサミン「嫌ってなんていないわよ。……避けては、いたけど……あいつはそもそも、仲間に裏切られて1人でいるところをゆづきが勧誘して私達のパーティーに加入してるのよ? だから私もプリシアナッツの件では油断してたの。あんなことされるなんて、ってね。」
なつき「はあ!? そんな過去あったですか!?」
ライカ「そういえばさくやのパーティーはここで事を起こしていたな。まったく。あんな酷いフリ方はないだろう……」
なつき「え? フリ方? どういうことです?」
アサミン「あいつ今でこそやたら女好きだけど。……ううん、あれは、演技かもしれないけど……あいつ、あれで彼氏いたのよ、昔。」
なつき「はああああ!? え、え、まさか振られたから女に走っちゃったですか、先輩!? あ! だからリューやあっちゃん、マクスラーク先輩、みんな、さくや先輩の趣味って気づかなかったのですね!」
アサミン「そりゃまさかそうなるとは誰も思わないでしょう。私はゆづきに返答した、その瞬間にああ、これはまずいわって思ったけど。でも。……そう、事件の時、今のカスミみたいだったの……」
なつき「そうですね。ここまで酷くはなかったですけど。」
アサミン「……もしも。」
なつき「なんです?」
アサミン「もしも、今のカスミと少し前までのさくやの症状が一緒……ってことなら。……私、さくやときちんと話さなければいけない……私は、あいつを誤解してたのかもしれない。きちんと知らずに……臭いものに蓋してた、だけなのかもしれない……」
なつき「……そうですか。結果は教えて欲しいです。」
アサミン「わかったわ。」
なつき「でも本当、カスミはどうしましょう? ベット壊しかねない勢いですよ?」
ライカ「ああ、その件なら多分、もうすぐ解決するさ。」
なつき「? どうしてですか?」
ライカ「それはな……」
(バタン!)
ショーゴ「ライカさん! カスミがいるというのは本当……カスミ!」
なつき「おおお!? こ、これは!?」
ライカ「まったく。メールしてからが遅すぎるんだ、馬鹿どもが……」
シアン「おー! 本当だ、あの時の子だな……あれ、なんかおかしくね?」
ヨシマーサ「というか、なんか全体的に雰囲気がおかしい気がするぜ? というかそっちの羽根付き。お前誰だよ。いなかったろ。プリシアナッツの木の時。」
ニーナ「あら、アサミンさんじゃないですか。お久しぶりです。」
アサミン「あ、あんた、ニーナ!? 何、あんたも旅に出てたの? 意外……ん?」
ブレーミー「な、ななな!? なんで姉さんがここにいるの!?」
ブレーミー・アサミン以外全員「姉さん!?」
アサミン「……また、あんたは……男装なんてして……なんではこっちよ!」
ニーナ「え、男装?」
アサミン「え? 知らないの?」
ブレーミー「あああああ!? ちょ、ちょっと! やめてよ! ボクのプライバシーを勝手に侵害するなぁぁ!!」
ニーナ「え、ブレーミーさんって、女の方? え? え?」
アサミン「ああもう! 隠してたんなら隠してたって先に言いなさい! 私だってそこまで配慮できない姉じゃないわよ!」
ブレーミー「もう暴露しちゃったんだから意味ないじゃん!」
なつき「えっとですね。そっちの感動の再会もいいのですが、向こうの感動の再会がなにやら、非常に大変なことになっているのですよ?」
アサミン・ブレーミー「え?」
カスミ「え、なんで、なんでショーゴ? 何、ショーゴもあたしを止めるの? なんで? ショーゴは知ってるじゃん。……ねえ、あたしの銃を探してきてよ……あたしに仇を取らせてよ……!」
ショーゴ「……そうか、見つけたのか。だが、銃は取れん。」
カスミ「どうして? どうして取ってくれないの? なんで邪魔するの? そっか、そっか、ショーゴもあたしの敵なんだ。そっか、そうなんだ……味方ってフローライトさんしかいないんだ……」
ショーゴ「フローライト、あの男か。」
カスミ「ショーゴ、知ってるの? 知ってるなら連れてってよ、ねえ。あたしに色々教えてくれたいい人だよ? ねえ、連れてって?」
ショーゴ「……そうか。すまん、ライカさん。睡眠薬を投与してやって欲しい。」
ライカ「いつ指示があるのか待ってたぐらいだ。いいのか?」
ショーゴ「頼む。」
カスミ「なんで? まだ寝るには早いじゃん。それに眠ってなんか」
ショーゴ「今はゆっくり寝てろ。寝不足では何もできんぞ? な?」
カスミ「……ショーゴが、そういうなら、うん……自分じゃ、眠れそうもないし、お薬も、我慢するね。」
ショーゴ「……さて。何故、どうしてカスミがこんな状態なのか。説明してもらおうか?」
アサミン「実は説明してもらいたいのはこっちなぐらいなのよ。」
ショーゴ「なんだ、その無責任な言い分は!」
ブレーミー「ショーゴストップ! 姉さんは変な嘘はつかないよ。多分本当。でもさ。どうして説明して欲しいって状態になったのか。それくらいは説明できるよね?」
アサミン「……ええ、できるわよ。」
ブレーミー「じゃあまずはそれをお願いするよ。その後、ボクらの話でいいね?」
アサミン「そっちの方が全員早く飲み込めると思うわ。」
ヨシマーサ「へえ、ここまでスムーズに話が進むなんて珍しいよな。」
シアン「そうだよな。いつもは色々茶々が入ったりで進行遅いけど。」
ニーナ「……ブレーミーさんが、女の人……」
ユッキー「嫌だ嫌だ嫌だ、ライカ姉と同じ部屋にいるのが嫌だ……」
シアン「……茶々入れ要員が、今回この調子だから早いよな。そりゃ。」
なつき「え? 長引かせたいなら長引かせるですよ?」
シアン「やめてくれ!!」
アサミン「何やってんのよ、あんた達は……じゃあ、初めから……」
フローライト「……な、こんなに人が……カスミちゃんは、無理そうか? いや。僕なら、この僕なら上手くやれるさ、ふふ……ははは……」
さくや「ローズ! そっちにはいる!?」
ローズ「いません、そちらには!?」
さくや「……この辺りであっているはずなのよ!」
ローズ「ええ、間違いないです。足音は、結構近いんです!」
さくや「相変わらずいい耳してるわね……そうね、病室とか怪しいわよね。探すわよ。」
ローズ「はい!」
ローズ「でもおかしいな……馬鹿兄、自分で言うのもなんだけど結構痛めつけちゃったから……遠くまでこんなに早く移動できるもんなのかな……? 馬鹿兄って別にタフなほうでもないし……」
フローライト「そうだね、あれはちょっと、僕もきつかったよ。ローズ。」
ローズ「馬鹿兄!? ……いない!? どうして!?」
フローライト「はは、何処にいるか。ローズの耳なら、よくわかるんじゃないかな? よーく、よーく聞いてみてよ。」
ローズ「……そこだね!」
ベットを乱暴に持ち上げベットの下を確認する。
そこにはローズの携帯電話。
ローズ「え!?」
フローライト「戸締りはきちんとしないとダメだよ、ローズ。……こうやって泥棒に入られるよ? ほら、これって僕の支払いだからさ。きちんと確保しておいてあげたよ。もうとられちゃダメだよ?」
ローズ「奪っておいて言うなーーー!!」
さくや「ローズ!? いたの!?」
ローズ「さくや先輩!?」
シアン「おい、なんか変な音しなかったか!?」
ブレーミー「まるでポルターガイスト現象が起きたかのような……え、ベット持ち上げてるの!?」
アサミン「何事かと思ったら……あきれた馬鹿力ね……」
さくや「アサミンにブレーミー!? どういうこと、これは!? ここは、先輩の病室の近くだったの……? ということは……やられたわ……カスミ、カスミは!? 誰が見張ってるの!?」
ヨシマーサ「ん? ショーゴがきちんと見てるから安心……」
突如、壁から白い光が発せられ、消えていく。
アサミン「どういうことよ、さくや!」
さくや「これは誘導! ローズは力任せに物探す。もちろん、大きな音が起きる。そうなれば音の正体を突き止めるため人はそれを見に来てしまう……こんな状況だもの。気にならない方がおかしいわ!」
アサミン「! そういうこと! ……さっきのは、間違いなくカスミの銃……少なくとも銃は奪われたと見ていいわね。」
ブレーミー「姉さん、ボクは上から、姉さん達は正面から行ってカスミちゃんを止めて! カスミちゃんだけでもいいよ! 他は、ボクたちが何とかするから! ここで上空からの奇襲慣れてるのってボクぐらいでしょ? 任せてよ!」
アサミン「……お願いするわ。さくや、いくわよ。あんたの後輩、助けにね。」
さくや「ええ。」
ショーゴ「……カス、ミ……やめろ、やめるんだ……」
カスミ「何で? 何でやめるの? ようやく見つけたんだよ……? 何でここでやめなきゃいけないの?」
フローライト「そうだよね。きちんと片付けて、それでようやく、進めるもんね?」
カスミ「そうだよ、終わらせないと、終わらせないと……今までずーっと、何していいかもわからなかったから。ようやく……」
ショーゴ「……カスミ……そんなに、悩んで……すまん、気づいて、やれなんで……」
カスミ「……ショーゴ?」
フローライト「大丈夫、気絶してるだけだよ。それよりもほら、カスミちゃん? あっちみて?」
ローズ「カスミちゃん!」
カスミ「……ローズ。」
カスミはローズに銃を向ける。
カスミ「……もう撃つのためらわないよ? 動かないでね? 少しでもさ、悪いなとか思ってるなら、さ。」
ローズ「……うん。動かないよ?」
アサミン「あんた、何言って!」
さくや「アサミン、ここはローズに任せるわよ。」
アサミン「けどこの子、やる気よ!?」
さくや「……あとは、任せなさい。」
ローズ「はいっ!」
カスミ「そっか。覚悟、決めてきたんだ……ありがとね、ローズ。……これであたし、前に進めるよ……」
カスミが引き金を引いたその瞬間。
ローズは器用にも急所を外して光線を受けつつ、カスミから銃を奪い取る。
カスミ「……え?」
ローズ「はい、受けたよ? 動いちゃったけどこれでいいよね? それで、これでおしまい……ダメ……?」
カスミ「……なんで、受けて、まだ、生きて。」
ローズ「本気だったならきちんと、最初やってたみたいに、胸か、額狙わなきゃ? ……脇腹じゃ、せいぜい穴開くだけだよ……? まあ、そうなるように、したん、だけどね……」
カスミ「……じゃあ、もう一度……」
ローズ「銃は、もうやめてよ。……正直さ、こうやってもたれかかってるのが、もう、精一杯。私も、カスミちゃんの両親のこととかさ。本当。何にも、知らないんだよ……信じてよ……信じてくれるって言ってくれるなら、きちんと……私もこれからは話すから……ね?」
カスミ「え?」
ローズ「怒ってたのって、そういうこと、でしょ? 私何にも話してなくて……あはは……さくや先輩にきちんと言えって、怒られちゃった……そうだよね、だから信用して、もらえなかったんだよね……ごめんね?」
カスミ「ローズ、ちゃん?」
ローズ「……大丈夫だって。これくらい、慣れっこ……」
カスミ「ローズちゃん!」
さくや「カスミ、ローズをよこしなさい!」
アサミン「器用に致命傷避けたわね、まったく! 今すぐ処置を!」
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