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2011年3月3日~6日に公開しました、親衛隊冒険日誌の第12話分です。
物語の重大イベント山場の4更新分です。お楽しみください。

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ここ数日、まともな会話をしていないカスミとローズ。
この状況に先に耐え切れなくなったのはローズの方だった。

ローズ「ねえ、カスミちゃん。」

カスミ「……何?」

あからさまに不機嫌ですといわんばかりの返事をするカスミに、ローズは言葉を続ける。

ローズ「いつまで、こんなこと続けるの?」

カスミ「ローズこそ。」

ローズ「今、ローズって、呼び捨てにした?」

カスミ「そんなの、どうでもいいじゃん?」

ローズ「それは、そうだけど……」

カスミ「そんなことよりさぁ? 聞きたいこと、あるんじゃないの? 何かもじもじしてさ。聞きたいことがあるなら、言えばいいじゃん。いい加減あたしも限界なんだけど?」

ローズ「……わ、わかったよ。言うよ、言うね……なんで馬鹿兄……フローライトと一緒に、喫茶店にいたの?」

カスミ「……! 見てたの!」

ローズ「……うん。」

カスミ「内容は、聞いてないよね?」

ローズ「……うん。」

カスミ「嘘だね。ローズ、耳いいもんね。見えるぐらいの距離なら聞こえてるよね。」

ローズ「嘘じゃないよ! 流石の私でもガラス越しは無理!」

カスミ「嘘だ。」

ローズ「どうして、嘘だって、決め付けて」

カスミ「ローズ、ドラッケン学園で暗殺術とか、そういうの、習ってたんでしょ? 海賊学科もとってたって聞いたよ。優等生だったとか? ……そんな人がさぁ、プリシアナ学院で劣等生? 嘘ついてないなんて思える方が、おかしくない?」

ローズ「!」

カスミ「他にもさぁ……冥府の迷宮のあの人の足跡に対する反応とかタカチホの時のロープの結び方とか、よく考えればおかしいこと、一杯あったじゃん。」

ローズ「そ、それは、その。」

カスミ「ねえ、他に隠してること、あるでしょ? 言ってよ? 言ってみせてよ?」

ローズ「……カスミちゃん? な、何? 何があると思ってるの!?」

カスミ「あの時、あたしがさくや先輩に銃つきつけた時も。知っていて何もいわなかったんだよね……酷いなぁ……」

ローズ「何を、言っているのか、全然、わからないよ……?」

カスミ「まだ、しらばっくれるんだ?」

カスミは、さくやに突きつけたあの銃をローズの左胸に強く当てる。

ローズ「カスミちゃん……なんで、なんでその銃は、私に向けられているのかな……?」

カスミ「……フローライトさんの、言った通りだね。本当、どこまでも図太いんだから……そうだ、これの最大出力、みせてあげるよ。」

カスミは銃をローズから離し、銃口を上に向け引き金を引く。
そのブラスターから天空に向かって白い線が引かれ、消えていった。
そしてその銃口は今度はローズの額に当てられた。

カスミ「どう? 早く、言ってよ?」

ローズ「……わからない……わからないよ! カスミちゃんが、何を言って欲しいのか! 何も! 私を、脅してまでカスミちゃんが聞きたいことって、何? なんなの!?」

カスミ「わからない……そっか、ローズにとってはそんなに小さい出来事なんだ……ふーん……」

カスミは引き金を引く。今度は、ローズの頬を掠めて、白い線が空中に引かれ消えていく。
ローズの頬に赤い線だけを残して。

カスミ「わからないんだ。そっか、わからないんだよね。あたしが、父親これで撃ち殺してる、そのシーンを見ているのに。あたしが人殺せるってわかってるのにそれでもまだローズはしらばっくれるんだ?」

ローズ「……カスミちゃんが……父親を……殺した!?」

カスミ「別に演技なんて欲しくないよ、あたし。知ってるくせに。さっさと言ってよ。どうして、あんなことしたのか、目的を。」

ローズ「だから! 本当に意味がわからないの! どういうこと!?」

カスミ「どういうことって? ……こっちがどういうことって聞いてるんだよ? あまりさぁ……イラつかせるような発言、しないでよ。撃っちゃいそうじゃん? 今のあたしの引き金は、軽いよ?」

ローズ「意味がわからないの。どうして、こうなっているのかも。何も!」

カスミ「……なら、もういいよ。もう面倒。フローライトさんに、全部聞くよ。もう黙っていいよ、ローズ。……一生ね? アハハッ!」

カスミが三度引き金を引こうとしたその時、緑の影がその手をがっちりと止めた。

なつき「……カスミ、これ、どういうことです?」

カスミ「なつきちゃん!? な、なんで……」

なつき「なんでと聞きたいのはこっちです! なんで、カスミがローズに銃を突きつけているのですか、意味がわかりません! 事情を話すです!」

カスミ「なつきちゃんには関係ない! 離して!」

なつき「嫌です! 意地でも離れないです! 何してるですか、ローズ! 今のカスミは相当危険です! 逃げるですよ!」

ローズ「……え、あ、で、でも!」

カスミ「ほら、殺されたがってるじゃん……離して……離してよ!」

なつき「早くいくです! 多分、長くは持たないです!」

ローズ「……ごめん……なつきちゃん!」

カスミ「あ……! ……なつきちゃん? へぇ……邪魔、するんだ?」

なつき「カスミ! ちょっとおかしいです! 落ち着くです! ……おかしすぎるですよ、これは……」

カスミ「……邪魔、するんだ? なつきちゃんでも許さないよ……?」

カスミはなつきの羽に素早く手を伸ばす。
なつきはそれを体をひねり何とかかわす。

なつき「ああ! こら! やめるです! 的確に羽をもごうとするのはやめるです! てかやり口が汚いですよ! そりゃ、羽根もげばなつき墜落ですから嫌でもどく羽目になるですけど!」

カスミ「手段なんて別にいいじゃん……障害物のかせれるならさぁ……アハハッ!」

なつき「なんだかよくわからないけど手段選ばない状態ですよ!? まずいです、一人は不味過ぎたです!」

カスミ「ならさ、さっさとどきなよ!」

ライカ「さっきの白いのはカスミのか! ……これは持ってきて正解だったな……なつき、そのまま離れるな! 余り腕に自信ないからな……動きを止めてくれると助かる。」

カスミ「ライカさん……銃!? そっか、みんな、みんなそっか、敵……敵なんだ……!」

ライカ「何無茶苦茶なことをいってるんだ……このっ!」

カスミ「ガンナーに銃ってさ……馬鹿じゃないの?」

ライカの銃撃にあわせるようにカスミは今度は左手で普段の銃を抜き、撃ち落す。

なつき「ちょっと!? せっかく狙い完璧だったのに撃ち落としちゃったですよ!?」

ライカ「な、何!? 二刀流だと!?」

カスミ「……大丈夫だよ、ライカさんやなつきちゃんは殺さないからさぁ……でも邪魔するんだったらちょっとオシオキしないとね……? さ、これでどうするかな、ライカさん?」

カスミは今度は右手でなつきの体を掴み自分とライカの射線上になつきを突き出した。

ライカ「なつきを盾にっ!? これじゃあ狙いが定めれないじゃないか! なんてことするんだ!」

なつき「た、確かにこれなら、ライカさんが撃たない限りは殺されはしませんが! しかしこれでは身動きが! ちょっと! やり口が汚すぎるのですよ、カスミ!!」

カスミ「勝てるんならどんな手段使ってもいいじゃん? 汚い、汚くないとかさぁ、後で考えればいいじゃん? そもそもさぁ、邪魔する方がよっぽど悪いじゃん? なんであたしが責められるの? 意味わかんないんだけどさぁ?」

なつき「あああ!? さくや先輩みたいなこといわないでくださいです! ああ、もう! そんなに強く握っちゃ嫌です! 痛いです!」

ライカ「なつき! どうにか引き離せないのか!?」

なつき「無理です! かなり力強く握られちゃってるんです……カスミ相手ですから魔法を使うのも気が引けますです……打つ手なしです……ううう……」

カスミ「邪魔しなければつかまらなかったのにね? 邪魔なんかするからだよ?」

なつき「邪魔しなかったらカスミはローズ撃ってたじゃないですか! 無茶苦茶いわないでくださいですよ!」

カスミ「無茶苦茶言ってるのはなつきちゃんじゃん。あたしの邪魔をせず、只見てればよかったのにさ。それを邪魔しておいて痛いだの汚いだの……邪魔する方がぜーんぶ悪いんだよ! アハハッ!」

????「そう? じゃあ私も邪魔するからそれに混ぜなさいよ?」

なつき(!? な、誰ですか、このさくや先輩みたいなやり方をするのは!?)

カスミ「……!? どこ!?」

????「残念。見回したっていないわよ。上よ、上。」

カスミ「上!?」

????「そうよ、上。証拠にあげるわよ。」

カスミ「えっ……わわ! 危ないじゃ」

なつき「今です!」

カスミ「あっ!」

突如現れた声が落とす何か反応し、何とかそれを避けるカスミ。
しかし『なつきを捕まえる』という意識が薄れ力を抜いてしまった隙をつきなつきは抜け出す事に成功する。
そして2人はその声の主を知る。

なつき「あ、アサミン先輩だったのですか!?」

カスミ「姿が見えないと思ったら……!」

アサミン「こんなのに引っかかるなんて子供ね……ライカ、今よ!」

ライカ「銃撃戦は、一瞬の隙が命取り……なんてな?」

カスミ「……な!?」

ライカの銃で撃たれたカスミはそのまま床に倒れ伏せた。

ライカ「ったく、これはただの麻酔銃だっての……わざわざ撃ち落としに構えるな、危ないやつめ……」

なつき「……一体、何が、起きているの、ですか?」

アサミン「さあね……でも。答えはきっとさくやが持ってくるわよ。」

なつき「? そういえばさくや先輩がいませんね……しかし……」

アサミン「ん? 何かしら?」

なつき「何故、さくや先輩みたいなことを? あれってさくや先輩得意の突然出てきて気を削ぐ誘導テクですよね?」

アサミン「…………」

なつき「……もしかして、気づかずやりましたね?」

アサミン「あ、あんなの! 誰でもやるわよ誰でも!! 常套手段よ!」

なつき(でも、私も邪魔するから混ぜろなんて意地悪なの、なつきが知る限り、さくや先輩ぐらいしか使わないのですよ……)


ローズ(……カスミちゃんが、おかしくなったのって……まさか、馬鹿兄の仕業……まさか……でも……聞かなきゃ、聞かなきゃ!)

ローズは一直線にある場所へと向かっていった。


おまけ
カスミが上空に向け牽制射撃を行った頃、
暗き旅路の森上空には1人の黒い翼のセレスティアの姿があった。

????「少し前の闇の精霊といいさっきの光といい……ドラッケンで何が起きてるんだろう? でもこんな状態で戻るわけにもいかないし……」

手には2つのドラゴンの角。
それを得るために戦ったのだろうか? 服はボロボロであるが、目立った傷はない。

????「……そろそろ戻らないと怒られるだろうけど……さっきので3匹目のドラゴンが西へ逃げちゃったし……はぁ……なんでこんなハードなクエストになっちゃったんだろう……まあ、いい言い訳になりそうだけど。」

彼女はそう呟くと、ドラッケン学園の西、スノードロップへと飛んでいった。

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